JP2023050940A 审中 无线通信装置、通信控制方法及程序
【技術分野】 【0001】 本発明は、無線通信装置、通信制御方法およびプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 単位時間当たりの送信時間の総和が制限された環境での無線通信に使用される通信システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2013-115755号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、特許文献1に記載されているような通信システムでは、1時間当たりに送信可能な時間が360秒と制限されているような通信経路において、通信経路における総送信時間が規定値を超過しそうになった場合に通信経路を変更することで送信時間の超過を回避している。しかしながら、この方法では総送信時間の超過を回避する手段として経路切り替えに依存しているため、仮に切り替え可能な全ての経路で総送信時間の上限に達してしまった場合には最終的に無線フレームの送信が行えない状態となる問題点があった。 【0005】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、単位時間当たりに送信できるデータ量を制限することで、通信経路に割り当てられた総送信時間の超過を回避し、緊急性のあるアプリケーションからの送信機会を常に確保できる無線通信装置、通信制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記目的を達成するために、本発明に係る無線通信装置は、 他の無線通信装置へのデータフレームを取得するフレーム取得部と、 前記データフレームを一時的に記憶することが可能なフレームバッファと、 前記データフレームの送信要求が発生すると、前記データフレームに対応するアプリケーションを特定するアプリケーション特定部と、 前記送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去に遡った時点から前記発生時点までの期間における、特定された前記アプリケーションに対応する前記データフレームの送信流量を算出する送信流量算出部と、 前記送信流量算出部により算出された前記送信流量が予め設定された流量閾値以下であるか否かを判定する流量判定部と、 前記データフレームの送信を制御する送信制御部であって、 (i)前記流量判定部により前記送信流量が前記流量閾値を超えると判定されると、前記フレーム取得部が取得した前記データフレームを前記フレームバッファに記憶させ、 (ii)前記流量判定部により前記送信流量が前記流量閾値以下であると判定され且つ、 (a)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶していない場合、前記フレーム取得部が取得した前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信し、 (b)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶している場合、前記フレームバッファが記憶する前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信する 送信制御部と、を備える。 【0007】 他の観点から見た本発明に係る通信制御方法は、 他の無線通信装置へのデータフレームを取得するステップと、 前記データフレームの送信要求が発生すると、前記データフレームに対応するアプリケーションを特定するステップと、 前記送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去に遡った時点から前記発生時点までの期間における、特定された前記アプリケーションに対応する前記データフレームの送信流量を算出するステップと、 算出された前記送信流量が予め設定された流量閾値以下であるか否かを判定するステップと、 (i)前記送信流量が前記流量閾値を超えると判定されると、取得した前記データフレームを、前記データフレームを一時的に記憶することが可能なフレームバッファに記憶させるステップと、 (ii)前記送信流量が前記流量閾値以下であると判定され且つ、 (a)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶していない場合、取得した前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信し、 (b)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶している場合、前記フレームバッファが記憶する前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信する ステップと、を含む。 【0008】 他の観点から見た本発明に係るプログラムは、 コンピュータを、 他の無線通信装置へのデータフレームを取得するフレーム取得部、 前記データフレームの送信要求が発生すると、前記データフレームに対応するアプリケーションを特定するアプリケーション特定部、 前記送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去に遡った時点から前記発生時点までの期間における、特定された前記アプリケーションに対応する前記データフレームの送信流量を算出する送信流量算出部、 前記送信流量算出部により算出された前記送信流量が予め設定された流量閾値以下であるか否かを判定する流量判定部、 前記データフレームの送信を制御する送信制御部であって、 (i)前記流量判定部により前記送信流量が前記流量閾値を超えると判定されると、前記フレーム取得部が取得した前記データフレームを、前記データフレームを一時的に記憶することが可能なフレームバッファに記憶させ、 (ii)前記流量判定部により前記送信流量が前記流量閾値以下であると判定され且つ、 (a)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶していない場合、前記フレーム取得部が取得した前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信し、 (b)前記フレームバッファが前記データフレームを記憶する場合、前記フレームバッファが記憶する前記データフレームを前記他の無線通信装置へ送信する ように前記データフレームの送信を制御する送信制御部、 として機能させる。 【発明の効果】 【0009】 本発明に係る無線通信装置によれば、データフレームの単位時間当たりの送信流量を流量閾値以下に維持しつつ、単位時間当たりのデータフレームの送信可能時間の枯渇を回避できるので、緊急性の高いデータフレームの送信機会を常に確保することができる。 【図面の簡単な説明】 【0010】 【図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示す図である。 【図2】実施の形態1に係る無線通信装置のハードウェア構成を示す図である。 【図3】実施の形態1に係る無線通信装置の機能構成を示す図である。 【図4】実施の形態1に係るDBPS記憶部が記憶する情報の内容を示す図である。 【図5】(A)は実施の形態1に係る流量閾値記憶部が記憶する情報の内容を示す図であり、(B)は実施の形態1に係る流量閾値の設定の一例を示す図である。 【図6】実施の形態1に係る無線通信装置が実行する通信制御処理の流れを示すフローチャートである。 【図7】実施の形態1に係る無線通信装置が実行する通信制御処理の流れを示すフローチャートである。 【図8】実施の形態1に係る無線通信装置の動作説明図であり、(A)は送信要求発生時点において単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超える状態を示す図であり、(B)は送信要求発生時点において単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下となった状態を示す図であり、(C)はフレームバッファが記憶するフレームを送信している状態を示す図である。 【図9】実施の形態2に係る無線通信装置の機能構成を示す図である。 【図10】実施の形態2に係る無線通信装置が実行する通信制御処理の流れを示すフローチャートである。 【図11】実施の形態2に係る無線通信装置の動作説明図であり、(A)は送信要求発生時点において単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超える状態を示す図であり、(B)は送信要求発生時点において単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下となった状態を示す図であり、(C)はフレームバッファが記憶するフレームを送信している状態を示す図である。 【図12】変形例に係る流量閾値記憶部が記憶する情報の内容を示す図である。 【発明を実施するための形態】 【0011】 (実施の形態1) 以下、本発明の一実施の形態に係る無線通信装置について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る無線通信装置は、他の無線通信装置へのデータフレームを取得するフレーム取得部と、データフレームを一時的に記憶することが可能なフレームバッファと、データフレームの送信要求が発生すると、データフレームに対応するアプリケーションを特定するアプリケーション特定部と、送信流量算出部と、流量判定部と、送信制御部と、を備える。ここで、送信流量算出部は、送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去に遡った時点から前述の送信要求の発生時点までの期間における、特定されたアプリケーションに対応するデータフレームの単位時間当たりの送信流量を算出する。単位時間当たりの送信流量の求め方は後述する。流量判定部は、送信流量算出部により算出された単位時間当たりの送信流量が予め設定された流量閾値以下であるか否かを判定する。送信制御部は、流量判定部により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると、フレーム取得部が取得したデータフレームをフレームバッファに記憶させる。また、送信制御部は、流量判定部により単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定され且つフレームバッファがデータフレームを記憶していない場合、フレーム取得部が取得したデータフレームを他の無線通信装置へ送信するようにデータフレームを処理する。更に、送信制御部は、流量判定部により単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定され且つフレームバッファがデータフレームを記憶する場合、フレームバッファが記憶するデータフレームを他の無線通信装置へ送信するようにデータフレームを処理する。 【0012】 図1は、実施の形態1に係る通信システムの構成を示す図である。通信システムは、例えば、工場などで産業機器の稼働状況を監視するカメラ、産業機器の異常を作業者が気付いた時に押下する緊急停止装置などからの情報を、管理者が遠隔操作で収集する場合などに適用される。 【0013】 図1に示すように、本実施の形態に係る無線通信装置1は、ネットワークNW1を介して動画像情報をストリーミング配信するサーバ4と、緊急事態が生じた場合に利用者より押下される緊急停止釦を有する緊急停止釦装置5と、に接続されている。また、無線通信装置2は、ネットワークNW2を介して利用者の管理用のPC(Personal Computer)3に接続されている。ここで、ネットワークNW1、NW2は、本実施の形態では、例えば有線LAN(Local Area Network)で説明するが、無線LANであってもよい。また、無線通信装置1、2同士は、互いに無線通信可能となっている。 【0014】 サーバ4は、PC3向けにストリーミング配信する動画像情報を含むデータフレームを無線通信装置1へ送信する。緊急停止釦装置5は、緊急停止釦が押下されると、PC3に対して緊急停止釦が押下された場合に対応する処理を実行させるための制御情報を含むデータフレームを無線通信装置1へ送信する。 【0015】 本実施の形態に係る無線通信装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、無線モジュール105と、有線通信インタフェース106と、を備える。主記憶部102は、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ、または、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、無線通信装置1、2を制御するためのプログラムを記憶する。CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行する。有線通信インタフェース106は、ネットワークNW1に接続され、サーバ4または緊急停止釦装置5から転送されてきたデータフレームをCPU101へ転送する。 【0016】 無線モジュール105は、単位時間当たりの送信時間の総和が制限される通信帯域、例えば920MHz帯を利用する無線モジュールである。より具体的には、IEEE802.11ahに準拠した無線LAN規格に適合する通信方式で通信する。無線モジュール105は、アンテナ(図示せず)と、受信回路(図示せず)と、信号処理部(図示せず)と、送信回路(図示せず)と、を有する。受信回路は、アンテナを介して無線信号を受信し、受信した無線信号に対応する信号を復調してベースバンド信号を生成して信号処理部へ出力する。送信回路は、信号処理部から入力されるベースバンド信号を用いてキャリア信号を変調することにより、送信フレームに対応する無線信号を生成し、生成した無線信号を、アンテナを介して送信する。ここで、送信回路は、CPU101から指示されるMCS情報に基づいて、当該MCS情報に対応する変調方式でキャリア信号を変調する。信号処理部は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現され、受信回路から入力されるベースバンド信号に基づいて受信回路が受信した無線信号に対応するフレームを生成してバス109へ送出する。また、信号処理部は、主記憶部102からバス109を介して転送されてきたデータフレームに基づいてベースバンド信号を生成して送信回路へ出力する。 【0017】 無線通信装置1では、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図3に示すように、フレーム取得部111、送信要求部112、アプリケーション(以下、適宜「AP」と称する。)特定部113、送信流量算出部114、流量判定部115、送信制御部116、MCS(Modulation and Coding Scheme)設定部117、流量閾値設定部118およびフレーム分割部119として機能する。また、図2に示す補助記憶部103は、DBPS(Data Bit Per Symbol)記憶部131と、流量閾値記憶部132と、MCS記憶部133と、を有する。更に、図2に示す主記憶部102は、図3に示すように、サーバ4または緊急停止釦装置5からネットワークNW1を介して取得したデータフレームを一時的に記憶するフレームバッファ121として機能する。 【0018】 DBPS記憶部131は、例えば図4に示すように、1シンボル当たりに含ませることができるシンボル単位データサイズであるDBPSを、各MCSを識別するMCS識別番号に対応づけて記憶している。図4に示す例では、無線通信装置1が1ストリーム且つ帯域幅1MHzでデータフレームを送信できる場合の例を示している。 【0019】 流量閾値記憶部132は、例えば図5(A)に示すように、サーバ4または緊急停止釦装置5から送信されるデータフレームに対応するアプリケーションそれぞれに許容される送信流量の上限に相当する流量閾値を示す流量閾値情報を、各アプリケーションを識別するアプリケーション識別情報に対応づけて記憶する。ここで、送信流量は、各アプリケーションについて、予め設定された基準時間当たりに無線通信装置1から送信されるデータ量であり、例えば1sec当たりに送信されるデータ量で定義される。流量閾値は、各アプリケーションの緊急度やアプリケーションが送信するデータサイズなどを勘案して決定される。例えば、本実施の形態では、サーバ4から送信されるデータは大きいが緊急度は高くない一方、緊急停止釦装置5から送信されるデータ量は小さいが緊急度は高い。また、流量閾値は、全てのアプリケーションの基準時間当たりに送信が許容される許容データ量の総和に相当する最大許容送信流量のうちの各アプリケーションによる消費が許容される割合である最大消費率に基づいて算出される。この場合、各アプリケーションの流量閾値設定は、例えば図5(B)に示すように、後述する最大許容送信流量に対する各アプリケーションの最大消費率から設定される。図5(B)に示す例では、アプリケーション識別情報IDA[0]、IDA[1]、IDA[2]で識別される各アプリケーションが、最大許容送信流量の80%、10%、5%まで消費できることを示している。なお、図5(B)に示す各アプリケーションに割り当てられる最大消費率は、例えばユーザが設定ツールなどを用いて事前に適宜設定してもよい。また、最大消費率は、例えば想定されるアプリケーションの用途(動画、優先度の高いデータなど)に応じて、工場出荷時に予め設定されていてもよい。 【0020】 MCS記憶部133は、無線モジュール105に設定されている、無線モジュール105が他の無線通信装置2へデータフレームを送信する際に使用するMCSを識別するMCS識別番号を示す情報を記憶する。 【0021】 フレーム取得部111は、サーバ4または緊急停止釦装置5からネットワークNW1および有線通信インタフェース106を介して、無線通信装置2に向けて送信されるべきデータフレームを取得する。フレーム取得部111は、取得したデータフレームを送信制御部116に通知する。また、フレーム取得部111は、データフレームを取得すると、データフレームを取得したことを送信要求部112に通知する。 【0022】 送信要求部112は、フレーム取得部111からデータフレームを取得したことを通知されたとき、データフレームの無線通信装置2への送信要求が発生したと判定し、データフレームの送信要求が発生したことをAP特定部113および送信制御部116に通知する。また、送信要求部112は、予め設定された送信要求時期が到来したときにも、データフレームの無線通信装置2への送信要求が発生したと判定し、データフレームの送信要求が発生したことを送信制御部116に通知する。ここで、送信要求時期は、例えば予め設定された一定の周期で到来するように設定される。 【0023】 AP特定部113は、送信要求部112によりデータフレームの送信要求が発生したと判定されると、フレーム取得部111が取得したデータフレームに対応するアプリケーションを特定する。AP特定部113は、例えばデータフレームのヘッダ情報に含まれるアプリケーションを識別することができる情報に基づいて、データフレームに対応するアプリケーションを特定する。AP特定部113は、特定したアプリケーションを示す情報を送信流量算出部114に通知する。 【0024】 送信流量算出部114は、送信要求部112により送信要求が発生したと判定された時点、即ち、送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去の時点から前述の送信要求の発生時点までの期間における、AP特定部113により特定されたアプリケーションに対応するデータフレームの送信流量を算出する。ここで、基準時間は、例えば1secに設定される。 【0025】 流量判定部115は、流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値の中から、AP特定部113により特定されたアプリケーションに対応づけられた流量閾値を選出する。そして、流量判定部115は、送信流量算出部114により算出された単位時間当たりの送信流量が、選出した流量閾値以下であるか否かを判定する。そして、流量判定部115は、判定結果を送信制御部116に通知する。 【0026】 送信制御部116は、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が前述の流量閾値を超えると判定されると、フレーム取得部111から通知されるデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる。また、送信制御部116は、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定され且つフレームバッファ121がデータフレームまたは後述のサブデータフレームを記憶していない場合、フレーム取得部111から通知されるデータフレームを無線モジュール105へ転送する。更に、送信制御部116は、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が前述の流量閾値以下であると判定され且つフレームバッファ121がデータフレームまたはサブデータフレームを記憶しない場合、フレームバッファ121が記憶するデータフレームを無線モジュール105へ転送する。 【0027】 MCS設定部117は、予め設定された複数種類のMCSの中から1つのMCSを選定し、選定したMCSを示すMCS情報を生成して無線モジュール105へ転送する。そして、MCS設定部117は、生成したMCS情報をMCS記憶部133に記憶させる。ここで、MCS設定部117は、例えば無線通信装置2宛てに送信するデータフレームに対応するアプリケーションの種類に応じてMCSを選定するものであってもよい。 【0028】 流量閾値設定部118は、DBPS記憶部131が記憶するDBPSの中から、MCS記憶部133が記憶するMCS情報が示すMCSに対応するDBPSを選出する。そして、流量閾値設定部118は、選出したDBPSに基づいて、流量閾値を算出し、算出した流量閾値をアプリケーションに対応づけて流量閾値記憶部132に記憶させる。 【0029】 ここで、流量閾値設定部118が、無線通信においてIEEE802.11ah規格を使用し、無線モジュール105に設定されたMCSのMCS識別番号が「0」、基準時間を1sec、チャネル幅1MHz、ガードインターバルをショートモードとした場合の流量閾値の決定方法について説明する。IEEE802.11ah規格を使用する場合、1つのデータフレームの送信時間が、最大で27920μsecとなっている。従って、基準時間内に送信できるデータフレームは、送信時間27920μsecのデータフレーム35個と、送信時間22800μsecのデータフレーム1つとなる。ここで、データフレームのプリアンブルの送信時間として、600μsecが必要となるため、データフレームにおけるプリアンブルを除く部分の送信に使用できる時間は、送信時間27920μsecのデータフレームでは、27320μsec(=27920μsec-600μsec)となり、送信時間22800μsecのデータフレームでは、22200μsec(22800μsec-600μsec)となる。ここで、ガードインターバルがショートモードである場合、1シンボルの送信に要する時間が36μsecであるため、各データフレームについて送信できるデータシンボル数は、送信時間27920μsecのデータフレームの場合、758シンボル(27320/36)、送信時間22800μsecのデータフレームの場合、616シンボル(22200/36)となる。つまり、基準時間内に送信できるデータシンボル数は、27146(=758×35+616)となる。そして、MCSのMCS識別番号が「0」の場合、DBPSは「12」となるため、例えば3600secの予め設定された送信周期内で送信できる最大データ量は、27146×12=325752bitとなる。ここで、MCS識別番号「N」(N=0、1、···、9)に対応するDBPSをD[N]とすると、前述の送信周期内で送信できる最大データ量は、27146×D[N]bitとなる。但し、送信可能時間は、後述する国内法の規制に従えばデューティ比で送信周期の10%以内となるため、送信可能時間は最大で360secとなる。そうすると、MCSのMCS識別番号が「0」の場合、3600secの時間内に送信できる最大データ量は、117270720bit(=360sec×325752bit/sec)、即ち、約117Mビットとなる。また、MCSのMCS識別番号が「N」の場合、3600secの時間内に送信できる最大データ量は、360sec×(27146×D[N])bit/sec)となる。そして、この最大データ量を基準時間1sec当たりの最大データ量、即ち、最大許容送信流量に換算するとMCSのMCS識別番号が「0」の場合、32kbps(=117Mbit/3600sec)となる。また、MCSのMCS識別番号が「N」の場合、2714.6×D[N]bit/secとなる。 【0030】 流量閾値設定部118は、各アプリケーションに対応する流量閾値の総和が、この最大許容送信流量以下となるように、流量閾値を設定する。例えば、アプリケーションの流量閾値設定が、例えば前述の図5(B)に示すように、アプリケーション識別情報IDA[0]、IDA[1]、IDA[2]で識別される各アプリケーションについて最大許容送信流量の80%、10%、5%に設定されているとする。この場合、流量閾値設定部118は、MCSのMCS識別番号が「0」の場合、アプリケーション識別情報IDA[0]、IDA[1]、IDA[2]で識別される各アプリケーションに対応する流量閾値を25.6kbps、3.2kbps、1.6kbpsに設定する。また、流量閾値設定部118は、MCSのMCS識別番号が「N」の場合、アプリケーション識別情報IDA[0]、IDA[1]、IDA[2]で識別される各アプリケーションに対応する流量閾値を2714.6×D[N]×0.8bps、2714.6×D[N]×0.1bps、2714.6×D[N]×0.05bpsに設定する。 【0031】 フレーム分割部119は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームのサイズが予め設定された上限フレームサイズを超える場合、データフレームを、サイズが上限フレームサイズ以下の複数のサブデータフレームに分割してフレームバッファ121に記憶させる。ここで、上限フレームサイズは、例えば各アプリケーションに対応した流量閾値に等しいサイズに設定される。この場合、フレーム分割部119は、流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値の中からAP特定部113により特定されたアプリケーションに対応する流量閾値を特定する。そして、フレーム分割部119は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームのサイズが特定した流量閾値を超える場合、データフレームを、サイズが流量閾値以下の複数のサブデータフレームに分割してフレームバッファ121に記憶させる。また、フレーム分割部110は、データフレームから複数のサブデータフレームを生成する際、複数のサブデータフレームを結合して再び1つのデータフレームを復元する際に必要なデータフレーム識別情報、インデックス情報等を含むサブデータフレームを生成する。 【0032】 次に、本実施の形態1に係る無線通信装置1が実行する通信制御処理について図6および図7を参照しながら詳細に説明する。この通信制御処理は、例えば無線通信装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。また、流量閾値設定部118は、MCS設定部117がMCSを更新する毎に、更新後のMCSに対応するDBPSを新たに選出して新たに流量閾値を算出して流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値を更新しているものとする。 【0033】 まず、フレーム取得部111は、サーバ4または緊急停止釦装置5から有線通信インタフェース106を介してPC3宛てのデータフレームを取得したか否かを判定する(ステップS1)。ここで、フレーム取得部111は、データフレームを取得していないと判定する限り(ステップS1:No)、ステップS1の処理を繰り返し実行する。 【0034】 一方、フレーム取得部111は、データフレームを取得したと判定すると(ステップS1:Yes)、データフレームを取得したことを送信要求部112に通知する。そして、送信要求部112は、これに応じて、データフレームの無線通信装置2への送信要求が発生したと判定する。このとき、送信要求部112は、送信要求が発生したことをAP特定部113および送信制御部116に通知する。次に、AP特定部113は、フレーム取得部111が取得したデータフレームに対応するアプリケーションを特定する(ステップS2)。そして、AP特定部113は、特定したアプリケーションを示す情報を送信流量算出部114に通知する。 【0035】 続いて、送信流量算出部114は、AP特定部113により特定されたアプリケーションについて、送信要求の発生時点から予め設定された基準時間だけ過去の時点を始点とし、前述の送信要求の発生時点までの期間における、データフレームの過去の送信流量を算出する(ステップS3)。 【0036】 その後、流量判定部115は、流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値の中から、AP特定部113により特定されたアプリケーションに対応づけられた流量閾値を選出する。そして、流量判定部115は、送信流量算出部114により算出された過去の送信流量を、予め設定された基準時間で割った単位時間当たりの流量が、選出した流量閾値以下であるか否かを判定する(ステップS4)。ここで、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定されると(ステップS4:Yes)、送信制御部116は、フレーム取得部111から通知されたデータフレームを無線モジュール105へ転送する(ステップS5)。次に再びステップS1の処理が実行される。 【0037】 一方、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると(ステップS4:No)、送信制御部116は、フレーム取得部111から通知されたデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる(ステップS6)。続いて、フレーム分割部119は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームのサイズが前述の予め設定された上限フレームサイズを超えるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、フレーム分割部119は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームのサイズが前述の上限フレームサイズ以下であると判定すると(ステップS7:No)、後述のステップS9以降の処理が実行される。一方、フレーム分割部119は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームのサイズが前述の上限フレームサイズを超えると判定すると(ステップS7:Yes)、データフレームを分割して複数の上限フレームサイズ以下のサブデータフレームを生成する(ステップS8)。フレーム分割部119は、生成した複数のサブデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる。 【0038】 その後、フレーム取得部111は、新たにデータフレームを取得したか否かを判定する(ステップS9)。ここで、フレーム取得部111が、新たにデータフレームを取得していないと判定すると(ステップS9:No)、後述のステップS12以降の処理が実行される。一方、フレーム取得部111が、新たにデータフレームを取得したと判定すると(ステップS9:Yes)、送信要求部112が、これに応じて、データフレームの無線通信装置2への送信要求が発生したと判定し、送信要求が発生したことをAP特定部113および送信制御部116に通知する。次に、AP特定部113は、フレーム取得部111が取得したデータフレームに対応するアプリケーションを特定する(ステップS10)。続いて、AP特定部113は、特定したアプリケーションが先に特定したアプリケーションと異なるアプリケーションであるか否かを判定する(ステップS11)。例えばここにおいて、AP特定部113は、例えば先に特定したアプリケーションがサーバ4から送信されたデータフレームに対応するアプリケーションである場合において、その後、特定したアプリケーションが緊急停止釦装置5から送信されるデータフレームに対応するものである場合、異なるアプリケーションであると判定する。そして、AP特定部113が、特定したアプリケーションが先に特定したアプリケーションと異なるアプリケーションであると判定すると(ステップS11:Yes)、再びステップ3の処理が実行される。 【0039】 一方、AP特定部113が、特定したアプリケーションが先に特定したアプリケーションと同じアプリケーションであると判定したとする(ステップS11:No)。この場合、送信要求部112は、予め設定された送信要求時期が到来することにより送信要求が発生したか否かを判定する(ステップS12)。ここで、送信要求部112は、未だ送信要求が発生していないと判定すると(ステップS12:No)、再びステップS9の処理が実行される。一方、送信要求部112は、送信要求が発生したと判定したとすると(ステップS12:Yes)、特定したアプリケーションに対応するデータフレームの送信流量を算出する(ステップS13)。 【0040】 続いて、流量判定部115は、図7に示すように、AP特定部113により特定されたアプリケーションに対応づけられた流量閾値を選出し、送信流量算出部114により算出された単位時間当たりの送信流量が、選出した流量閾値以下であるか否かを判定する(ステップS14)。ここで、流量判定部115が、単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定すると(ステップS14:No)、データフレームをフレームバッファ121に記憶し(ステップS17)、再び前述のステップS9の処理が実行される。一方、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定されると(ステップS14:Yes)、送信制御部116は、フレームバッファ121が記憶するデータフレームまたはサブデータフレームを無線モジュール105へ転送する(ステップS15)。このとき、無線モジュール105は、送信制御部116から転送されてきたデータフレームまたはサブデータフレームを無線通信装置2へ送信する。その後、送信制御部116は、フレームバッファ121が未だデータフレームまたはサブデータフレームを記憶しているか否かを判定する(ステップS16)。ここで、送信制御部116が、フレームバッファ121が未だデータフレームまたはサブデータフレームを記憶していると判定すると(ステップS16:Yes)、再びステップS9の処理が実行される。一方、送信制御部116が、フレームバッファ121がデータフレームおよびサブデータフレームのいずれも記憶していないと判定すると(ステップS16:No)、再びステップS1の処理が実行される。 【0041】 ここで、図6におけるステップS3について、詳述する。本実施の形態に係る無線通信装置1は、例えば図8(A)に示すように、無線通信装置2宛てのデータフレームDF1を取得した時点、即ち、データフレームDF1を取得したことに起因した送信要求発生時点T2において、送信要求発生時点T2から基準時間dT1だけ遡った時点T1から送信要求発生時点T2までの間における送信流量FT2を基準時間dT1で割った値が流量閾値FTthを超えているとする。即ち、データフレームの送信時間が、データフレームの送信に使用できる上限時間dT2を超えているとする。この場合、無線通信装置1は、取得したデータフレームDF1をフレームバッファ121に一時的に退避させる。その後、無線通信装置1は、図8(B)に示すように次の送信要求時期が到来したことに起因した送信要求発生時点T3において、送信要求発生時点T3から基準時間dT1だけ遡った時点T4から送信要求発生時点T3までの間における送信流量FT3が流量閾値FTth以下になったとする。この場合、無線通信装置1は、図8(C)に示すように、フレームバッファ121に一時的に退避させておいたデータフレームの無線通信装置2への送信を開始する。 【0042】 また、フレームバッファ121に150Byteのデータフレームを一時的に退避させている状態であり且つ流量閾値以下で維持する条件で送信可能なデータフレームのサイズが100Byteであったとする。この場合、送信可能なデータフレームのサイズが150Byteまで回復した時点、即ち、150Byteのデータフレームを送信しても単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えないようになる時点で、フレームバッファ121が記憶するデータフレームを無線モジュール105へ転送する。これにより、送信流量を流量閾値以下の状態となるようにすることができる。 【0043】 ところで、日本国内では、900MHz帯域を使用する無線通信では、3600秒を1送信周期とした場合に1送信周期で360秒間しか無線送信が許可されないいわゆるデューティ比10%規制が存在している。このような制約が存在する環境下では、例えば1つのアプリケーションに対応するデータフレームだけが多量に送信されると、その1つのアプリケーションに対応するデータフレームの送信だけで許可されている送信可能時間を使い切ってしまい、他のアプリケーションに対応するデータフレームを送信することが出来なくなる虞がある。例えば、サーバ4から動画データを多量に送信し、送信可能時間が枯渇してしまうと、緊急事態が発生したときに緊急停止釦装置5から送信されるデータフレームのように、速報性が要求されるデータフレームが送信できなくなる虞がある。 【0044】 また、無線通信装置1に接続されるサーバ4で実行されるアプリケーションを、無線通信環境を考慮してデータフレームの単位時間当たりの送信流量が無線通信環境に基づいて設定される流量閾値以下となるように設計するのは、サーバ4そのものに無線通信環境の情報を入力させたり判定させたりする機能などが必要となるため非常に複雑かつ困難で合理的と言えない。更に、予め複数の通信チャネルを準備しておき、複数の通信チャネルのいずれか1つにおいて単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えた場合に他の通信チャネルへ変更する通信制御方法が考えられる。しかしながら、この通信制御方法では、複数の通信チャネルの全てにおいて単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えた状態となると、前述と同様の状況となる虞がある。 【0045】 これに対して、本実施の形態に係る無線通信装置1によれば、送信制御部116が、データフレームの単位時間当たりの送信流量がそのデータフレームにかかるアプリケーションで規定された流量閾値を超えると、フレーム取得部111が取得したデータフレームをそのまま送信せず、一旦フレームバッファ121に記憶させるようにデータフレームの送信を制御する。また、送信制御部116は、前述の単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であり且つフレームバッファ121がデータフレームおよびサブデータフレームを記憶していない場合、フレーム取得部111が取得したデータフレームを無線通信装置2へ送信するようにデータフレームの送信を制御する。更に、送信制御部116は、前述の単位時間当たりの送信流量が流量閾値以下であると判定され且つフレームバッファ121がデータフレームまたはサブデータフレームを記憶する場合、まずフレームバッファ121が記憶するデータフレームを無線通信装置2へ送信するようにデータフレームの送信を制御する。これにより、データフレームの単位時間当たりの送信流量を流量閾値以下に維持しつつ、単位時間当たりのデータフレームの送信可能時間の枯渇を回避できるので、無線通信装置2へ緊急性の高いデータフレームを送信する機会を常に確保することができる。 【0046】 (実施の形態2) 本実施の形態2に係る無線通信装置では、流量判定部により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると、データフレームを分割する際、生成されるサブデータフレームのサイズを設定するサイズ設定部を備える点で実施の形態1と相違する。そして、フレーム分割部は、データフレームを、サイズ設定部が設定したサイズの複数のサブデータフレームに分割してフレームバッファに記憶させる。 【0047】 本実施の形態2に係る無線通信装置は、実施の形態1で説明した無線通信装置1のハードウェア構成と同様である。以下、実施の形態1と同様の構成については適宜図1、図2と同一の符号を用いて説明する。本実施の形態に係る無線通信装置2001では、図2に示すCPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、図9に示すように、フレーム取得部111、送信要求部112、AP特定部113、送信流量算出部114、流量判定部115、送信制御部116、MCS設定部117、流量閾値設定部118、フレーム分割部2119およびサイズ設定部2120として機能する。なお、図9において、実施の形態1と同様の構成については図3と同一の符号を付している。 【0048】 AP特定部113は、特定したアプリケーションを示す情報を送信流量算出部114とともにサイズ設定部に通知する。流量判定部115は、送信流量算出部114により算出された単位時間当たりの送信流量が、流量閾値記憶部132により記憶されている流量閾値の中から当該アプリケーションに関するものとして選出した流量閾値を超えると判定すると、単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えたことをサイズ設定部2120に通知する。また、流量判定部115は、実施の形態1で説明した流量判定部115と同様の機能も有する。送信制御部116は、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると、データフレームをフレーム分割部2119に通知し、その後、フレーム分割部2119により生成されたサブデータフレームを取得する。 【0049】 サイズ設定部2120は、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると、流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値の中からAP特定部113により特定されたアプリケーションに対応する流量閾値を選出し、選出した流量閾値に基づいて、サブデータフレームのサイズを設定する。この際、サイズ設定部2120は、例えば流量閾値に相当するサイズの均等なサイズに分割、即ち、元のサイズの1/M(Mは正の整数)のサイズをサブデータフレームのサイズに設定してもよい。そして、サイズ設定部2120は、設定したサイズを示すサイズ情報をフレーム分割部2119に通知する。 【0050】 フレーム分割部2119は、送信制御部116からデータフレームが通知され、サイズ設定部2120からサイズ情報が通知されると、データフレームを分割することにより、サイズ情報が示すサイズのサブデータフレームを含む複数のサブデータフレームを生成する。そして、フレーム分割部2119は、生成した複数のサブデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる。また、フレーム分割部2119は、実施の形態1で説明したフレーム分割部119と同様の機能も有する。 【0051】 次に、本実施の形態2に係る無線通信装置1が実行する通信制御処理について図10および図11を参照しながら詳細に説明する。なお、図10において実施の形態1と同様の処理については図6および図7と同一の符号を付し、かつ一部図示を省略している。この通信制御処理は、例えば無線通信装置1へ電源が投入されたことを契機として開始される。まず、ステップS1乃至S4までの一連の処理が実行され、流量判定部115が、単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定したとする(ステップS4:No)。この場合、サイズ設定部2120は、流量閾値記憶部132が記憶する流量閾値の中からAP特定部113により特定されたアプリケーションに対応する流量閾値を選出し、選出した流量閾値に基づいて、分割した後のサブデータフレームのサイズを設定する(ステップS201)。次に、フレーム分割部2119は、データフレームを分割することにより、ステップS201で設定されたサイズの複数のサブデータフレームを生成する(ステップS202)。続いて、フレーム分割部2119は、生成した複数のサブデータフレームをフレームバッファ121に記憶させる(ステップS6)。その後、ステップS7以降の一連の処理(図10では一部ステップの図示を省略する)が実行される。 【0052】 図10におけるステップS4~S15について、図11を用いて詳細に説明する。本実施の形態に係る無線通信装置2001で、例えば図11(A)に示すように、データフレームDF1を取得したことに起因した送信要求発生時点T22において、送信要求発生時点T22から基準時間dT21だけ遡った時点T21から送信要求発生時点T22までの間における送信流量FT22が流量閾値FTthを超えているとする。即ち、データフレームの送信時間が、データフレームの送信に使用できる上限時間dT22を超えているとする。この場合、無線通信装置2001は、取得したデータフレームDF1を例えば2つのサブフレームSDF1、SDF2に分割してフレームバッファ121に一時的に退避させる。その後、無線通信装置2001は、図11(B)に示すように送信要求時期が到来したことに起因した送信要求発生時点T23において、送信要求発生時点T23から基準時間dT1だけ遡った時点T24から送信要求発生時点T23までの間におけるサブフレームSDF1についての送信流量FT23が流量閾値FTth以下になったとする。この場合、無線通信装置1は、フレームバッファ121に一時的に退避させておいた一方のサブデータフレームSDF1の無線通信装置2への送信を開始する。その後、無線通信装置2001は、図11(C)に示すように送信要求時期が到来したことに起因した送信要求発生時点T25において、送信要求発生時点T25から基準時間dT21だけ遡った時点T26から送信要求発生時点T25までの間におけるサブフレームSDF2についての送信流量FT25が流量閾値FTth以下になったとする。この場合、無線通信装置2001は、フレームバッファ121に一時的に退避させておいた他方のサブデータフレームSDF2の無線通信装置2への送信を開始する。なお、本実施形態におけるサブフレームは、それぞれ異なるサイズに分割し、最初に送信するサブフレームを小さくした例を図示しているが、これに限定するものではなく、前述のとおりそれぞれ均等なサイズに分割してもよい。 【0053】 また、フレームバッファ121に150Byteのデータフレームを一時的に退避させている状態であり且つ流量閾値以下で維持する条件で送信可能なデータフレームのサイズが100Byteであったとする。この場合、データフレームの先頭側の100Byteのサブデータフレームのみを先に無線モジュール105へ転送する。そして、残りの50Byteのサブデータフレームは、送信可能なデータフレームのサイズが50Byteまで回復した時点、即ち、50Byteのデータフレームを送信しても単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えないようになる時点で、無線モジュール105へ転送する。なお、データフレームが例えば10Byte程度の複数のいわゆる細切れのサブデータフレームに分割されている場合、これらのサブデータフレームを断続的に無線モジュール105へ転送する。 【0054】 以上説明したように、本実施の形態に係る無線通信装置2001では、サイズ設定部2120が、流量判定部115により単位時間当たりの送信流量が流量閾値を超えると判定されると、流量閾値に基づいて、データフレームを分割して生成されるサブデータフレームのサイズを設定する。そして、フレーム分割部は、データフレームを、サイズ設定部2120が設定したサイズの複数のサブデータフレームに分割してフレームバッファ121に記憶させる。これにより、サイズが比較的小さいサブデータフレームを送信可能時間内に比較的高い頻度で無線通信装置2へ送信することができるので、前述の送信可能時間の使用効率を高めることができる。 【0055】 (実施の形態の変形例) 以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。本変形例と実施の形態1及び2との違いは、図3及び図9に示す構成のうち、流量閾値記憶部132が流量閾値記憶部3132に置き換わった点である。例えば、図12に示すように、流量閾値記憶部3132が、複数種類のアプリケーションそれぞれに対応する流量閾値に加えて、送信優先順位を示す優先度情報を、複数種類のアプリケーションに対応づけて記憶する。そして、送信制御部116が、対応するアプリケーションの優先度の高いデータフレームを優先的に無線通信装置2へ送信するようにデータフレームの送信を制御するものであってもよい。以下変形例を詳述する。 【0056】 本変形例に係る無線通信装置は、例えば図6の通信制御処理ステップS11において、AP特定部113が特定したアプリケーションが、先に特定したアプリケーションと異なるか否かを判定するのに加え、流量閾値記憶部3132が記憶する優先度情報に基づく送信優先順位の比較を行う。なお、説明には図7も援用する。ステップS1乃至S10までの一連の処理が実行された後、AP特定部113が、特定したアプリケーションが先に特定したアプリケーションと異なるアプリケーションであると判定したとする(ステップS11)。この場合、送信制御部116は、さらに、流量閾値記憶部3132が記憶する優先度情報を参照して、AP特定部113が先に特定したアプリケーションと直近に特定したアプリケーションそれぞれに対応する優先度を比較する。そして、送信制御部116は、直近に特定したアプリケーションに対応する優先度の方が高いか否かを判定する。ここで、送信制御部116が、直近に特定したアプリケーションに対応する優先度の方が高いと判定すると、図6におけるステップS11のYesの分岐と同じく、再びステップS3の処理が実行される。一方、送信制御部116が、直近に特定したアプリケーションに対応する優先度の方が低いと判定すると、図6におけるステップS11のNoの分岐と同じように、ステップS12以降の処理が実行される。 【0057】 本構成によれば、新たにデータフレームを取得した場合に、取得したデータフレームに対応するアプリケーションの優先順位が、フレームバッファ121に記憶されたデータフレーム(送信中のデータフレーム)に対応するアプリケーションの優先順位に比べて高い場合のみ、そのデータフレームを優先的に無線通信装置2へ送信する。これにより、無線通信装置2宛てのデータフレームに対応するアプリケーションが必要以上に切り替わることを抑制することができる。 【0058】 各実施の形態では、流量閾値を各アプリケーションにおける最大消費率に基づいて設定する例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば各アプリケーションの最大送信流量の希望値に基づいて流量閾値を設定するものであってもよい。ここで、例えば最大送信流量の希望値が、前述の最大許容送信流量を上回る場合、強制的に最大許容送信流量を流量閾値に設定するようにすればよい。 【0059】 各実施の形態では、無線通信装置1、2001が1ストリーム且つ帯域幅1MHzで通信を行う例について説明した。但し、これに限らず、例えば、無線通信装置1、2001がそれぞれ、1ストリーム且つ帯域幅4MHzで通信を行うものであってもよいし、或いは、4ストリーム且つ帯域幅16MHzで通信を行うものであってもよい。また、こうした様々な態様に応じて、DBPS記憶部131が、複数パターンのDBPS情報を記憶してもよい。 【0060】 本発明に係る無線通信装置1,2001の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する無線通信装置1,2001を構成してもよい。 【0061】 また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する無線通信装置1として機能する。 【0062】 以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。 【産業上の利用可能性】 【0063】 本発明の無線通信装置は、動画像のストリーム配信を実行するサーバと緊急事態が発生した場合に押下される緊急停止釦を有する緊急停止釦装置とが併用される無線通信システムに好適である。 【符号の説明】 【0064】 1,2,2001:無線通信装置、3:PC、4:サーバ、5:緊急停止釦装置、101:CPU、102:主記憶部、103:補助記憶部、105:無線モジュール、106:有線通信インタフェース、109:バス、111:フレーム取得部、112:送信要求部、113:AP特定部、114:送信流量算出部、115:流量判定部、116:送信制御部、117:MCS設定部、118:流量閾値設定部、119, 2119:フレーム分割部、121:フレームバッファ、131:DBPS記憶部、132,3132:流量閾値記憶部、133:MCS記憶部、2120:サイズ設定部、NW1,NW2:ネットワーク
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