JP2023053814A 审中 工程机械液压回路
【技術分野】 【0001】 本発明は、各種ワークツールが着脱自在に装着される建設機械の油圧回路に関する。 【背景技術】 【0002】 建設機械の代表例である油圧ショベルは、下部走行体と、下部走行体に旋回自在に支持された上部旋回体と、上部旋回体に装着されたフロント作業機とを備える。油圧ショベルのフロント作業機は、上部旋回体に揺動自在に連結されたブームと、ブームの先端に揺動自在に連結されたアームと、アームの先端に着脱自在に装着されたワークツールとを含む。 【0003】 油圧ショベルにおいては、ワークツールとして掘削作業用のバケットが装着されているものが多いが、バケット以外にも様々なワークツールが装着され得る。バケット以外のワークツールとしては、たとえば、コンクリートや岩石等を破砕するための油圧ハンマーや、木材等を掴むためのグラップルがある(たとえば、特許文献1参照。)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】 特開2010-168738号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 一般に、ワークツールを作動させるための回路(ワークツール回路)は、所定の流量域で使用されることを前提として設計されている。しかし、ワーク―ツールの中には、上記所定の流量域を超える流量域で使用されるものもあり、このようなワークツールが装着されると、ワークツール回路に過大な背圧が生じる場合がある。このような場合には、ワークツールの作動速度が下がり、サイクルタイムが長くなってしまうという問題がある。 【0006】 上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、ワークツール回路に過大な背圧が生じるのを防止することができる建設機械の油圧回路を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明によれば、上記課題を解決する以下の建設機械の油圧回路が提供される。すなわち、 「建設機械の油圧回路であって、 油圧ポンプと、 前記油圧ポンプが吐出した作動油によって作動するワークツールと、 オペレータによって操作されると前記ワークツールを作動させるための信号を出力するワークツール操作装置と、 前記ワークツール操作装置が出力した信号に基づき、前記油圧ポンプから前記ワークツールへの作動油の供給を許容するコントロールバルブと、 いずれも前記コントロールバルブと前記ワークツールとを接続する第1の管路および第2の管路と、 前記第2の管路から分岐して作動油タンクまで延びるバイパス管路と、 前記バイパス管路に配置された電磁式リリーフバルブと、 前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を変更するコントローラとを備え、 前記ワークツールは、前記第1の管路を流入路のみとして使用すると共に前記第2の管路を流出路のみとして使用する単動ワークツール、または、前記第1の管路および前記第2の管路を交互に流入路として使用すると共に前記第1の管路および前記第2の管路を交互に流出路として使用する複動ワークツールのいずれかであり、 前記複動ワークツールは、可動部材と、前記可動部材を作動させる油圧シリンダとを含み、前記油圧シリンダのロッド側ポートには前記第1の管路が接続され、前記油圧シリンダのキャップ側ポートには前記第2の管路が接続されており、 前記コントローラは、前記単動ワークツールが作動する場合に前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減すると共に、前記複動ワークツールが作動する場合において前記キャップ側ポートから作動油が流出するときにも前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減する建設機械の油圧回路」が提供される。 【0008】 前記コントローラは、前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減する時に、前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を所定値まで低減することができる。 【0009】 前記コントローラは、前記ワークツール操作装置から出力された信号の強度が高まるにしたがって、前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を次第に低減するのが好適である。 【0010】 前記ワークツール操作装置から出力された信号の強度が所定値を超えたことを条件として、前記コントローラは前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減するのが望ましい。 【0011】 前記第2の管路を流れる作動油の圧力を検出する圧力センサを含み、前記圧力センサによって検出された圧力が所定値を超えたことを条件として、前記コントローラは前記電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減するようにしてもよい。 【発明の効果】 【0012】 本発明の建設機械の油圧回路においては、(1)単動ワークツールが作動する場合に電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減すると共に、(2)複動ワークツールが作動する場合においてキャップ側ポートから作動油が流出するときにも電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力を低減する。このため、上記(1)、(2)のいずれの場合においても、第2の管路内の作動油の圧力が高まると、ワークツールから作動油タンクに戻る作動油は、コントロールバルブを経由するルートと、電磁式リリーフバルブを経由するルートとに分流することになる。したがって、本発明の建設機械の油圧回路によれば、ワークツール回路に過大な背圧が生じるのを防止することができる。 【図面の簡単な説明】 【0013】 【図1】本発明に従って構成された建設機械の油圧回路を示す回路図(単動ワークツールが装着されている場合)。 【図2】本発明に従って構成された建設機械の油圧回路を示す回路図(複動ワークツールが装着されている場合)。 【図3】オン·オフ制御される電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力と信号強度との関係を示すグラフ。 【図4】比例制御される電磁式リリーフバルブのリリーフ圧力と信号強度との関係を示すグラフ。 【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、本発明に従って構成された建設機械の油圧回路の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。 【0015】 (油圧回路2) 図1において全体を符号2で示す油圧回路は、油圧ポンプ4と、油圧ポンプ4が吐出した作動油(吐出油)によって作動するワークツール6と、オペレータによって操作されるとワークツール6を作動させるための信号を出力するワークツール操作装置8と、ワークツール操作装置8が出力した信号に基づき、油圧ポンプ4からワークツール6への作動油の供給を許容するコントロールバルブ10と、いずれもコントロールバルブ10とワークツール6とを接続する第1の管路12および第2の管路14と、を備える。 【0016】 (油圧ポンプ4) 油圧ポンプ4は、エンジン16によって駆動され、作動油タンク18から作動油を吸い込んでポンプ管路20に吐出するようになっている。油圧ポンプ4は、定容量形でも可変容量形でもよい。また、図示の実施形態では、1個の油圧ポンプ4が示されているが、油圧ポンプ4は2個設けられていてもよい。油圧ポンプ4は、上記のとおり、ワークツール6等のアクチュエータに作動油を供給するものであるが、別途パイロットポンプが設けられていてもよい。 【0017】 (ワークツール6) 油圧回路2に装着されるワークツール6は、単動ワークツール6a(図1参照)または複動ワークツール6b(図2参照)のいずれかである。図1に示す単動ワークツール6aは、第1の管路12を流入路のみとして使用すると共に、第2の管路14を流出路のみとして使用する。単動ワークツール6aとしては、たとえば、コンクリートや岩石等を破砕するための油圧ハンマーが挙げられる。 【0018】 一方、図2に示す複動ワークツール6bは、第1の管路12および第2の管路14を交互に流入路として使用すると共に、第1の管路12および第2の管路14を交互に流出路として使用する。複動ワークツール6bとしては、たとえば、木材等を掴むためのグラップルが挙げられる。なお、ワークツール6以外の構成については、図1と図2とで共通でよい。 【0019】 図2に示すとおり、複動ワークツール6bは、可動部材22と、可動部材22を作動させる油圧シリンダ24とを含む。油圧シリンダ24のロッド側ポート26には、第1の管路12が接続され、油圧シリンダ24のキャップ側ポート28には、第2の管路14が接続されている。 【0020】 複動ワークツール6bが装着された場合、図2に実線の矢印で示すように、第1の管路12が流入路となるときは、第2の管路14が流出路となり、油圧シリンダ24のロッド30がシリンダチューブ32内に引き戻される。他方、図2に点線の矢印で示すように、第2の管路14が流入路となるときは、第1の管路12が流出路となり、ロッド30がシリンダチューブ32から押し出される。 【0021】 ここで、第1·第2の管路12、14を通る戻り油の量について説明する。ロッド30がシリンダチューブ32から押し出される場合(点線で示す場合)に、ロッド側ポート26から第1の管路12に流出する作動油(戻り油)の量は、ロッド30がシリンダチューブ32内に引き戻される場合(実線で示す場合)に、キャップ側ポート28から第2の管路14に流出する作動油(戻り油)の量よりも、ロッド30の体積の分だけ(たとえば、0.5~0.6倍程度)少なくなる。このため、第1の管路12が流出路となる場合、ワークツール回路に過大な背圧は生じにくい。 【0022】 油圧回路2は、上述したワークツール6以外にも、油圧ポンプ4の吐出油によって作動する他の油圧アクチュエータ(図示していない。)を含む。油圧回路2が油圧ショベルのものである場合、ワークツール6以外の他の油圧アクチュエータとしては、図示していないが、ブームを揺動させるブームシリンダ、アームを揺動させるアームシリンダ、油圧ショベルを走行させる走行モータ、上部旋回体を旋回させる旋回モータ等が含まれ得る。 【0023】 (ワークツール操作装置8) ワークツール操作装置8は、操作量が増大するにしたがって出力する信号の強度が高くなる入力機器(たとえば、ジョイスティック、スライドスイッチ、ペダル等)を有する構成でよい。 【0024】 ワークツール操作装置8に対して、入力操作が加えられると、ワークツール操作装置8は、ワークツール6を作動させるための電気信号または油圧信号を出力する。図1および図2には、ワークツール操作装置8が電気信号を出力する形態を示しており、ワークツール操作装置8から出力された電気信号は、後述のコントローラ48を介してコントロールバルブ10に送られる。 【0025】 なお、図示の実施形態とは異なり、ワークツール操作装置8がコントロールバルブ10に対して油圧信号を出力してもよい。この場合には、ワークツール操作装置8から出力された油圧信号が圧力センサ(図示していない。)によって検出され、この圧力センサの検出結果がコントローラ48に入力される。 【0026】 図示していないが、油圧回路2は、ワークツール6以外の他の油圧アクチュエータを操作するための他の操作装置(たとえば、ジョイスティック等の入力機器を有する構成)を含んでいる。 【0027】 (コントロールバルブ10) コントロールバルブ10は、ワークツール操作装置8から信号が出力されていない場合には、油圧ポンプ4からワークツール6に通じる油路を閉じ、油圧ポンプ4の吐出油がワークツール6へ供給されるのを阻止する。 【0028】 一方、ワークツール操作装置8から信号が出力されると、コントロールバルブ10は、油圧ポンプ4からワークツール6に通じる油路を開き、油圧ポンプ4の吐出油がワークツール6へ供給されるのを許容すると共に、ワークツール6から作動油タンク18に通じる油路を開き、ワークツール6からの戻り油が戻り管路34を経由して作動油タンク18に戻るのを許容する。コントロールバルブ10における上記各油路の開口面積は、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が高まるにつれて、大きくなる。 【0029】 また、コントロールバルブ10は、ワークツール操作装置8以外の他の操作装置から出力された信号に応じて、油圧ポンプ4からワークツール6以外の他の油圧アクチュエータに通じる他の油路も開閉するようになっている。 【0030】 (第1·第2の管路12、14) 図1および図2に示すとおり、第1の管路12には、第1の管路12を流れる作動油の圧力を検出する第1の圧力センサ36が設けられている。また、第2の管路14にも、第2の管路14を流れる作動油の圧力を検出する第2の圧力センサ38が設けられている。第1·第2の圧力センサ36、38の検出結果は、コントローラ48に送られる。 【0031】 油圧回路2は、さらに、第1の管路12から分岐して作動油タンク18まで延びる第1のバイパス管路40と、第2の管路14から分岐して作動油タンク18まで延びる第2のバイパス管路42と、第1のバイパス管路40に配置された第1の電磁式リリーフバルブ44と、第2のバイパス管路42に配置された第2の電磁式リリーフバルブ46と、第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46の作動を制御するコントローラ48とを備える。 【0032】 (第1·第2のバイパス管路40、42) 第1のバイパス管路40は、第1の管路12内の作動油の圧力が所定値を超えた場合に、第1の管路12を流れる作動油の一部を作動油タンク18に逃がすための管路である。第2のバイパス管路42は、第1のバイパス管路40と同様に、第2の管路14内の作動油の圧力が所定値を超えた場合に、第2の管路14を流れる作動油の一部を作動油タンク18に逃がすための管路である。 【0033】 (第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46) 第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46のリリーフ圧力は、所要の値(初期値)に設定されているが、オペレータがコントローラ48に入力したワークツール6の種類に基づいて、コントローラ48によって上記初期値が適宜変更されるようになっていてもよい。 【0034】 また、第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46のリリーフ圧力は、ワークツール6の種類がオペレータによって入力された場合だけでなく、ワークツール操作装置8から所要の信号が出力された場合にも、コントローラ48によって変更されるようになっている。コントローラ48による第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46のリリーフ圧力制御については、上記初期値と、上記初期値よりも低い所定値(たとえば0MPa)とのいずれかに制御するオン·オフ制御でもよく、あるいは、上記初期値からリリーフ圧力を徐々に低減する比例制御であってもよい。 【0035】 (コントローラ48) コントローラ48は、処理装置および記憶装置を有するコンピュータから構成されており、上記のとおり、入力されたワークツール6の種類に基づいて、あるいは、ワークツール操作装置8から出力された信号に基づいて、第1·第2の電磁式リリーフバルブ44、46のリリーフ圧力を変更する。また、図示の実施形態のコントローラ48は、ワークツール操作装置8から出力された信号、および、ワークツール操作装置8以外の他の操作装置から出力された信号に基づいて、コントロールバルブ10の作動を制御するようになっている。 【0036】 次に、上述したとおりの建設機械の油圧回路2の作動について説明する。 【0037】 ワークツール操作装置8や、ワークツール操作装置8以外の他の操作装置が操作されていない場合には、ワークツール操作装置8等から信号が出力されない。この場合には、ワークツール6や他のアクチュエータへの油路がコントロールバルブ10によって閉ざされるため、油圧ポンプ4の吐出油がワークツール6等に供給されず、ワークツール6等は作動しない。 【0038】 (単動ワークツール6aの作動) 図1を参照して説明すると、単動ワークツール6aが装着されている場合において、ワークツール操作装置8が操作されると、ワークツール操作装置8から信号が出力される。そうすると、コントローラ48は、コントロールバルブ10を作動させ、ポンプ管路20と第1の管路12とを連通させると共に、第2の管路14と戻り管路34とを連通させる。これによって、第1の管路12が流入路となると共に第2の管路14が流出路となり、単動ワークツール6aが作動する。 【0039】 また、単動ワークツール6aが作動する場合、コントローラ48は、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する。このため、単動ワークツール6aから第2の管路14に流出した作動油(戻り油)の圧力が高まると、この戻り油は、コントロールバルブ10および戻り管路34を通って作動油タンク18に戻ると共に、第2のバイパス管路42および第2の電磁式リリーフバルブ46を通って作動油タンク18に戻ることになる。 【0040】 すなわち、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力(低減後のリリーフ圧力)まで、戻り油の圧力が高まると、単動ワークツール6aからの戻り油は、コントロールバルブ10を経由するルートと、第2の電磁式リリーフバルブ46を経由するルートとに分流する。したがって、図示の実施形態の油圧回路2においては、ワークツール回路に過大な背圧が生じるのを防止することができる。 【0041】 コントローラ48は、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する時に、たとえば、図3に示すとおり、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を一気に所定値まで低減する(たとえば、リリーフ圧力を0MPaまで下げ、実質的に第2の電磁式リリーフバルブ46を開放する)ことができる(オン·オフ制御)。ただし、ワークツール6の操作性の観点からは、図4に示すとおり、コントローラ48は、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が高まるにしたがって、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を次第に低減するようになっているのが好ましい(比例制御)。 【0042】 なお、第1の電磁式リリーフバルブ44については、単動ワークツール6aが作動する場合には、ワークツール操作装置8から出力された信号に基づいて、第1の電磁式リリーフバルブ44のリリーフ圧力がコントローラ48によって変更されることはない。 【0043】 (複動ワークツール6bの作動:ロッド引き戻し) 次に、複動ワークツール6bが装着されている場合について、図2を参照しつつ説明する。複動ワークツール6bが装着されている場合において、ワークツール操作装置8からロッド引き戻し信号が出力されると、コントローラ48は、コントロールバルブ10を作動させ、ポンプ管路20と第1の管路12とを連通させると共に、第2の管路14と戻り管路34とを連通させる(図2の実線参照)。これによって、第1の管路12が流入路となると共に第2の管路14が流出路となり、油圧シリンダ24のロッド30がシリンダチューブ32内に引き戻される。 【0044】 また、複動ワークツール6bが作動する場合において、ロッド30が引き戻されるとき、すなわち、油圧シリンダ24のキャップ側ポート28から第2の管路14に作動油が流出するとき、コントローラ48は、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する。このため、キャップ側ポート28からの戻り油の圧力が高まると、この戻り油は、コントロールバルブ10を経由するルートと、第2の電磁式リリーフバルブ46を経由するルートとに分流する。 【0045】 したがって、図示の実施形態の油圧回路2においては、単動ワークツール6aが作動する場合だけでなく、複動ワークツール6bが装着された場合であって、比較的戻り油の量が多くなるロッド引き戻しの際にも、ワークツール回路に過大な背圧が生じるのを防止することができる。 【0046】 なお、コントローラ48は、単動ワークツール6aが作動する場合と同様に、オン·オフ制御により、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を一気に所定値(たとえば、0MPa)まで低減してもよく、あるいは、比例制御により、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が高まるにしたがって、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を次第に低減するようにしてもよい。 【0047】 また、ロッド30が引き戻されるときには、単動ワークツール6aが作動する場合と同様に、ワークツール操作装置8から出力された信号に基づいて、第1の電磁式リリーフバルブ44のリリーフ圧力がコントローラ48によって変更されることはない。 【0048】 (複動ワークツール6bの作動:ロッド押し出し) 複動ワークツール6bが装着されている場合において、ワークツール操作装置8からロッド押し出し信号が出力されると、コントローラ48は、コントロールバルブ10を作動させ、ポンプ管路20と第2の管路14とを連通させると共に、第1の管路12と戻り管路34とを連通させる(図2の点線参照)。これによって、第2の管路14が流入路となると共に第1の管路12が流出路となり、油圧シリンダ24のロッド30がシリンダチューブ32から押し出される。 【0049】 複動ワークツール6bが作動する場合において、ロッド30が押し出されるとき、すなわち、ロッド側ポート26から第1の管路12に作動油が流出するとき、コントローラ48は、第1の電磁式リリーフバルブ44のリリーフ圧力を低減してもよく、低減しなくてもよい。上記のとおり、ロッド側ポート26からの戻り油の量は、キャップ側ポート28からの戻り油の量よりも少ないので、第1の管路12が流出路となる場合は、過大な背圧が生じにくいためである。 【0050】 また、ロッド30が押し出されるときには、ワークツール操作装置8から出力された信号に基づいて、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力がコントローラ48によって変更されることはない。 【0051】 上述したとおり、コントローラ48は、(1)単動ワークツール6aが作動する場合、および、(2)複動ワークツール6bが作動する場合においてキャップ側ポート28から第2の管路14に作動油が流出するときに、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減するようになっているが、さらに他の条件が充足された場合に、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減するようになっていてもよい。たとえば、他の条件として、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が所定値を超えたことを加えることができる。 【0052】 先述のとおり、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が高まるにつれて、コントロールバルブ10における各油路の開口面積が大きくなる。具体的には、信号強度の上昇にしたがって、油圧ポンプ4からワークツール6に通じる油路の開口面積と、ワークツール6から作動油タンク18に通じる油路の開口面積とが大きくなる。 【0053】 コントロールバルブ10の各油路の開口面積が大きくなるに伴い、第1·第2の管路12、14内の作動油の流量および圧力が上昇するため、ワークツール回路の背圧も上昇していく。つまり、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が高まるにつれて、ワークツール回路に過大な背圧が生じる懸念が次第に強まっていく。 【0054】 このため、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が低いうちは、ワークツール回路に過大な背圧が発生せず、信号の強度が高くなるに伴い、過大な背圧が発生するおそれが大きくなるといえる。 【0055】 したがって、単動ワークツール6aが作動する場合であっても、あるいは、複動ワークツール6bが作動する場合においてキャップ側ポート28から作動油が流出するときであっても、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が所定値未満であれば(ワークツール回路に過大な背圧が発生するおそれがなければ)、コントローラ48は、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減しなくてもよい。 【0056】 これによって、ワークツール操作装置8の操作量が小さく、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が比較的低い場合には、第2の電磁式リリーフバルブ46を開けることなく、コントロールバルブ10のみによってワークツール6の作動制御が可能になる。言い換えると、コントロールバルブ10のスプールのランド部に形成されたノッチによって、油路の開口面積を微調整することができる。一般に、リリーフバルブは、圧力を制御するものであり、流量制御には適していないため、ワークツール6を微操作する際には、第2の電磁式リリーフバルブ46を閉じた状態にしておく方が、ワークツール6の良好な操作性が実現される。 【0057】 第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力低減に係る信号強度の所定値については、ワークツール6の種類に応じて、任意に設定することができる。図3および図4に示す例においては、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度がT0を超えると、コントロールバルブ10が作動して、油圧ポンプ4からワークツール6に通じる油路に開口(PC開口)が形成されると共に、ワークツール6から作動油タンク18に通じる油路に開口(CT開口)が形成され、信号の強度が高まるにしたがって、PC開口およびCT開口のそれぞれが次第に大きくなっていく。そして、図3および図4に示す例においては、信号の強度がT1(>T0)を超えると、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力が低減されるようになっている。 【0058】 なお、図3および図4においては、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力の変化を実線で示し(左側縦軸参照)、PC開口の変化を一点鎖線で示し(右側縦軸参照)、CT開口の変化を点線で示している(右側縦軸参照)。 【0059】 上述したとおりの条件については、単動ワークツール6aが作動する場合には付加せず、複動ワークツール6bが作動する場合のみに付加してもよい。すなわち、コントローラ48は、単動ワークツール6aが作動する場合には、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度によらず、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を常に低減する一方、複動ワークツール6bが作動する場合においてキャップ側ポート28から作動油が流出するときには、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が所定値を超えたら、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減するようになっていてもよい。 【0060】 ここまで、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する付加条件として、ワークツール操作装置8から出力された信号の強度が所定値を超えたことについて述べたが、信号強度にかかる条件に代えて、別の条件を加えることもできる。 【0061】 たとえば、別の条件として、第2の圧力センサ38によって検出された圧力が所定値を超えたことを加えてもよい。圧力の所定値としては、第2の管路14内の戻り油の圧力がこれ以上高まると、ワークツール6の作動に影響が及ぼす値として任意に設定することができる。ただし、上記圧力の所定値は、コントローラ48によって設定されたリリーフ圧力よりは低い値とするのが好ましい。 【0062】 そして、第2の管路14内の戻り油の圧力に係る条件を加えることによって、単動ワークツール6aが作動する場合であっても、あるいは、複動ワークツール6bが作動する場合においてキャップ側ポート28から作動油が流出するときであっても、ワークツール回路に過大な背圧が発生するおそれがなければ、コントローラ48は、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減しないことになる。 【0063】 これによって、第2の管路14内の戻り油の圧力が低い場合、すなわち、ワークツール操作装置8の操作量が小さく、ワークツール6が比較的ゆっくりと作動している場合には、コントロールバルブ10のみによってワークツール6の作動制御が可能になり、ワークツール6の良好な微操作性を実現することができる。 【0064】 上記の圧力に係る条件についても、上述した信号強度に係る条件と同様に、単動ワークツール6aが作動する場合には付加せず、複動ワークツール6bが作動する場合のみに付加してもよい。すなわち、コントローラ48は、単動ワークツール6aが作動する場合には、第2の圧力センサ38によって検出された圧力によらず、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を常に低減する一方、複動ワークツール6bが作動する場合においてキャップ側ポート28から作動油が流出するときには、第2の圧力センサ38によって検出された圧力が所定値を超えたら、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減するようになっていてもよい。 【0065】 なお、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する条件として、上記の信号強度に係る条件や、上記の圧力に係る条件を加えた場合にも、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力制御については、オン·オフ制御または比例制御のいずれであってもよい。 【0066】 以上のとおりであり、図示の実施形態の油圧回路2においては、(1)単動ワークツール6aが作動する場合に、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減すると共に、(2)複動ワークツール6bが作動する場合において、キャップ側ポート28から作動油が流出するときにも、第2の電磁式リリーフバルブ46のリリーフ圧力を低減する。このため、上記(1)、(2)のいずれの場合においても、第2の管路14内の戻り油の圧力が高まると、ワークツール6から作動油タンク18に戻る作動油は、コントロールバルブ10を経由するルートと、第2の電磁式リリーフバルブ46を経由するルートとに分流することになる。したがって、図示の実施形態の油圧回路2によれば、単動ワークツール6aが装着されたときでも、複動ワークツール6bが装着されたときでも、ワークツール回路に過大な背圧が生じるのを防止することができる。 【符号の説明】 【0067】 2:油圧回路 4:油圧ポンプ 6:ワークツール 6a:単動ワークツール 6b:複動ワークツール 8:ワークツール操作装置 10:コントロールバルブ 12:第1の管路 14:第2の管路 18:作動油タンク 22:可動部材 24:油圧シリンダ 26:ロッド側ポート 28:キャップ側ポート 36:第1の圧力センサ 38:第2の圧力センサ 40:第1のバイパス管路 42:第2のバイパス管路 44:第1の電磁式リリーフバルブ 46:第2の電磁式リリーフバルブ 48:コントローラ
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