JP2023049996A 审中 内燃机
【技術分野】 【0001】 本発明は、吸気通路にグロープラグを備えた内燃機関に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、例えば地球温暖化への関心の高まりから、エタノールなどのアルコールを燃料として使用する、つまり、アルコール燃料を使用する内燃機関が一段と注目されるようになっている。しかし、アルコールは例えばガソリンに比べて揮発しにくく、アルコール燃料を用いた内燃機関の始動性には課題がある。 【0003】 例えば、特許文献1は、アルコール燃料を使用する内燃機関の始動性を向上させることに向けられた内燃機関の始動装置を開示する。この始動装置は、内燃機関の吸気管に第1燃料噴射弁を設けると共に、この第1燃料噴射弁の上流側の吸気管に、第2燃料噴射弁、空気供給装置及び点火装置を備えた燃焼ガス発生チャンバーを設け、この燃焼ガス発生チャンバーにおけるアルコール燃料の燃焼で発生した燃焼ガスの熱によって、第1燃料噴射弁から噴射されたアルコール燃料を気化させるようにしている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 特開2009-36151号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上記特許文献1の内燃機関の始動装置では、数多くの部材を備える燃焼ガス発生チャンバーを新たに設けることが必要不可欠である。本発明の目的は、例えばアルコール燃料を燃料に用いる内燃機関における始動性を高めることを可能にするより簡易な構成を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の一態様は、 吸気通路に燃料を噴射するように設けられた燃料噴射弁と、前記吸気通路がつながる燃焼室に臨むように設けられた点火装置とを備えた内燃機関であって、 前記吸気通路にグロープラグの加熱部が位置するように前記グロープラグが設けられている ことを特徴とする内燃機関 を提供する。 【0007】 上記構成によれば、吸気通路に加熱部が位置するようにグロープラグを設けるという簡易な構成で、吸気通路を流れる吸気をグロープラグで直接的に加熱して燃料噴射弁からの燃料を間接的に加熱したり、あるいは、燃料噴射弁から噴射された燃料をグロープラグで直接的に加熱したりすることができ、これにより燃料の気化を促し、内燃機関の始動性を高めることができる。 【0008】 好ましくは、前記グロープラグは、前記加熱部が吸気ポートに位置するように設けられている。この構成により、燃料噴射弁から噴射された燃料をより確実に加熱することができる。 【0009】 好ましくは、前記グロープラグは、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記加熱部に直接当たるように設けられている。この構成により、燃料噴射弁から噴射された燃料の加熱をより確実に行うことができる。 【0010】 好ましくは前記グロープラグのうちの少なくとも前記加熱部は可動式である。この場合、前記加熱部は、第1位置と、該第1位置にあるときよりも吸気流れに対して抵抗が小さい第2位置とを有するとよい。この構成により、グロープラグによる燃料の加熱状態を容易に可変でき、かつ、グロープラグによる吸気抵抗への影響も低減することができる。これらにより、内燃機関の性能を、従来よりも更に向上させることができる。 【0011】 好ましくは、前記加熱部は前記グロープラグの軸線から径方向に突出する突出部を備えている。この構成により、グロープラグの加熱部の吸気通路での態様をより簡易な構成で変えることができる。 【0012】 好ましくは、前記加熱部は、スロットル弁と連動するように構成されている。この構成により、グロープラグの態様変化をより簡易な仕組みで行うことが可能になる。 【0013】 好ましくは、前記燃焼室には、該吸気通路の主流路と、該主流路から分岐した副流路とがつながり、前記燃料噴射弁は前記副流路に燃料を指向するように設けられ、前記副流路に前記加熱部が位置するように前記グロープラグは設けられている。この構成により、主流路からの吸気の流れに影響することなく、副流路において燃料噴射弁からの燃料をグロープラグで好適に加熱することが可能になる。 【0014】 例えば、前記燃料噴射弁から噴射される燃料はアルコール燃料である。燃料噴射弁から噴射される燃料がアルコール燃料であるとき、冷間始動時などに、上記構成により、そのアルコール燃料の燃焼性を高めることができ、よって内燃機関の始動性を向上させることができる。 【発明の効果】 【0015】 本発明の上記態様によれば、吸気通路にグロープラグの加熱部が位置するようにグロープラグを設けるという簡易な構成で、内燃機関の始動性を高めることが可能になる。 【図面の簡単な説明】 【0016】 【図1】本発明に係る内燃機関の基本的な構成例を示す概略構成図である。 【図2】本発明の第1実施形態に係る内燃機関及びその周囲の断面図である。 【図3】本発明の第2実施形態に係る内燃機関の吸気系を中心とした断面図である。 【図4】図3の内燃機関の吸気系を中心とした断面図であり、グロープラグの向きが図3での向きと異なる図である。 【図5】図3の内燃機関の吸気ポートに直交する仮想面でのその内燃機関の断面図である。 【図6】本発明の第3実施形態に係る内燃機関のシリンダヘッドをシリンダブロック側からみた図である。 【図7】図6の内燃機関の一部の断面図であり、図6のVII-VII線に沿った位置での断面図である。 【図8】図6の内燃機関の動弁機構のうち吸気系の機構を説明するための図である。 【発明を実施するための形態】 【0017】 以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。 【0018】 まず、本発明に係る内燃機関の基本的な構成例を図1に基づいて説明する。図1に示す内燃機関1は、上流側から順に、吸気通路2、吸気弁3、燃焼室4、排気弁5及び排気通路6を備える。吸気通路2にはそこに燃料を噴射するように燃料噴射弁7が設けられている。燃料噴射弁7には、図示しない燃料タンク内のアルコール燃料が燃料ポンプ及び燃料供給路を介して圧送される。ただし、内燃機関1で用いられる燃料は、アルコール燃料に限定されない。吸気通路2がつながる燃焼室4に臨むように点火装置である点火プラグ8が設けられている。つまり、内燃機関1は、火花点火式内燃機関である。そして、この内燃機関1ではグロープラグ9が設けられる。グロープラグ9は、その加熱部9aが吸気通路2に位置するように設けられている。グロープラグ9は、吸気通路2の吸気を介して又は直接的に燃料噴射弁7から噴射された燃料を加熱することができる。これにより、燃料の気化を促し、その燃料の燃焼性を高め、例えば内燃機関1の始動性を高めることができる。ただし、グロープラグ9の加熱のみでは、燃料の燃焼が生じないように、グロープラグ9の加熱部9aにおける発熱は調整される。図1では、燃料噴射弁7の下流側にグロープラグ9が設けられているが、燃料噴射弁7の上流側にグロープラグ9が設けられることも可能である。以下、本発明に係る実施形態を説明する。 【0019】 図2は、本発明の第1実施形態に係る内燃機関10及びその周囲の断面図である。なお、本明細書の説明において、前後左右の向きは、実施形態に係る内燃機関10が搭載される自動二輪車(不図示)の直進方向を前方とする通常の基準に従うものとし、図面において、FRは前方を、RRは後方を示すものとする。 【0020】 内燃機関10は、SOHC型2バルブの単気筒4ストローク内燃機関であり、車体に対してクランク軸12を車体幅方向に指向させ、気筒を若干前傾させて起立した姿勢で懸架される。内燃機関10のクランク軸12を回転自在に軸支するクランクケース14では、クランク軸12の後方に配設されるメイン軸16及び出力軸であるカウンタ軸18の間に変速歯車機構20が構成されている。 【0021】 クランクケース14の上には、1本のシリンダライナ22Lが鋳込まれたシリンダブロック22と、シリンダブロック22の上にガスケットを介してシリンダヘッド24が重ねられ、スタッドボルトにより一体に締結され、シリンダヘッド24の上方をシリンダヘッドカバー26が覆っている。クランクケース14の上に重ねられるシリンダブロック22、シリンダヘッド24、シリンダヘッドカバー26は、クランクケース14から若干前傾した姿勢で上方に延出している。なお、内燃機関10は、上記構成の単気筒内燃機関であることに限定されず、種々の形式を有して構成された内燃機関とされてもよい。 【0022】 クランクケース14は左右割りで、左右クランクケースの合せ面に形成された開口にシリンダライナ22Lの下端部が嵌入されている。シリンダブロック22は若干前傾して、クランクケース14から上方に突出している。シリンダライナ22Lの内部のシリンダボア22bにピストン28が往復摺動自在に嵌合されている。ピストン28のピストンピン28pとクランク軸12のクランクピン12pとの間をコンロッド30が連接してクランク機構を構成している。 【0023】 シリンダブロック22のシリンダボア22b内を摺動するピストン28の頂面28tと同頂面28tが対向するシリンダヘッド24の燃焼室天井面(以下、単に「天井面」と称し得る。)24tとの間に燃焼室32が構成される。燃焼室32は、シリンダブロック22のシリンダボア22bと、ピストン28の頂面28tと、シリンダヘッド24の天井面24tとにより概ね区画形成される。シリンダヘッド24には、天井面24tにシリンダボア22bの中心軸線であるシリンダ軸線Cに関して互いに反対位置に1つずつ吸気弁口34と排気弁口36が燃焼室32に臨んで開口されるとともに、吸気弁口34と排気弁口36から各々吸気ポート38と排気ポート40が互いに離れる方向に湾曲しながら延出して形成されている。このように、シリンダヘッド24には、単一の吸気ポート38及び単一の排気ポート40が区画形成されている。 【0024】 シリンダヘッド24に一体に嵌着された弁ガイド42i、42eにそれぞれ摺動可能に支持される吸気弁44及び排気弁46は、シリンダヘッド24の上に設けられる動弁機構48により駆動されて、吸気ポート38の吸気弁口34及び排気ポート40の排気弁口36をクランク軸12の回転に同期して開閉する。つまり、シリンダヘッド24における吸気ポート38の湾曲外壁部38aに一体に円筒状の吸気弁ガイド42iが嵌着されている。吸気弁ガイド42iに摺動可能に支持された吸気弁44が、吸気ポート38の燃焼室32に臨む吸気弁44を開閉する。また、シリンダヘッド24における排気ポート40の湾曲外壁部40aに一体に嵌着された排気弁ガイド42eに摺動可能に支持された排気弁46が、排気ポート40の燃焼室32に臨む排気弁口36を開閉する。 【0025】 動弁機構48は、シリンダヘッド24の上に1本のカム軸48aが左右方向に指向して軸支されたSOHC型内燃機関の動弁機構であり、カム軸48aの斜め前後上方にロッカアームシャフト47i、47eが支持され、後方のロッカアームシャフト47iに吸気ロッカアーム48iが揺動自在に中央部を軸支され、前方のロッカアームシャフト47eに排気ロッカアーム48eが揺動自在に中央部を軸支されている。 【0026】 吸気ロッカアーム48iの一端は、カム軸48aの吸気カムロブに接し、他端がスプリングで付勢された吸気弁44のバルブステム44sの上端に調整ねじを介して接する。排気ロッカアーム48eの一端は、カム軸48aの排気カムロブに接し、他端がスプリングで付勢された排気弁46のバルブステム46sの上端に調整ねじを介して接する。カム軸48aの回転により吸気ロッカアーム48iと排気ロッカアーム48eが揺動することで吸気弁44と排気弁46は開閉駆動される。 【0027】 カム軸48aは軸受から左方に突出して、その左端部にカムチェーンスプロケット(不図示)が軸支され、カムチェーンスプロケットに巻き掛けられたカムチェーンがクランク軸12に向かい、クランク軸12に嵌着されたカムチェーンスプロケットに巻き掛けられ、カム軸48aがクランク軸12と同期して、その1/2の回転数で同一方向に回転する。 【0028】 ここでは、図示しないが、シリンダブロック22のシリンダボア22bの左側及び燃焼室32の左側に、カムチェーンを挿通する矩形孔であるカムチェーン室が形成されている。そして、シリンダヘッド24の右側壁には、点火装置である点火プラグ(不図示)が燃焼室32に向かって嵌入して装着される。 【0029】 吸気ポート38の上流端は、シリンダヘッド24の上方に向けて開口し、インシュレータ63を介してインレットパイプ58と接続して、連続した吸気通路60が構成され、インレットパイプ58の上流側に、スロットルボディ62が接続される。スロットルボディ62は、内燃機関10の燃焼室32に連なる吸気通路60の一部を構成する断面略円形の吸気路62aを有し、その上流側は、図示しないエアクリーナ装置に接続している。 【0030】 スロットルボディ62は、その吸気路62aの吸気流れ方向と垂直、すなわち吸気路62aの中心軸線と直角に交差するスロットル弁軸62bによってスロットルボディ62内に回転自在に軸支されて、吸気路62aの流路面積を可変制御し、吸気路62aを開閉し得るスロットル弁62cを備えている。スロットル弁62cはバタフライ式のもので、スロットル弁軸62bと、スロットル弁軸62bに固定される共に一体的に回転する円盤状の弁体62dとを有している。なお、スロットル弁62cは、ここでは電子制御されるが、電子制御されることに限定されず、例えばケーブルで機械的にコントロールされる弁であってもよい。 【0031】 スロットル弁62cは運転者の操作等により、図1において時計回りに開弁方向に回動可能となっているとともに、図示しない復帰ばねにより、弁体62dはそれの縁部が吸気路62aの内壁面に当接する全閉位置に位置するように、閉弁方向に反時計回りに付勢されている。 【0032】 排気ポート40の下流端は、シリンダヘッド24の下方に向けて開口し、排気管(不図示)に連結され、連続した排気通路64が構成される。排気通路64の下流側には、排気浄化装置及び消音装置が設けられ得る。 【0033】 内燃機関10では、燃料噴射弁66が設けられている。燃料噴射弁66、吸気通路60のうち、スロットル弁62cよりも下流側の吸気通路に燃料を噴射するように設けられている。ここでは、燃料噴射弁66は、吸気ポート38に燃料を噴射するように設けられている。燃料噴射弁66は、ここではインレットパイプ58に設けられている。燃料噴射弁66は、吸気ポート38を介して燃焼室32に燃料を供給するように設けられている。 【0034】 内燃機関10を制御するECU(電子制御ユニット)70は、所謂コンピュータとしての構成を備え、機能部として吸気制御部72、燃料噴射制御部74及び点火制御部76を備えている。ECU70は、エンジン回転速度センサ、エンジン負荷センサなどの各種センサが接続され、それらセンサからの出力に基づいて内燃機関10の運転状態を解析して、吸気制御部72により、スロットル弁62cの作動を制御する。また、ECU70は、解析した内燃機関10の運転状態に基づいて、燃料噴射制御部74により、燃料噴射弁66の作動を制御する。また、ECU70は、解析した内燃機関10の運転状態に基づいて、点火制御部76により、点火プラグの作動を制御する。なお、ECU70には、これらの制御のためのプログラム及び各種データが記憶されている。 【0035】 さて、上記構成の内燃機関10では、アルコール燃料が燃料として用いられる。アルコール燃料は、アルコール100%の燃料であっても、アルコールを含む燃料であってもよく、例えばガソリンにエタノールを10%混ぜた燃料(E10)を含む。燃料噴射弁66には、図示しない燃料タンク内のアルコール燃料が燃料ポンプ及び燃料供給路を介して圧送される。アルコール燃料の燃焼性、特に内燃機関10の冷間始動時などの始動性を高めるように、内燃機関10では、吸気通路60にグロープラグ80が設けられている。 【0036】 グロープラグ80は予熱プラグであり、電気的に発熱するものである。グロープラグ80は、ここでは略棒状であるが、これ以外の形状を有してもよい。グロープラグ80は、ここではその先端部つまり加熱部80aが吸気通路60のうち吸気ポート38に位置するように、吸気ポート38を区画形成するシリンダヘッド24に設けられている。シリンダヘッド24には、ヘッドカバー26側から吸気ポート38に向けて差し込むように、グロープラグ80は設けられている。 【0037】 前述のECU70は、吸気温センサ、潤滑油の温度を計測するための油温計などの各種温度センサにも接続され、内燃機関10の始動時などにグロープラグ80をON状態にする。つまり、ECU70は機能部としてグロープラグ制御部78も備えていて、グロープラグ80の制御のためのプログラム及び各種データも記憶する。例えば、内燃機関10の始動時に吸気温センサにより検出された吸気温が所定温度よりも低いとき、ECU70はグロープラグ80をONにする(グロープラグ80を作動させる)。この場合、内燃機関10の始動開始から所定時間が経過したとき、ECU70はグロープラグ80をOFFにする(グロープラグ80の作動を停止させる)。また、内燃機関10の始動時に油温計により検出された油温が所定温度以下のとき、ECU70はグロープラグ80をONにする。そして、油温が所定温度を超えたとき、ECU70はグロープラグ80をOFFにする。初期状態では、グロープラグ80はOFFにされている。なお、グロープラグ80の加熱部80aは、燃料Fを加熱するが、燃焼を生じさせないような温度で発熱する。グロープラグ80がON状態のとき、例えば加熱部80aは50℃程度の温度を有することができるが、これ以外の温度を有してもよい。 【0038】 グロープラグ80は、図2に示すように、燃料噴射弁66から噴射された燃料Fが直接当たるように設けられていて、より具体的にはその加熱部80aに燃料Fが直接当たるように設けられている。図2では、噴霧燃料Fの飛散領域を破線で示していて、その領域に、グロープラグ80の加熱部80aは位置付けられている。 【0039】 上記構成を有する内燃機関10によれば、吸気通路60にグロープラグ80の加熱部80aが位置するようにグロープラグ80が設けられている。そしてそのグロープラグ80はシリンダヘッド24に設けられ、その加熱部80aは吸気ポート38に位置付けられていて、燃料噴射弁66からの燃料Fが通り得る領域に位置付けられている。したがって、グロープラグ80で燃料噴射弁66からの燃料を直接的に加熱することができる。これにより、燃料の揮発性を高めつまりその気化を促し、よって冷間始動時などにおける内燃機関の始動性を高めることができる。 【0040】 次に、本発明の第2実施形態に係る内燃機関110について図3から図5に基づいて説明する。なお、以下では、内燃機関110における第1実施形態に係る内燃機関10との相違点を主に説明し、その他の説明を省略する。図3及び図4は内燃機関110の主に吸気系の断面図であり、グロープラグ112の加熱部112aの向きの点で相違する。図5は、内燃機関110の吸気通路60のうち吸気ポート38に直交する仮想面での内燃機関110の断面図である。 【0041】 内燃機関110では、グロープラグ112は、図3及び図4において紙面奥側から手前側に向けて延びるようにシリンダヘッド24に設けられ、これによりその加熱部112aは吸気ポート38に位置付けられている。このグロープラグ112の設置位置は、燃料噴射弁66から噴射された燃料Fが加熱部112aに直接当たるように定められている。 【0042】 加熱部112aは、グロープラグ112の軸線112bに沿って延びる軸部112cと、この軸部112cに取り付けられた翼部112dとを備えている。翼部112dは、軸線112bから径方向に突出する突出部であり、ここでは軸線112bに沿って延びる軸部112cから径方向に突出する。翼部112dは平板状であり、特にここでは翼部112dは略矩形の平板状であり、軸部112cの両側に同じ量突き出て、軸線112b周りに180°回転対称な形状を有するように設けられているが(図5参照)、他の形状を有してもよい。翼部112dは、周囲の側面と、この側面よりも広い面(以下、主面)112gを有する。つまり、翼部112dはフィンと称されてもよく、フィンとして機能するように構成され、グロープラグ112の加熱部112aの熱を放熱するように構成されている。 【0043】 グロープラグ112は、その軸線112b回りに回動可能に設けられている(図5の矢印参照)。図5に示すように、グロープラグ112は、その軸線112bに沿って並ぶ加熱部112aと、この加熱部112aの基端側の本体部112eとを有している。吸気ポート38に位置付けられる加熱部112aを支持する本体部112eはシリンダブロック22に固定されている。なお、その本体部112eには図示しない電源ケーブルが接続されている。本体部112eには、レバー112fが設けられている。レバー112fが操作されることで、グロープラグ112の加熱部112aは軸線112b周りに回動する。なお、符号113はオイルシールである。 【0044】 本実施形態では、スロットル弁62cは、運転者の操作部にケーブル(不図示)でつながり、機械的に作動される弁である。このケーブルは更に駆動機構114につながり、スロットル弁62cが操作されるとき駆動機構114が連動することで、グロープラグ112は、スロットル弁62cと連動する。ここでは、スロットル弁62cの開度が所定開度以下の開度になるように操作部が操作されているとき(例えば操作部が操作されていないとき)、グロープラグ112の加熱部112aが吸気ポート38に広くひろがる第1位置P1(図3及び図5参照)になるようにグロープラグ112の加熱部112aは復帰バネ(不図示)により回動される。加熱部112aが第1位置P1にあるとき、前述の翼部112dは、吸気ポート38で燃料噴射弁66の噴霧軸線66aに略直交するように広がる(図3参照)。このとき、翼部112dの主面112gは、噴霧軸線66aに略直交し、吸気流れ方向に概ね向く。したがって、このとき、第1実施形態において説明したように冷間始動時などにグロープラグ112がONにされていれば、グロープラグ112よりも上流側の燃料噴射弁66から噴射された燃料Fは翼部112dの主面112gに向けて流れ、その燃料はより積極的に加熱される。 【0045】 他方、それ以外のとき、つまり、スロットル弁62cの開度が所定開度よりも大きくなるように操作部が操作されるとき、前述のケーブルが引っ張られ、これにより駆動機構114が作動し、復帰バネに抗して、グロープラグ112の加熱部112aは、第1位置P1にあるときよりも、吸気ポート38において吸気流れに対する抵抗を小さくする第2位置P2(図4参照)になるように回動される。図4に示すように、加熱部112aが第2位置P2にあるとき、前述の翼部112dは、吸気ポート38での吸気流れ方向に前述の主面112gが延びるように方向付けられる。このように、加熱部112aは、第2位置P2にあるとき、第1位置P1にあるときに比べて、吸気流れに対して抵抗が小さくなる。よって、スロットル弁62cの開度が所定開度よりも大きくなるとき、より好適に吸気を燃焼室32に吸入することができる。なお、このとき、グロープラグ112よりも上流側の燃料噴射弁66から噴射された燃料Fは翼部112dの主面112gに衝突するのではなくその主面112gに沿って滑らかに流れるとよい。 【0046】 なお、グロープラグ112は、加熱部112aが本体部112eに対して相対回転可能であり、加熱部112aのみがグロープラグ112の軸線112b周りに回動可能であるように構成されているが、これ以外の構成を有することも可能である。つまり、本実施形態では、グロープラグ112は、少なくとも加熱部112aのみが可動式であるとよい。例えば、グロープラグ112の加熱部112aと本体部112eは相対回転不可能に構成され、加熱部112aが回転するとき、本体部112eも加熱部112aと一緒に回転してもよい。 【0047】 また、グロープラグ112の加熱部112aのこの回動は、スロットル弁62cと連動しなくてもよく、運転者により個別に操作されてもよい。あるいは、グロープラグ112の加熱部112aのこの回動は、グロープラグ112のON-OFFに応じて行われてもよく、吸気温などに基づいて、ECU70により制御されてもよい。例えば、内燃機関10の始動時に吸気温センサにより検出された吸気温が所定温度よりも低いとき、グロープラグ112をONにするとともに、加熱部112aを、図4に示す第2位置P2から、図3及び図5に示す第1位置P1に位置付けるように、ECU70は、グロープラグ112又は加熱部112aの作動を制御してもよい。その後、内燃機関10の始動開始から所定時間が経過したとき、ECU70はグロープラグ80をOFFにし、グロープラグ112又は加熱部112aを動かして、加熱部112aを第2位置P2に位置付けるように、グロープラグ112又は加熱部112aの作動を制御してもよい。この場合、初期状態では、加熱部112aは第2位置P2に位置付けられるとよい。 【0048】 次に、本発明の第3実施形態に係る内燃機関210について図6から図8に基づいて説明する。なお、以下では、内燃機関210における第1実施形態に係る内燃機関10との相違点を主に説明し、その他の説明を省略する。図6は内燃機関210のシリンダヘッド24の燃焼室天井面24tをシリンダブロック22側からみた図であり、図7は図6のVII-VII線に沿った位置での内燃機関210の一部の断面図であり、図8は内燃機関210の吸気弁44及びグロープラグ212が配置された副ポート214の副弁218を開弁するための動弁機構48の一部を説明するための模式図である。 【0049】 図6に示すように、内燃機関210は、単気筒エンジンである。シリンダヘッド24の燃焼室天井面24tには、1気筒につき、2つの吸気弁口34と、2つの排気弁口36が開口し、更に副吸気弁口216が開口している。シリンダヘッド24において、吸気通路60は、2つの主流路である吸気ポート38と、1つの副流路である副ポート214とに分かれる。副流路である副ポート214は、吸気ポートであり、2つの吸気ポート38の分岐部からそれらから分かれ、2つの吸気ポート38の間において天井面24tに延び、副吸気弁口216で開口する。なお、図6において、吸気ポート38と副ポート214とは部分的に重なっているが、それらは3次元立体的に分かれている。 【0050】 図7に示すように、副ポート214の副吸気弁口216を開閉するように副弁218が設けられている。シリンダヘッド24の副ポート214を区画形成する壁部214aに一体に円筒状の副弁ガイド218aが嵌着されていて、その副弁ガイド218aに副弁218は摺動可能に支持されている。なお、図6及び図7において、符号219は点火プラグである。 【0051】 図8に示すように、動弁機構48のロッカアームシャフト47iには、2つの吸気弁口34を開閉するための2つの吸気弁44のための2つの吸気ロッカアーム48iの他、副弁用ロッカアーム220が揺動自在に中央部を軸支されている。副弁用ロッカアーム220の一端は、カム軸48aの吸気カムロブと同構成のカムロブに接し、他端がスプリング(不図示)で付勢された副弁218のバルブステム218sの上端に接する。カム軸48aの回転により吸気ロッカアーム48iが揺動することに加えて副弁用ロッカアーム220が揺動することで、吸気弁44の開閉駆動とともに副弁218は開閉駆動される。つまり、ここでは、副弁218は、吸気弁44と概ね同じタイミングで開閉される。なお、図8では、ロッカアームシャフト47iに吸気ロッカアーム48iと副弁用ロッカアーム220が軸支され、それらが一緒に動かされて、吸気弁44及び副弁218が開閉する構成の一部を模式的に示している。 【0052】 燃料噴射弁(以下、第2燃料噴射弁)222は、上記燃料噴射弁66に加えて、設けられている。第2燃料噴射弁222は、副ポート214に燃料を指向するように、より具体的には副ポート214に燃料を噴射するように、シリンダヘッド24に設けられている。 【0053】 グロープラグ212は、燃料噴射弁222から副ポート214に噴射された燃料Fを加熱するように、副ポート214にグロープラグ212の加熱部212aが位置するようにシリンダヘッド24に設けられている。 【0054】 冷間始動時、例えば内燃機関10の始動時に油温計により計測された油温が所定温度以下であり、吸気温センサにより検出された吸気温が所定温度よりも低いとき、燃料噴射弁66からの燃料噴射は行われず、ECU70は所定のタイミングで、例えば吸気行程で吸気弁44及び副弁218が開弁される前に第2燃料噴射弁222から燃料を噴射させる。このときグロープラグ212はON状態にされているので、グロープラグ212の加熱部212aは発熱していて、それにより燃料Fは加熱される。そして、吸気行程で吸気弁44及び副弁218が開弁されると、吸気ポート38から燃焼室32に吸気が吸入され、副ポート214から燃焼室32に加熱された燃料Fが吸入される。これにより、燃焼室32での燃料の燃焼性、つまり内燃機関210の始動性を高めることができる。なお、第2燃料噴射弁222から燃料を噴射するとともに、グロープラグ212がON状態にされるのは、油温が所定温度以下であり、かつ、吸気温が所定温度よりも低いときに限定されず、それ以外のときに実行されてもよく、例えば油温が所定温度以下のとき、あるいは、吸気温が所定温度よりも低いときに実行されることができる。 【0055】 その後、例えば内燃機関10の始動開始から所定時間が経過したとき、ECU70はグロープラグ212をOFFにするとともに、燃料噴射弁66からの燃料噴射を開始し、第2燃料噴射弁222からの燃料の噴射をやめる。これにより、吸気ポート38を介して吸気とともに燃料は燃焼室32に吸引されるようになる。このとき、副ポート214から燃料の一部が吸気行程で吸入されるときもある。 【0056】 なお、上記内燃機関210では、1気筒当たり、2つの吸気ポート38と1つの副ポート214が設けられた。しかし、1気筒当たりの吸気ポートの数は2つに限定されず、1つ又は3つ以上であってもよい。同様に、1気筒当たりの副ポートの数は1つに限定されず、2つ以上であってもよいが、好ましくは1つである。 【0057】 なお、従来のグロープラグの利用としては、ディーゼルエンジンにおいて燃焼室に突き出るようにグロープラグを設けることが提案されている(例えば特開2020-176567号公報参照)。この場合、高温高圧になる燃焼室にグロープラグを設けるので、その耐久性の観点から取付構造は複雑になり得る。これに対して、上記内燃機関1、10、110、210では、吸気通路にグロープラグが設けられるので、その耐久性は自然と向上し、そのような従来技術に比べて、その取付構造の簡素化も図ることができる。 【0058】 以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はそれらに限定されない。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。 【0059】 なお、上記実施形態に係る内燃機関では、アルコール燃料を燃料に用いた。しかし、本発明は、他の燃料を用いる内燃機関にも適用でき、例えばガソリンを燃料に用いる内燃機関にも適用することができる。 【符号の説明】 【0060】 1、10、110、210…内燃機関、2…吸気通路、3…吸気弁、4…燃焼室、5…排気弁 6…排気通路、7…燃料噴射弁、8…点火プラグ(点火装置) 22…シリンダブロック、24…シリンダヘッド、26…シリンダヘッドカバー 32…燃焼室、34…吸気弁口、36…排気弁口、38…吸気ポート、40…排気ポート 48…動弁機構、60…吸気通路、62…スロットルボディ、62c…スロットル弁 66…燃料噴射弁、9、80、112、212…グロープラグ、9a、80a、112a、212a…加熱部 214…副ポート、216…副吸気弁口、218…副弁、222…燃料噴射弁
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