JP2023052274A 审中 无损检测系统、中子辐照源和中子辐照方法
【技術分野】 【0001】 本発明は、放射線を用いた被検査物の非破壊検査システム、中性子照射源及び中性子照射方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、道路、橋梁、トンネル、建築物等のインフラストラクチャー(以下、インフラ構造物という)の老朽化に対して、適切な維持管理、補修、更新が望まれている。 【0003】 このようなインフラ構造物の検査においては、物体に対して透過性を有するX線等の放射線を用いることで、被検査物を破壊することなく内部構造を解析することが可能な非破壊検査が行われている。 【0004】 特に近年においては、X線よりも透過性の高い中性子を用いた非破壊検査装置も検討されている。例えば、特許文献1には、車両に可搬型の中性子発生源を搭載して、橋梁の上を走行しつつ、当該中性子を用いて当該橋梁内部に対する非破壊検査を行う構成が開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】 国際公開番号WO2016/035151 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 ここで、陽子線の照射によりターゲットから発生する中性子は様々な方向に散乱するが、入射する陽子線の運動エネルギーのベクトル方向の中性子は、収率が高くなる。そのため、線形加速器に投入するエネルギーを減少させシステムを小型化するためには、陽子線のターゲットへの入射方向と、検査に用いるための中性子の出射方向は揃えることが望ましい。しかし、特許文献1の中性子を用いた非破壊検査は、検査に用いるための中性子の方向と、ターゲットに入射する陽子線の方向が直交している。線形加速器は付帯設備も含め大きいため、線形加速器を移動させて、陽子線のターゲットへの入射方向を変化させることは難しい。そのため、システムを小型化し、かつ検査のために任意の方向に中性子を効率的に出射させることは困難であった。 【0007】 本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、被検査物に対して中性子を用いて行う非破壊検査において、線形加速器から出射される荷電粒子を偏向することで、ターゲットから発生する中性子のうち検査に用いるための中性子の収率を高め、かつ検査方向の自由度を高めた非破壊検査システム、中性子照射源及び中性子照射方法を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0008】 上記した目的を達成するために、本発明に係る非破壊検査システムは、中性子を照射可能な中性子照射源と、前記中性子照射源から照射され被検査物を介した中性子を検出可能な中性子検出部と、を備え、移動体に搭載される非破壊検査システムであって、前記中性子照射源は、加速された荷電粒子を出射可能な線形加速器と、前記線形加速器から出射された前記荷電粒子の出射方向に対して略垂直方向に偏向可能な、対向する磁石を有する第1の磁石部と、前記第1の磁石部を通過した荷電粒子が照射され中性子を発生可能なターゲット部と、を備え、前記線形加速器の前記荷電粒子の出射方向と、前記移動体の移動方向は略平行であり、前記ターゲット部は、前記荷電粒子のターゲット部への入射軸と平行な軸を有する遮蔽筒内に設けられている。 【0009】 また、上記非破壊検査システムとして、前記線形加速器は、前記荷電粒子として照射断面が扁平形状となる陽子ビームを照射可能であり、前記第1の磁石部は、前記磁石が対向する方向を前記陽子ビームの照射断面短径方向に配置するものとしてもよい。 【0010】 また、上記非破壊検査システムとして、前記第1の磁石部は、前記磁石が電磁石であり、前記電磁石に通電する電流を変化させることで前記磁石の間の磁束密度を変化させ、前記荷電粒子としての陽子ビームを偏向させることで前記ターゲット部への照射位置を変化可能であるものとしてもよい。 【0011】 また、上記非破壊検査システムとして、前記第1の磁石部は、前記磁石の対向する距離を変化させることで前記磁石の間の前記磁束密度を変化させ、前記荷電粒子としての陽子ビームを偏向させることで前記ターゲット部への照射位置を変化可能であるものとしてもよい。 【0012】 また、上記非破壊検査システムとして、前記第1の磁石部は、前記荷電粒子の出射方向を軸としたときに、前記磁石が当該軸を中心に回動させ、前記荷電粒子としての陽子ビームを偏向させることで前記ターゲットへ部の照射位置を変化可能であるものとしてもよい。 【0013】 また、上記非破壊検査システムとして、前記中性子照射源は、第2の磁石部を更に備え、前記第2の磁石部は、前記第1の磁石部を構成する前記2つの磁石の対向する方向と直交するように対向する磁石を有するものとしてもよい。 【0014】 また、上記非破壊検査システムとして、前記第2の磁石部は、前記第2の磁石部の当該対向する磁石の間の磁束密度を変化させ、前記荷電粒子としての陽子ビームを偏向させることで前記ターゲット部への照射位置を変化可能であるものとしてもよい。 【0015】 また、上記非破壊検査システムとして、前記遮蔽筒は、前記ターゲット部の下部から前記移動体の荷台を貫通して被検査物の表面まで延びていてもよい。 【0016】 また、上記非破壊検査システムとして、前記中性子検出部は、前記被検査物の内部にて後方散乱した中性子を検出可能であるものとしてもよい。 【0017】 また、上記非破壊検査システムとして、前記中性子検出部は、前記被検査物を透過した中性子を検出可能であるものとしてもよい。 【0018】 また、上記非破壊検査システムとして、前記中性子検出部により検出した中性子の情報に基づいて前記被検査物の内部解析を行う解析部と、を更に備えるものとしてもよい。 【0019】 また、上記した目的を達成するために、本発明に係る中性子照射源は、移動体に搭載される中性子照射源であって、加速された荷電粒子を出射可能な線形加速器と、前記線形加速器から出射された前記荷電粒子の出射方向に対して略垂直方向に偏向可能な、対向する磁石を有する第1の磁石部と、前記第1の磁石部を通過した荷電粒子が照射される中性子を発生可能なターゲット部と、からなり、前記線形加速器の前記荷電粒子の出射方向と、前記移動体の移動方向は略平行であり、前記ターゲット部は、前記荷電粒子のターゲット部への入射軸と平行な軸を有する遮蔽筒内に設けられている。 【0020】 また、上記した目的を達成するために、本発明に係る中性子照射方法は、線形加速器が、加速された荷電粒子を出射するステップと、対向する磁石を有する第1の磁石部が、前記線形加速器から出射された前記荷電粒子の出射方向に対して略垂直方向に偏向するステップと、ターゲット部が、前記第1の磁石部を通過した荷電粒子が照射されることで中性子を発生するステップと、を備える中性子照射方法であって、前記線形加速器、前記第1の磁石部、及び前記ターゲット部が移動体に搭載され、前記線形加速器の前記荷電粒子の出射方向と、前記移動体の移動方向は略平行であり、前記ターゲット部は、前記荷電粒子のターゲット部への入射軸と平行な軸を有する遮蔽筒内に設けられている。 【発明の効果】 【0021】 上記手段を用いる本発明によれば、被検査物に対して中性子を用いて行う非破壊検査において、線形加速器から出射される荷電粒子を偏向することで、ターゲットから発生する中性子のうち検査に用いるための中性子の収率を高め、かつ検査方向の自由度を高めることができる。 【図面の簡単な説明】 【0022】 【図1】本発明の第1実施形態に係る非破壊検査システムを示す概略構成図である。 【図2】本発明の第1実施形態に係る非破壊検査システムであり、図1のA-A断面図である。 【図3】本発明の第1実施形態の変形例に係る非破壊検査システムを示す概略構成図である。 【図4】本発明の第2実施形態に係る非破壊検査システムを示す概略構成図である。 【図5】本発明の第2実施形態に係る非破壊検査システムであり、図4のB-B断面図である。 【図6】本発明の第3実施形態に係る非破壊検査システムであり、図1のA-A断面図に相当する図である。 【図7】本発明の第4実施形態に係る非破壊検査システムを示す概略構成図である。 【発明を実施するための形態】 【0023】 以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。 【0024】 (第1実施形態) まず本発明の第1実施形態について説明する。 【0025】 図1及び図2を参照すると、図1には本発明の第1実施形態に係る非破壊検査システム1の概略構成図が示されており、図2には図1に示す非破壊検査システム1のA-A断面図が示されている。以下これらの図に基づき本実施形態の非破壊検査システム1の構成について説明する。 【0026】 図1に示すように、本実施形態の非破壊検査システム1は、移動体である車両2に中性子照射源システム3、測量システム4、解析装置5が搭載されて構成されている。車両2は例えばトラックであり、荷台2aに中性子照射源システム3、測量システム4がそれぞれ搭載され、運転席2bに解析装置5が搭載されている。本実施形態では、車両2はコンクリートからなる床版6aの表面にアスファルト6bが舗装された橋6の上を走行し、主に当該床版6aを被検査物とした非破壊検査を行う。 【0027】 中性子照射源システム3は、電源部10、荷電粒子線である陽子ビームP(プロトンビーム)を出射する線形加速器11、磁石部12、及びターゲット部13を有している。また、測量システム4は、被検査物を介した中性子線を検出する中性子検出器14、中性子が外部へ拡散するのを防ぐための遮蔽筒15を有している。 【0028】 詳しくは、電源部10は、各部に電力を供給する発電機である。電源部10の発電機は、少なくとも荷電粒子である陽子(プロトン)を発生可能な発電性能を備え、電圧変動が少なく、高調波電流に耐えられるものが好ましい。また、電源部10は、発電機が発電した電力を蓄電可能なバッテリを有していてもよい。 【0029】 線形加速器11は、車両2の前側に陽子を発生するイオン源11aを有し、当該イオン源11aから円筒状の加速器11bが車両2の前後方向に延びており、磁石部12に接続される。加速器11bは、イオン源11aで発生した陽子を加速し、陽子ビームPとして磁石部12に照射する。 【0030】 磁石部12(第1の磁石部)は、線形加速器11から照射された陽子ビームPを、磁力により陽子ビームPの入射方向に対して、略垂直方向に偏向し出射する。磁石部12は、少なくとも2つの対向する磁石12a、12bを有し、対向する磁石の間に磁場を有する。磁石12a、12bは電磁石であり、電磁石に流す電流を制御することで、磁石間に所定の磁束密度の磁場を形成することができる。なお、磁石12a、12bは磁束密度を確保できれば永久磁石を用いてもよい。図1では、紙面の奥から手前(車両幅方向左から右)に向かって磁場が形成されている。 【0031】 ターゲット部13は磁石部12の下面に設けられている。ターゲット部13は陽子と衝突して中性子を生じるものであり、例えばベリリウムを含んで形成されている。遮蔽体は中性子を遮蔽する素材からなり、例えば水、アクリル、ポリエチレン等を用いて形成されている。ターゲット部13の下部には、ターゲット部13から発生した中性子のうち所定方向の中性子を外部に照射する開口部(不図示)が形成されている。例えば、本実施形態のターゲット部13の下部には、車両2の下方に向けて中性子Nを照射するよう開口部が形成されている。本実施形態では矩形に開口しているものとするが、開口部の形状は特に限定されず検査対象に応じて定められるものであり、例えば円形であってもよい。また、開口部には、中性子の出射方向を制限するコリメータを有していても構わない。コリメータによって、照射される中性子Nの指向性を高めることができる。なお、線形加速器11からターゲット部13までは、荷電粒子の飛翔を妨げないようにその経路は高真空状態を維持可能な構造となっている。 【0032】 中性子検出器14は、矩形の板状をなしターゲット部13の下方に配置されている。本実施形態の中性子検出器14は、ターゲット部13から生じた中性子が床版6a内にて後方散乱した後方散乱中性子Nbを検出するものである。なお、図1ではターゲット部13から照射される中性子Nを実線の矢印で示し、後方散乱中性子Nbを点線の矢印で示している。 【0033】 遮蔽筒15は、ターゲット部13の下部から車両2の荷台2aを貫通して橋6の表面まで延びている。ターゲット部13及び中性子検出器14は、遮蔽筒15内に設けられており、当該遮蔽筒15はターゲット部13から照射される中性子N及び後方散乱中性子Nbが外部に漏れるのを防ぐものである。遮蔽筒15は、中性子を遮蔽する素材からなる。特に遮蔽筒15の下部は、密閉性を高めるべく、橋表面の凹凸を吸収するよう柔軟性を有しているのが好ましい。 【0034】 次に、図2により、図1に示す非破壊検査システムのA-A断面図について説明する。磁石部12を構成する磁石12aと12bは、距離dのギャップをもって配置される。線形加速器11から照射される陽子ビームPは、図2の断面で示すように照射断面が車両の幅方向を短径とする扁平形状である。本実施形態において、扁平形状な陽子ビームPの照射断面における短径方向の長さは約2mm、長径方向の長さは約4mmである。図2で示すように、磁石12a、12bは、対向する方向が扁平な陽子ビームPの照射断面の短径方向となるように配置する。磁石は、その磁石が持つ磁力が一定の場合、磁石間の距離を短くすることで、磁石間の磁束密度を高めることができる。そのため、磁石12a、12bの距離dは、上記のように磁石12a、12bを対向する方向が扁平な陽子ビームPの照射断面の短径方向となるように配置する場合、陽子ビームPの照射断面の長径方向となるように配置する場合に比べて、磁石に陽子ビームPが接触しない程度に短くすることができる。そのため、この構成により、磁石の磁力を高めることなく磁石間の磁束密度を高め、陽子ビームPの偏向曲率を大きく(短い曲率半径で曲げる)することができる。 【0035】 次に、このように構成された非破壊検査システム1により実行される非破壊検査手法について説明する。 【0036】 非破壊検査を行う際は、非破壊検査システム1を搭載した車両2を走行させ、橋6等の被検査対象の位置にて車両2を停止又は走行させながら中性子を照射する。 【0037】 線形加速器11のイオン源11aは、電源部10からの電力の供給を受け、陽子を発生する。加速器11bは、イオン源11aで発生した陽子を加速し陽子ビームPとして磁石部12に照射する。磁石部12の磁石12a、12bは、電源部10からの電力の供給を受け、電磁石が励磁し磁界を発生する。照射された荷電粒子線である陽子ビームPは、磁石間に生じた磁界によりローレンツ力により偏向される。 【0038】 ここで、陽子ビームPが磁石部12で偏向される曲率半径について説明する。 【0039】 質量m、電荷qを持つ速度vの荷電粒子は磁束密度Bの一様磁場中では、半径rとして、ローレンツ力により下記の数1の関係が成立する。 【0040】 【数】 【0041】 線形加速器11で加速され磁石部12に入射する陽子ビームPのエネルギーが7[MeV]である場合、陽子の電荷q=1.6×10-19[C]、陽子の静止質量を938 [MeV/c2]、光速c=3×108[m/s]として、磁石12a、12bの間の磁束密度は1.0[T]とすると、半径r(曲率半径)は下記の数2により、0.38[m]であることが求められる。 【0042】 【数】 【0043】 上記の計算で明らかなように、磁束密度を変化させることで曲率半径を変化させることができる。すなわち、磁束密度を大きくすることで曲率半径を小さくすることができる。上記の計算のように、磁石部12で、1[T]オーダーの磁場を発生させることで、車両に搭載可能な曲率半径で陽子ビームPを偏向することができる。 【0044】 次に、ターゲット部13は、偏向された陽子ビームPが照射され、ターゲット部13を構成するベリリウム等の元素と陽子が衝突することで高速中性子(以下中性子という)を発生する。そして、ターゲット部13から拡散される中性子のうち下方に向かう中性子Nが開口部から橋6に向けて照射される(中性子照射工程)。ターゲット部13は、陽子の衝突により全方向に中性子を発生する。橋6へ照射される中性子Nは、偏向された陽子ビームPの方向と同じ方向に発生する中性子である。そのため、中性子照射源システム3に投入されたエネルギーに対して、効率的に中性子Nを発生させることができる。 【0045】 橋6に照射された中性子のうちの一部は、そのまま透過して橋6の下方に抜けていき、残りの一部は床版6a内部で散乱し、後方散乱中性子Nbとして反射される。この後方散乱中性子Nbを中性子検出器14により検出する(中性子検出工程)。 【0046】 解析装置5は、中性子検出器14による後方散乱中性子Nbの情報である検出結果を受信し、放射線輸送計算等を用いた所定の演算を行うことで、床版6aの内部構造を解析する。当該解析により例えば床版6a内部に形成された空隙や水の存在が確認可能となる。 【0047】 線形加速器11は、陽子ビームPを所定の速度にまで加速させるため、所定の長さが必要となる。一般公道を走行可能なトラック等の車両は、幅方向や高さ方向の制約がある。そのため、線形加速器11は、車両2の進行方向(移動方向)である前後方向に平行に配置することになる。本実施形態では、磁石部12は、線形加速器11から照射された陽子ビームPを、照射された陽子ビームPの出射方向に対して垂直方向である下方に向けて偏向することができる。この場合、垂直方向である下方は、垂直を中心として45度程度の範囲を含むものとする。そのため、線形加速器11の方向と検査方向の配置の自由度を高めつつ、ターゲット部13から発生する中性子のうち、検査に用いるための中性子Nの収率を高め、高効率な、非破壊検査システムを提供することができる。 【0048】 本実施形態における非破壊検査システム1では中性子検出器14は、後方散乱中性子Nbを検出するものであり、被検査物に対してターゲット部13と同じ側に中性子検出器14を配置できることから、被検査物越しに中性子検出器を設ける必要がなくなる。これにより、中性子照射源システム3と、測量システム4を、1つの車両内に設置することができるため、移動しながらの非破壊検査を容易に行うことができる。 【0049】 なお、測量システム4は、必ずしも車両2に一体に搭載される必要はなく、車両と別体に構成しても、車両から延びるアーム等に取り付けられように構成しても構わない。測量システム4は、被検査物を透過した中性子Nを検出する中性子検出器14を用いて、検出した中性子に基づく内部構造の解析を正確に行うことができる。これにより第1実施形態と同様の効果を奏することができる。 【0050】 また、ターゲット部13から発生する中性子は高速中性子に限られず、熱中性子であっても構わない。また、開口部から照射される中性子は高速中性子を減速した熱中性子としてもかまわない。 【0051】 次に、本発明の第1実施形態の変形例について説明する。 【0052】 図3は、本発明の第1実施形態の変形例に係る非破壊検査システム1を示す概略構成図である。磁石部12は、少なくとも2つの対向する磁石を有し、対向する磁石の間に磁場を有する。磁石は電磁石であり、電磁石に通電する電流を変化させることで、磁石間の磁場の磁束密度を変化させることができる。 【0053】 磁石部12は、磁束密度が大きくなれば陽子ビームPの偏向する曲率半径が小さくなる。そのため、偏向された陽子ビームPは、ターゲット部13に図3の紙面の左方向(車両前方)に照射される。また、磁束密度が小さくなれば陽子ビームPの偏向する曲率半径が大きくなる。そのため、偏向された陽子ビームPは、ターゲット部13に図3の紙面の右方向(車両後方)に照射される。このように電磁石に流す電流を変化させることで、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることができ、そのため中性子の出射位置を変化させることができる。また、ターゲット部13は、陽子ビームPが照射される場所の温度が高くなる。そのため本実施形態のように、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることで、ターゲット部13のピンポイントに陽子ビームPが照射され続けることを防ぎ、ターゲット部13の熱による損傷を防ぐことができる。 【0054】 なお、磁石は磁束密度を確保できれば永久磁石を用いてもよい。図2において磁石部12を構成する磁石12aと12bは、距離dのギャップをもって配置されており、距離dを変化させることで、磁石12aと12bの間の磁束密度を変化させることができる。具体的には距離dを小さくすることで磁束密度は大きくなり、距離dを大きくすることで磁束密度は小さくなる。そのため、上述した電磁石に通電する電流を変化するのと同様に、距離dを変化させることで、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることができ、それにより中性子の出射位置を変化させることができる。それを実現するために、磁石部12は、磁石12aと12bの距離を制御するための機構が設けられていても構わない。 【0055】 (第2実施形態) 次に本発明の第2実施形態について説明する。 【0056】 図4及び図5を参照すると、図4には本発明の第2実施形態に係る非破壊検査システム1’の概略構成図が示されており、図5には図4に示す非破壊検査システム1’のB-B断面図が示されている。以下これらの図に基づき第2実施形態の非破壊検査システム1’の構成について説明する。なお、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。 【0057】 第2実施形態における非破壊検査システム1’は、磁石部12(本実施形態においては第1の磁石部12という)の下部に第2の磁石部16が配置される以外は基本的に第1実施形態と同じである。第2実施形態における第2の磁石部16は、第1の磁石部12で偏向され出射された陽子ビームPを更に偏向する。図4で示すように、第2の磁石部16は、第1の磁石部12を構成する2つの磁石12a、12bの対向する方向と直交する方向に対向する磁石16a、16bで構成される。 【0058】 第2の磁石部16を構成する2つの磁石16a、16bは電磁石であり、電磁石に通電する電流を変化させることで、磁石間の磁場の磁束密度を変化させることができる。また、通電する電流の方向を変化させることで、磁場の方向を反転させることができる。 【0059】 図5において、第2の磁石部16の発生する磁場がゼロの場合、陽子ビームPは、第2の磁石部16で偏向されることなく、図5における紙面の下方にまっすぐ出射される。第2の磁石部16の発生する磁場が紙面の手前から奥(車両後方から前方)に向かって形成されている場合、陽子ビームPは、第2の磁石部16で紙面の右方向(車両右方)に偏向され出射される。また、第2の磁石部16の発生する磁場が紙面の奥から手前(車両前方から後方)に向かって形成されている場合、陽子ビームPは、第2の磁石部16で紙面の左方向(車両左方)に偏向され出射される。このように電磁石に流す電流の量や方向を変化させることで、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることができ、そのため中性子の出射位置を変化させることができる。 【0060】 なお、第2の磁石部16の磁石16a、16bは磁束密度を確保できれば永久磁石を用いてもよい。図4において第2の磁石部16を構成する磁石16aと16bは、距離d2のギャップをもって配置されており、距離d2を変化させることで、第2の磁石部16の磁石16aと16bの間の磁束密度を変化させることができる。そのため、距離d2を変化させることで、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることができ、それにより中性子の出射位置を変化させることができる。それを実現するために、第2の磁石部16は、磁石16aと16bの距離を制御するための機構が設けられていても構わない。 【0061】 (第3実施形態) 次に本発明の第3実施形態について説明する。 【0062】 図6には本発明の第3実施形態に係る非破壊検査システム1''の概略構成図が示されている。なお、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。 【0063】 第3実施形態における非破壊検査システム1''は、磁石部12が、所定の軸を中心に回動動作を行うことができる以外は基本的に第1実施形態と同じである。図6で示す、第3実施形態における磁石部12は、線形加速器11から照射される陽子ビームPの出射方向を中心軸として、回動動作を行うことができる。磁石部12を回動すると、磁石部12を通過する陽子ビームPは磁石部12の回動方向に合わせて偏向する。すなわち、磁石部12の回動動作を行うことで、陽子ビームPのターゲット部13への照射位置を変化させることができ、そのため中性子の出射位置を変化させることができる。 【0064】 (第4実施形態) 次に本発明の第4実施形態について説明する。 【0065】 図7には本発明の第4実施形態に係る非破壊検査システム1'''の概略構成図が示されている。なお、第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付し、説明を省略する。 【0066】 第4実施形態における非破壊検査システム1'''は、測量システム4やターゲット部13が、磁石部12を挟んで上下に配置されている点以外は、基本的に第1実施形態と同じである。本実施形態では、車両2’はコンクリートからなるトンネル構造体7aの表面にトンネル壁7bが塗布されたトンネル7の中を走行し、主に当該トンネル構造体7aを被検査物とした非破壊検査を行う。また、車両2’はコンクリートからなる道路構造体8aの表面にアスファルト8bが舗装された道路8の上を走行し、床版を被検査物とした非破壊検査を行うこともできる。 【0067】 磁石部12を構成する磁石は電磁石であり、電磁石に通電する電流を変化させることで、磁石間の磁場の磁束密度を変化させることができる。また、通電する電流の方向を変化させることで、磁場の方向を反転させることができる。 【0068】 図7では、磁石部12は、紙面の手前から奥(車両幅方向右から左)の磁場が形成されるように電流の方向が制御されている。そのため、陽子ビームPは、紙面の上方に向かって偏向する。偏向された陽子ビームPはターゲット部13’に衝突し、中性子Nを生じる。 【0069】 中性子検出器14’は、矩形の板状をなしターゲット部13’の上方に配置されている。本実施形態の中性子検出器14’は、ターゲット部13’から生じた中性子がトンネル構造体7a内にて後方散乱した後方散乱中性子Nbを検出するものである。なお、図7ではターゲット部13’から照射される中性子Nを実線の矢印で示し、後方散乱中性子Nbを点線の矢印で示している。 【0070】 トンネル7に照射された中性子のうちの一部はそのまま透過してトンネル7の内部に抜けていき、残りの一部はトンネル構造体7a内部で散乱し、後方散乱中性子Nbとして反射される。この後方散乱中性子Nbを中性子検出器14’により検出する。 【0071】 解析装置5は、中性子検出器14’による後方散乱中性子Nbの情報である検出結果を受信し、放射線輸送計算等を用いた所定の演算を行うことで、トンネル構造体7aの内部構造を解析する。当該解析により例えばトンネル構造体7a内部に形成された空隙や水の存在が確認可能となる。 【0072】 次に、車両2’が、検査位置を変えて道路8を検査する場合、磁石部12は、紙面の奥から手前(車両幅方向左から右)の磁場が形成されるように電流の方向を切り替える。そのため、陽子ビームPは、紙面の下方に向かって偏向する。偏向された陽子ビームPはターゲット部13に衝突し、中性子Nを生じる。そして、実施形態1の橋と同様に、道路8の非破壊検査を行うことができる。 【0073】 以上説明したように、非破壊検査システム1'''は、トンネルや道路のように、被検査物の位置が上下に異なるような場合においても、磁石部12の電流の方向を切り替えることにより、1種類の車両2’で対応することが可能となる。 【0074】 以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらの実施形態に限定されるものではない。 【0075】 上記実施形態の非破壊検査システム1、1’では、橋6の床版6aや、トンネル7のトンネル構造体7a、道路8の道路構造体8aを被検査物としているが、被検査物はこれに限られるものではない。例えば、滑走路や建築物の床や天井にも適用可能である。 【0076】 また、上記実施形態の非破壊検査システムでは磁石部12により車両の下方、又は上方に陽子ビームを偏向しているが、偏向方向はこれに限られるものではない。例えば、車両の幅方向に陽子ビームを偏向する構成としてもよい。これにより、橋脚、トンネルの側面、建築物の壁面等の立設した被検査物に対する非破壊検査を実現することができる。 【符号の説明】 【0077】 1、1'、1''、1''' 非破壊検査システム 2、2’ 車両 3 中性子照射源システム 4、4’ 測量システム 5 解析装置 6 橋 6a 床版(被検査物) 7 トンネル 7a トンネル構造体(被検査物) 8 道路 8a 道路構造体(被検査物) 10 電源部 11 線形加速器 12 磁石部(第1の磁石部) 12a、12b 磁石 13、13’ ターゲット部 14、14’ 中性子検出器 15、15’ 遮蔽部 16、16a、16b 第2の磁石部 16a、16b 磁石
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