JP2023051463A 审中 聚氨酯发泡材料
【技術分野】 【0001】 本開示は、発泡ポリウレタン素材に関する。 【背景技術】 【0002】 発泡ポリウレタン素材は、打球バット、プロテクター等のスポーツ用品、シューズ等の様々な用途で広く用いられている。そのような発泡ポリウレタン素材は、例えば、特許文献1に開示されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開2020-12036号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 特許文献1等を始めとして、発泡ポリウレタン素材に関する技術が従来から検討されている。しかしながら、発泡ポリウレタン素材の種々の特性を満足するための技術が十分でないのが現状である。 【0005】 本開示は、このような状況を鑑みてなされたものであり、本開示の実施形態が解決しようとする課題は、強靭性及び反発弾性が高く、軽量であり、かつ、長期間使用による物性の変化を抑制可能であり、更に、製造時の脱型性が良好な発泡ポリウレタン素材を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本開示は、以下の態様を含む。 <1> ポリテトラメチレングリコールと、ジフェニルメタンジイソシアネート系の第1ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、発泡剤と、触媒と、整泡剤と、を含む組成物の硬化物からなり、 硬化物の全質量に対するジイソシアネートの質量比率が、10質量%~18質量%であり、 硬化物の全質量に対する第1ジイソシアネートの質量比率が、10質量%~18質量%であり、 見掛け密度が300kg/m3~500kg/m3であり、独立気泡率が0%~20%であり、反発弾性率が75%超90%以下である、発泡ポリウレタン素材。 <2> 上記組成物が、イソシアネート基の含有量が33.6質量%超である第2ジイソシアネートを含み、 前記第2ジイソシアネートが、ルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群から選択される1つ以上を含む、<1>に記載の発泡ポリウレタン素材。 <3> ジイソシアネートの少なくとも一部が、ポリテトラメチレングリコールとのプレポリマーである、<1>又は<2>に記載の発泡ポリウレタン素材。 <4> 上記組成物が、低分子ジオール、ポリカプロラクトン系ジオール、ポリプロピレングリコール系の単官能ポリオール、ポリプロピレングリコール系の2官能ポリオール、ポリエーテル酢酸エステル化物、ポリブテン、及びパラフィン系オイルからなる群からなる選択される1つ以上を含むセルオープナー、を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の発泡ポリウレタン素材。 <5> 30%圧縮永久歪が20%以下であり、23℃における30%圧縮硬さが0.2MPa~0.6MPaであり、かつ、打球バット用である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の発泡ポリウレタン素材。 <6> 0℃における30%圧縮硬さが0.2MPa~1.0MPaであり、かつ、打球バット用である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の発泡ポリウレタン素材。 <7> 23℃における30%圧縮硬さに対する0℃における30%圧縮硬さの比率が、200%以下であり、かつ、打球バット用である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の発泡ポリウレタン素材。 【発明の効果】 【0007】 本開示の実施形態によれば、強靭性及び反発弾性が高く、軽量であり、かつ、長期間使用による物性の変化を抑制可能であり、更に、製造時の脱型性が良好な発泡ポリウレタン素材が提供される。 【発明を実施するための形態】 【0008】 以下、本開示に係る発泡ポリウレタン素材の詳細を説明する。 【0009】 本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。 本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。 本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。 本開示において、各成分の含有量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。 【0010】 本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)と、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)系の第1ジイソシアネートを含むジイソシアネートと、発泡剤と、触媒と、整泡剤と、を含む組成物(以下「ウレタン原料液」とも称する)の硬化物からなる。硬化物の全質量に対するジイソシアネート(すなわち、ウレタン原料液中のジイソシアネート全て)の質量比率は、10質量%~18質量%であり、硬化物の全質量に対する第1ジイソシアネートの質量比率は、10質量%~18質量%である。 また、本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、見掛け密度が300kg/m3~500kg/m3であり、独立気泡率が0%~20%であり、反発弾性率が75%超90%以下である。 ウレタン原料液中のジイソシアネート全てを「全ジイソシアネート」と呼ぶことがある。 【0011】 発泡ポリウレタン素材の種々の特性を向上させるため、様々な技術が検討されている。例えば、特許文献1には、所定のポリテトラエチレングリコールと、1,5-ナフタレンジイソシアネートから得られ、かつ、所定の密度等を有する発泡ポリウレタン素材が記載されている。しかし、特許文献1に記載の技術では、発泡ポリウレタン素材に求められる種々の特性を満足することが難しいことがある。具体的には、ジイソシアネートの主体を 1,5-ナフタレンジイソシアネートにした場合、出来たポリウレタン素材は独泡率が高く、伸びが低い傾向になる。また、1,5-ナフタレンジイソシアネートの融点が130℃であることから、モノマー単独での製造は難しく、一般的にはプレポリマーの形態での使用となる。但し、このプレポリマーは保存中に自己ゲル化し易く、当日あるいは翌日以内に使用する必要があり、生産工程での制限が大きい。 【0012】 本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、硬化物の全量に対して、ジフェニルメタンジイソシアネート系の第1ジイソシアネート、及び第1ジイソシアネートを含むジイソシアネート(すなわち、全ジイソシアネート)の割合が低い。すなわち、本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、ソフトセグメント割合が大きく、かつ、発泡剤と、触媒と、整泡剤とを併用したウレタン原料液を反応及び発泡させることで得られる。そのため、本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、強靭性及び反発弾性に優れ、更に、軽量であり、かつ、長期間使用による物性の変化を抑制することができる。このように、本開示係る発泡ポリウレタン素材は、多くの特性を満足することができる。 【0013】 本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、種々の用途に用いることができるが、特に、打球バット用発泡ポリウレタン素材として好適である。 本開示に係る発泡ポリウレタン素材は、硬度が高過ぎず、かつ、反発弾性が高い。そのため、本開示に係る打球バット用発泡ポリウレタン素材を用いたバットで球を打った際、球が撓みにくく、打球の飛距離を向上させることができる。 【0014】 (PTMG) PTMGとしては、例えば、テトラヒドロフランが開環重合したポリアルキレングリコールが挙げられる。PTMGとしては、テトラメチレンオキシ構造以外に、他のアルキレン構造単位(エチレンオキシ構造単位、プロピレンオキシ構造単位等)を有するポリアルキレングリコールであってもよい。ただし、PTMGは、テトラメチレンオキシ構造単位を50質量%以上(好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とすることがよい。 PTMGは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0015】 PTMGの数平均分子量Mnは、2000~5000が好ましく、3000~4000がより好ましい。 PTMGの数平均分子量Mnを上記範囲にすると、得られる発泡ポリウレタン素材の伸びが高い為、強靭で尚且つ反発弾性が優れる。 【0016】 ここで、数平均分子量Mnは、JIS K0070(1992)による水酸基価の測定値より、官能基数を2として求めた場合の分子量とする。なお、他の成分の平均分子量も同様に測定する。 【0017】 PTMGの含有量は、ウレタン組成物の硬化物に対して、79質量%~92質量%であることが好ましく、82質量%~89質量%がより好ましい。 PTMGの含有量を上記範囲にすると、得られる発泡ポリウレタン素材の伸びが高い為、強靭で尚且つ反発弾性が優れる。 【0018】 (ジイソシアネート) ウレタン原料液におけるジイソシアネートは、MDI系のジイソシアネート(第1ジイソシアネート)を必ず含む。すなわち、全ジイソシアネートは、第1ジイソシアネート単独でも良いし、第1ジイソシアネートと、MDI系以外のジイソシアネート(例えば、第2ジイソシアネート)との併用でもよい。 【0019】 ジイソシアネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。1種単独で使用する場合、ジイソシアネートとしては、MDI系の第1ジイソシアネートを用いる。 【0020】 硬化物の全質量に対するジイソシアネート(すなわち、全ジイソシアネート)の質量比率(以下、単に「全ジイソシアネートのモノマー質量比率」と呼ぶことがある)は、10質量%~18質量%である。全ジイソシアネートのモノマー質量比率を18%質量%以下とすることにより、高い反発弾性率が得られる。なお、後述のように、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率は10質量%以上であるため、全ジイソシアネートのモノマー質量比率も10質量%以上としている。 全ジイソシアネートのモノマー質量比率は、反発弾性率を高める観点から、10質量%~18質量%であることが好ましく、10質量%~15質量%であることがより好ましい。 【0021】 ジイソシアネートの少なくとも一部は、ポリテトラメチレングリコールとのプレポリマーであることが好ましい。これにより、フェニレンジイソシアネート(PDI)の様な融点の高いジイソシアネートを液体で使用出来るし、発泡ポリウレタン素材の物性を向上させることが容易となる。 ポリテトラメチレングリコールとのプレポリマーは、プレポリマー変性イソシアネート(あるいは、イソシアネート含有プレポリマー)の1つである。 【0022】 ある態様において、ジイソシアネートの一部がポリテトラメチレングリコールとのプレポリマーであってよく、プレポリマーを形成していない他のジイソシアネートと併用してよい。 他の態様において、ジイソシアネートの全部がポリテトラメチレングリコールとのプレポリマーであってよい。 【0023】 (MDI系の第1ジイソシアネート) MDI系の第1ジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート骨格を有するジイソシアネートである。 MDI系の第1ジイソシアネートとしては、4,4‘―ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’―MDI)、2,4‘―MDI、2,2’―MDI、粗製のMDI(Cr―MDI)、カルボジイミド変性MDI、プレポリマー変性MDIなどが挙げられる。これらの中で、4,4‘―MDI及び4,4‘―MDIの変性体であるプレポリマー変性MDIが、反応性が高く、得られるポリウレタン素材の強靭性、反発弾性が優れるので好ましい。 MDI系の第1ジイソシアネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上の併用でもよい。 【0024】 硬化物の全質量に対する第1ジイソシアネートの質量比率(以下、単に「第1ジイソシアネートのモノマー質量比率」と呼ぶことがある)は、10%~18質量%である。第1ジイソシアネートのモノマー質量比率を10質量%以上とすることにより、良好な脱型性が得られる。なお、上述のように、全ジイソシアネートのモノマー質量比率は18質量%以下であるため、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率も18質量%以下としている。 第1ジイソシアネートのモノマー質量比率は、反応性を確保し且つ反発弾性率が高める観点から、10質量%~18質量%であることが好ましく、12質量%~15質量%であることがより好ましい。 【0025】 第1ジイソシアネートのモノマー質量比率10質量%~18質量%は、100質量部のPTMGに対して、凡そ12質量部~22質量部に相当する。これにより、ポリウレタン素材の反発弾性を高め、かつ、硬度が過度に高くなることを防止できる。 【0026】 ここで、プレポリマー変性イソシアネート(MDI系イソシアネート含有プレポリマー)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,10-デカンジオール等の炭素数2~18の2価のアルコール;ポリプロピレングリコール系のグリコール;PTMG系グリコール;ポリカーボネート系グリコール等でMDI系イソシアネートが変性されたプレポリマー変性イソシアネートが挙げられる。このプレポリマー変性イソシアネートにおいて、プレポリマーに対するMDI系イソシアネートの含有率は、強靭性、反発弾性及び低温特性の観点から10質量%~50質量%(好ましくは15質量%~45質量%)であることがよい。 【0027】 (第2ジイソシアネート) MDI系の第1ジイソシアネートと共に、イソシアネート基の含有量が33.6質量%超である第2ジイソシアネートを用いてよい。これにより、全ジイソシアネートの合計に対して、イソシアネート基の含有量を大きくすることができる。そのため、所望の特性を得るために必要なジイソシアネートの量を全体的に低減しつつ、反発弾性を高め、かつ、硬度が過度に高くなることを防止することが容易となる。 【0028】 イソシアネート基の含有量(以下(NCO%」とも称する)は、ジイソシアネートの分子量に対するイソシアネート基の質量の比率である。MDI系の第1ジイソシアネートのNCO%は33.6質量%であり、これよりもNCO%が高い第2ジイソシアネートとの併用により高ジイソシアネート重量比率となるので好適である。 【0029】 NCO%が33.6質量%超の第2ジイソシアネートにおいて、NCO%の上限は特に限定されないが、例えば、フェニレンジイソシアネート(PDI)は、52.5質量%である。反発弾性率の観点から、NCO%は高い方が好ましい。 併用する第2ジイソシアネートは、1種単独でもよいし、2種以上使用してもよい。 【0030】 NCO%は、JIS K 1603-1:2007(ISO14896:2000)に準拠して測定される値である。 【0031】 第2ジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート(TDI)、フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からなる群から選択される1つ以上を含むことが好ましい。 【0032】 PDIは、硬化物の全質量に対して、0.5質量%~2.0質量%という少量の割合で用いると、強靭性及び30%圧縮永久歪が向上するため、好ましい。 また、TDIは、硬化物の全質量に対して、1質量%~2.5質量%の割合で用いることにより、圧縮硬さを低下させると共に、連泡性を高めて独立気泡率を低下させることができるため、好ましい。 また、XDI、水添XDI(H6XDI)、NBDI、IPDI、HDI、NDIは、PTMGに対して少量の割合で用いることにより、硬度が過度に高くなることを容易に防止することできるため、好ましい。 【0033】 これらの中でも、PDI及びTDIは、反応性、圧縮硬さ、強度、連泡性及び保存安定性の観点からより好ましい。 【0034】 PDI及びNDIを併用する際、プレポリマーとしてよく、また、ジイソシアネートに溶解して使用することができる。 【0035】 硬化物の全質量に対する第2ジイソシアネートの質量比率は、0.2質量%~5質量%であることが好ましく、0.5質量%~3質量%であることがより好ましい。 【0036】 全ジイソシアネートのモノマー質量比率は、以下の手順で計算する。 まず、投入した全成分(ポリオール、セルオープナー、整泡剤、触媒、発泡剤、イソシアネート、その他)の投入総量を計算する。ここで、発泡剤として水を使用した場合は、ガスロスを次の式で換算して、投入総量から差し引く。 ガスロス=水量×44.01(CO2分子量)×18.016(H2O分子量) この様にして、投入総量からガスロスを差し引いた値を硬化物の全質量とする。 次に、ジイソシアネート(モノマー)投入量を求める。 尚、2種類以上のジイソシアネートを使用した場合は、全てを合計する。このジイソシアネート(モノマー)量を硬化物の全質量で割り、100%表示したものが、全ジイソシアネートのモノマー質量比率になる。 ここで、ジイソシアネートとして、プレポリマーを使用した場合は、プレポリマー合成の比率(ポリオール/ジイソシアネート)から、プレポリマー中のジイソシアネート(モノマー)量を算出する。 第1ジイソシアネートのモノマー重量比率は、以下の手順で計算する。 MDIモノマー、及び/又はMDIプレポリマーに使用したMDIモノマーを算出し、第1ジイソシアネート投入量を求める。この第1ジイソシアネート(モノマー)量を硬化物の全質量で割り、100%表示したものが、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率になる。 【0037】 (発泡剤) 発泡剤としては、例えば、水、低沸点の有機溶剤(シクロペンタン、ジクロロメタン等)、ハロゲン化炭化水素、これらの混合液等が挙げられる。更に、使用する原料に空気や窒素などの不活性ガスをオークスミキサーなどで攪拌し気泡を巻き込む、所謂メカニカルフロス法による発泡も好ましい。発泡剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0038】 発泡剤を水とした場合の含有量は、PTMG100質量部に対して0.1質量部~3.0質量部であることが好ましく、0.5質量部~1.2質量部であることがより好ましい。発泡剤として水を使用する場合は、含有量が少ないほうが発泡体の疑似架橋密度が低くなるため反発弾性率が高くなり打球の反発には好ましい。一方、水の含有量が少ないとモールド成形時に充填不足になる可能性があるので、水の含有量は形状と性能を加味して決める必要がある。 【0039】 (触媒) 触媒として、有機金属化合物系触媒、アミン系触媒、イミダゾール系触媒等が挙げられる。 【0040】 有機金属化合物系触媒としては、錫系、チタン系、ビスマス系、ニッケル系等の有機金属系の触媒が挙げられ、例えば、有機スズ化合物のオクチル酸第1スズ、ジブチルラウリン酸第2スズなどがある。 アミン系触媒としては、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒が挙げられ、例えば、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、n-メチルモルホリン、n-エチルホルモリン、N,N,N’,N’-テトラメチルブタンジアミンなどがある。 イミダゾール系触媒としては、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。 触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0041】 触媒の含有量は、PTMG100質量部に対して、0.1質量部~3質量部であることが好ましく、0.3質量部~1質量部であることがより好ましい。 【0042】 (整泡剤) 整泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。整泡剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0043】 整泡剤としては、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、例えば、ポリエーテルがグラフトしているグラフト型、(ポリエーテル/シリコーン/ポリエーテル)のブロック型が挙げられる。これにより、独立気泡率を容易に低下させることができる。更に、モールドで発泡成形する際の脱型時に、スムーズに発泡ポリウレタン素材を取り出すことができる。 【0044】 整泡剤の含有量は、PTMG100質量部に対して、0.3質量部~3質量部であることが好ましく、0.5質量部~2質量部であることがより好ましい。 【0045】 (セルオープナー) ウレタン原料液は、セルオープナーを含有してよい。セルオープナーは、破泡剤、又は消泡剤として機能する成分である。セルオープナーはPTMGと適度な相溶性を有しているため、セル(気泡)を荒らすことなく独立気泡率を低下させることが容易となる。そのため、強靭性及び反発弾性を高め、かつ、30%圧縮永久歪を低下させることが容易であり、更に、モールドで発泡成形する際の脱型時に、よりスムーズに発泡ポリウレタン素材を取り出すことができる。 【0046】 セルオープナーとしては、例えば、低分子ジオール、ポリカプロラクトン系ジオール、ポリプロピレングリコール(PPG)系の単官能ポリオール、PPG系の2官能ポリオール、ポリエーテル酢酸エステル化物、ポリブテン、液状ポリブタジエン、ポリエチレンワックス、パラフィン系オイル、長鎖脂肪族アルコール等の周知の破泡剤又は消泡剤が挙げられる。低分子ジオールの分子量は、66~3000であることが好ましく、100~1500であることがより好ましい。セルオープナーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0047】 これらの中でも、セルオープナーは、低分子ジオール、ポリカプロラクトン系ジオール、PPG系の単官能ポリオール、PPG系の2官能ポリオール、ポリエーテル酢酸エステル化物、ポリブテン、及びパラフィン系オイルからなる群からなる選択される1つ以上を含むことが好ましい。 【0048】 PPG系の2官能ポリオールとしては、2価のアルコールに、プロピレンオキサイド(以下「PO」とも称する)を付加重合、又はプロピレンオキサイドとプロピレンオキサイド以外の他のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド(以下「EO」とも称する)等)を付加重合させたポリエーテルポリオールが挙げられる。なお、プロピレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドの付加重合は、ランダム付加重合でも、ブロック付加重合であってもよい。 ここで、2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10-デカンジオール等の炭素数2~10の2価のアルコールが挙げられる。 【0049】 PPG系の2官能ポリオールの数平均分子量Mnは、数平均分子量Mnは、100~10000が好ましく、400~4000がより好ましい。 PPG系の2官能ポリオールの数平均分子量Mnを上記範囲にすると、独立気泡率の低減効果が適度であるためセルが荒れず、その他の物性への悪影響が無く、しかも製品外観が良好となるため、好ましい。 【0050】 これらの中でも、PPG系の2官能ポリオールとしては、エチレンオキサイド含有率が0モル%~80モル%(より好ましくは0モル%~50モル%)で、かつ数平均分子量Mnが100~10000(より好ましくは800~3000)の2官能ポリオールが好ましい。 ここで、エチレンオキサイド含有率とは、付加重合した全アルキレンオキサイド含有量に対するエチレンオキサイドの割合(モル比)である。 【0051】 セルオープナーの含有量は、PTMG100質量部に対して、1質量部~15質量部であることが好ましく、2質量部~10質量部がより好ましい。 セルオープナーの含有量を上記範囲にすると、製品外観に悪影響が無く独立気泡率を低減できるため、好ましい。 【0052】 (多官能ポリオール) ウレタン原料液は、PTMG以外の多官能ポリオールを含有してよい。多官能ポリオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0053】 多官能ポリオールは、30%圧縮永久歪を低下させる観点から、3官能以上であることが好ましく、官能基数が多くなるに従い30%圧縮永久歪を低下せることが容易となる。30%圧縮永久歪の低下をより容易とする観点から、他官能ポリオールは、3官能又は4官能であることが好ましく、3官能ポリオールが最も好ましい。 【0054】 官能基数3以上の多官能ポリオールとしては、例えば、3官能ポリオールが挙げられる。3官能ポリオールとしては、3価のアルコールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を付加重合させたポリエーテルポリオールが挙げられる。なお、複数種のアルキレンオキサイドの付加重合は、ランダム付加重合でも、ブロック付加重合であってもよい。ここで、3価のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、等の炭素数3~10の3価のアルコールが挙げられる。 【0055】 3官能ポリオールとしては、3官能のグリセリン又はトリメチロールプロパンに、プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドを付加して得られた、エチレンオキサイド含有率が0モル%~20モル%であり、かつ、数平均分子量Mnが1000~6000の3官能ポリオールが好ましい。 ここで、エチレンオキサイド含有率とは、付加重合した全アルキレンオキサイド含有量に対するエチレンオキサイドの割合(モル比)である。 【0056】 多官能ポリオールとしては、4官能ポリオールも挙げられ、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール等にアルキレンオキサイドを付加重合させたポリエーテルポリオールが挙げられる。 【0057】 その他、多官能ポリオールとしては、アジピン酸及び短鎖ジオールのエチレングリコールや1.4-ブタンジオール等と、グリセリンなど多官能トリオールと、の縮合によるエステル系ポリオール等も挙げられる。 【0058】 多官能ポリオールの数平均分子量Mnは、100~10000が好ましく、400~5000がより好ましい。 多官能ポリオールの数平均分子量Mnを上記範囲とすることにより、強靭性を確保し、30%圧縮永久歪を低下させることが容易となる。 【0059】 多官能ポリオールの含有量は、PTMG100質量部に対して、1質量部~20質量部であることが好ましく、2質量部~10質量部がより好ましい。 多官能ポリオールの含有量を上記範囲にすると、伸びの低下を抑えて、30%圧縮永久歪を効果的に低下できるため、好ましい。 【0060】 (その他添加剤) ウレタン原料液には、上記成分以外に、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、炭酸カルシウム等の無機フィラー等の周知の添加剤を含有してよい。添加剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。 【0061】 可塑剤としては、例えば、末端封鎖のポリエーテルポリオール、アジピン酸と低分子ジオールのポリエステルポリオールの末端封鎖品、モノカルボン酸とモノアルコールのエステル、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル類、塩素化パラフィンなどハロゲン化パラフィン類、リン酸エステル類等が挙げられる。可塑剤を用いることにより、硬度が過度に高くなることを容易に防止することができる。 【0062】 尚、PTMG100質量部に対する各原料成分の質量部の計算は以下の様に行なった。 各成分重量を、PTMG投入量(ジイソシアネートとして、PTMG変性プレポリマーを使用した場合は、プレポリマー合成時の比率(ポリオール/ジイソシアネート)から、プレポリマー中のPTMG量を算出し、合算する)で割り、100倍した。 【0063】 (発泡ポリウレタン素材の特性) ‐見かけ密度‐ 発泡ポリウレタン素材の見掛け密度は、300kg/m3~500kg/m3であり、好ましくは350kg/m3~450kg/m3である。発泡ポリウレタン素材の見掛け密度を300kg/m3以上にすることで、発泡ポリウレタン素材の強靭性が高まる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、打球時の衝撃による破断が抑制される。 また、発泡ポリウレタン素材の見掛け密度を500kg/m3以下にすることで、発泡ポリウレタン素材が軽量化する。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、軽量なバットが得られる。 【0064】 見掛け密度は、次の方法により測定される。 まず、測定対象(概寸:縦180mm×横140mm×厚さ10mm)のサンプルを23±3℃の環境に用意する。次に、精密天秤にて、サンプルの質量を1/100g精度で測定する。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求める。サンプルの縦寸法及び横寸法は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求める。得られた各寸法から、サンプルの体積を算出する。そして、式:見かけ密度=質量/体積にて、見かけ密度を求める。 【0065】 ‐独立気泡率‐ 発泡ポリウレタン素材の独立気泡率は、0%~20%であり、好ましくは0%~10%である。発泡ポリウレタン素材の独立気泡率を0%~20%にすることにより、長期間使用による物性の変化を抑制可能となる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、繰り返しの打球によっても、素材の特性の低下が抑制される。また、裂けにくくなるため、長期の使用に好適である。更に、発泡ポリウレタン素材形成時において、経済的な成形サイクルでの製造が容易となる。つまり、脱型時に膨張·冷却後に収縮し難く、製品寸法が安定し、部分的な変形が起き難く、加工性が高まる。 【0066】 独立気泡率は、ベックマン法(空気比較式比重測定法:ASTM D 2856-70)に準拠して測定される。具体的には、測定対象からサイズ:20mm×20mm×厚さmmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの容積(cm3)を、BECKMAN-TOSHIBA,LTD.製「空気比較式比重計930型」にて測定する(加圧法)。この測定したサンプルの容積を測定値とする。一方で、サンプルを「空気比較式比重計930型」に入れない状態で容積を測定し、バックグラウンド測定値(ブランク値)を得る。そして、下記式により独立気泡率(空間容積当たりの独立気泡率)Vc(%)を算出する。 式:Vc(%)=[(ΔV-E)/(V-E)]×100 ΔV:{(測定値)-(ブランク値)}(cm3) V:水没法によるサンプルの見掛けの容積(cm3) E:樹脂(ポリウレタン)の容積(cm3)={(サンプルの質量)/(サンプルの真比重)} 【0067】 ‐反発弾性率‐ 発泡ポリウレタン素材の反発弾性率は、75%超であり、好ましくは80%以上である。発泡ポリウレタン素材の反発弾性率を75%超にすることにより、優れた反発弾性が得られる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、打球した球の飛距離が伸び易くなる。打球バット用発泡ポリウレタン素材としては反発弾性率が高い程好ましい。発泡ポリウレタン素材の反発弾性率の上限は特に限定されないが、通常、90%である。 【0068】 反発弾性率は、JIS K 6400(1997/A法)に準拠して測定される。測定対象(概寸:縦180mm×横140mm×厚さ10mm)のサンプルを23±3℃の環境に1日以上保管する。23±3℃の環境にて、高分子計器(株)製「FR-1型」を用いて行う。尚、イソシアネートインデックスが低いサンプルは、樹脂自体がタックを有している為、タックが原因で正確な反発弾性率を測定する事ができない場合がある。したがって、サンプル表面にタルク粉(日本タルク製、ミクロエース C-3)を振り掛けた後、布で軽く拭き取ったのち測定試験を行う。 【0069】 ‐30%圧縮永久歪‐ 発泡ポリウレタン素材の30%圧縮永久歪は20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下である。発泡ポリウレタン素材の30%圧縮永久歪を20%以下にすることにより、長期間使用による劣化が抑制可能となる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、繰り返しの打球によっても、打球した球の飛距離が伸び易くなる。 【0070】 30%圧縮永久歪は、JIS K 6400-4(2004/A法)に準拠して測定される。具体的には、測定対象からサイズ20mm×20mmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの厚さを測定する。次に、サンプル厚さの70%に相当する厚さのスペーサーを介して、サンプルを2枚のステンレス板で挟み込み、30%圧縮状態で固定する。その状態にて、70℃のオーブン内に、22時間保持する。次に、オーブンから出して、ステンレス板からサンプルを外す。その後、23℃の室温で30分間放置したサンプルの厚さを測定する。そして、下記式に基づいて、30%圧縮永久歪を算出する。 式: CS=(t0-t)/t0×100 t0: 圧縮前のサンプルの厚さ t : 圧縮後のサンプルの厚さ 【0071】 ‐30%圧縮硬さ‐ 発泡ポリウレタン素材の23℃における30%圧縮硬さは、0.2MPa~0.6MPaが好ましく、より好ましくは0.2MPa~0.4MPaである。発泡ポリウレタン素材の23℃における30%圧縮硬さを0.2MPa以上にすることにより、発泡ポリウレタン素材の強靭性が高まる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、打球時の衝撃による破断が抑制され易くなる。また、打撃時の衝撃でも底つきが起らず打球の飛距離が伸びる。また、0.2MPa以上の30%圧縮硬さにより、打球時の打感を確保し易くなる。一方、30%圧縮硬さを0.6MPa以下にすることにより打球時のボールの変形を低減することができ、結果として、飛距離及び打球スピードのアップにつながる。 【0072】 発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いる場合、30%圧縮永久歪が20%以下であり、かつ、23℃における30%圧縮硬さが0.2MPa~0.6MPaであることが好ましい。 【0073】 また、発泡ポリウレタン素材の0℃における30%圧縮硬さは、0.2MPa~1.0MPaが好ましく、より好ましくは0.2MPa~0.6MPaである。発泡ポリウレタン素材の0℃における30%圧縮硬さを0.2MPa以上にすることにより、低温においても、発泡ポリウレタン素材の反発弾性の維持が容易となる。そのため、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、冬季のような寒い季節であっても、打球時の飛距離の維持が容易となる。また、打撃時の衝撃でも底つきが起らず打球の飛距離が伸びる。一方、30%圧縮硬さを1.0MPa以下(より好ましくは0.6MPa以下)にすることにより打球時のボールの変形を低減することが、結果として飛距離及び打球スピードのアップにつながる。 【0074】 23℃及び0℃における30%圧縮硬さは、JIS K 6400-2(2012)に準拠して測定される。具体的には、測定対象からサイズ20mm×20mmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの厚さを測定する。次に、サンプルに対して、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」を用いて、速度10mm/minで圧縮を行なう。そして、サンプル厚みに対して30%圧縮時の応力を測定し、測定値を30%圧縮硬さとする。 【0075】 ‐0℃/23℃圧縮硬さ比‐ 23℃における30%圧縮硬さに対する0℃における30%圧縮硬さの比率(以下、「0℃/23℃圧縮硬さ比」と呼ぶことがある)は、200%以下であることが好ましい。これにより、発泡ポリウレタン素材を打球バット用発泡ポリウレタン素材として用いた場合、季節によらず、年間を通して、温度差に起因する打撃の違和感が少ない状態で打球バットを用いることができる。 【0076】 発泡ポリウレタン素材の上記各特性は、発泡ポリウレタン素材を形成するためのウレタン原料液の成分の種類及び量を調整することで得られる。 【0077】 (発泡ポリウレタン素材の製造方法) 発泡ポリウレタン素材は、周知の方法に準じて製造することができる。例えば、イソシアネート成分以外のポリオール等の成分を混合してポリオール成分含有溶液を得た後、ポリオール成分含有溶液にイソシアネート成分を加えて、ウレタン原料液を調製する。このウレタン原料液を、目的とする形状の型に流し込んだ後、加熱する。これにより、発泡ポリウレタン素材が得られる。 【0078】 打球バット用発泡ポリウレタン素材を製造する場合には、上記のようにして得られた発泡ポリウレタン素材を打球バットの打球部の形状に加工してよく、また、ウレタン原料液を流し込む型として、打球バットの打球部の形状の型を用いてもよい。 【実施例】 【0079】 以下、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明する。但し、本開示は、これらの実施例に限定されない。 【0080】 <実施例1> 予め50℃に加温した下記のポリオール成分をポリカップに精秤し、プライミクス(株)製「高速乳化·分散機 T.K.ホモディスパー2.5型(DH-2.5/1001)」にて、3000rpmで1分間撹拌し、ポリオール成分含有溶液を調製した。 【0081】 -ポリオール成分- ·ポリオール: ポリテトラメチレングリコール「PTMG3000(三菱化学(株)製、官能基数f=2、Mn=2877、OHv=39.0)」 100質量部 ·整泡剤: 非反応性シリコーン整泡剤「DOW CORNING TORAY SZ‐1642(東レ·ダウコーニング(株)製)」 1質量部 ·触媒: アミン系触媒「DABCO 33-LV(エアー·プロダクツジャパン(株)製)」 0.1質量部、イミダゾール系触媒「カオーライザーNo.120(花王(株)製)」 0.2質量部 ·発泡剤: 蒸留水 0.9質量部 【0082】 次に、得られたポリオール成分含有溶液に、予め加温したイソシアネート液21.2部(Index=100相当)を投入し、プライミクス(株)製「高速乳化·分散機 T.K.ホモディスパー2.5型(DH-2.5/1001)」にて、5000rpmで10秒間撹拌し、ウレタン原料液を調整した。 【0083】 ―イソシアネート成分― ·MDI: モノメリックMDI「ミリオネートMT(東ソー(株)製、NCO%=33.58質量%)」 【0084】 次に、得られたウレタン原料液を、予め50℃に加温しておいたアルミ製の枠型(内寸法;縦180mm×横140mm×厚さ10mm)と下板(厚さ10mm)からなる長方形の窪みに所定量(約100g)を投入する。ウレタン原料液の投入後、素早く上蓋(アルミ製、厚さ10mm)を載せ、万力で4箇所固定した。 尚、アルミ製の型枠·下板及び上蓋の内面(ウレタン原料液との接触面)は、硬化後に剥離が可能となる様に、事前に離型剤「リムリケイN848(中京油脂(株)製)」を塗付し、100℃で30分間加温した。 【0085】 次に、万力で固定したアルミ製容器(枠型と上蓋とからなる容器)を50℃のオーブンに10分間保持した後、オーブンから取り出し10分間室温冷却した。万力を外し始めると膨張傾向が見られたので、再び万力を絞め、更に10分間室温冷却した。その後、万力を外し、上蓋及び下板を取り、枠型からポリウレタンフォームを取り出した(脱型時間:20分)。その後、反応完結の目的で、50℃のオーブンに8時間入れた。 尚、10分間室温冷却後で、発泡体に膨張が見られる例、及び発泡体がベタベタして型から取り出せない例については、型に留めたまま更に10分保持後、脱型可能か確認する。以降、10分毎に確認し、60分を過ぎても脱型出来ない場合は、型に留めたまま50℃のオーブンにて8時間加温後に脱型した。 【0086】 以上の操作により、発泡ポリウレタン素材を得た。 【0087】 <実施例2~49、比較例1~12> 表1~表13に従って、成分の種類及び量(部数)を変更した以外は、実施例1と同様にして、目的とする発泡ポリウレタン素材を得た。 【0088】 また、表中、MDIプレポリマー、TDIプレポリマー及びPDIプレポリマーはそれぞれ、以下のようにして合成したものである。 【0089】 (1)MDIプレポリマー 以下のポリオール及びジイソシアネートを準備した。 ·ポリオール;PTMG3000 (三菱化学製) 500g 官能基数f=2、Mn=3000、OHv=37.4 ·ジイソシアネート;ミリオネートMT(東ソー株式会社製) 143.6g モノメリックMDI、NCO%=33.58質量% 攪拌機、温度計、及びオイルバスを備えた容量2リットルのガラス製反応器に、ポリオール及びジイソシアネートを仕込み、反応器の空間部を窒素ガスで置換して反応器を加熱し、75~85℃に温度を保ちながら、ポリオールとジイソシアネートとを反応させた。2時間後、加温を止めた。得られたMDIプレポリマーの末端イソシアネート基濃度を測定し、NCO%=5.32質量%を得た。 NCO%の測定は、JIS K 1603-1:2007(ISO14896:2000)に準拠して行った。 【0090】 (2)TDIプレポリマー 以下のポリオール及びジイソシアネートを準備した。 ·ポリオール;PTMG2000 (三菱化学製) 500g 官能基数f=2、Mn=2000、OHv=56.1 ·ジイソシアネート;TDI(T-100)(東京化成工業製) 96.55g 2,4-トルエンジイソシアネート、NCO%=48.3質量% MDIプレポリマーについて上述したものと同様の方法で、TDIプレポリマーを得た。また、得られたTDIプレポリマーの末端イソシアネート基濃度を測定し、NCO%=4.3質量%を得た。 【0091】 (3)PDIプレポリマー ·ポリオール;PTMG3000 (三菱化学製) 500g 官能基数f=2、Mn=3000、OHv=37.4 ·ジイソシアネート;PDI(富士フイルム和光純薬製) 71.25g パラフェニレンジイソシアネート、NCO%=52.5質量% 温度を80~110℃にした以外は、MDIプレポリマーについて上述したものと同様の方法で、PDIプレポリマーを得た。また、得られたPDIプレポリマーの末端イソシアネート基濃度を測定し、NCO%=4.09質量%を得た。 【0092】 (評価) 各例で得られた発泡ウレタン素材の特性を測定すると共に、各種試験を行い、評価を行った。 【0093】 以下、本実施例で行った各種測定方法及び各種試験について示す。なお、本発明の各種値は以下に示す測定方法により測定される値である。 【0094】 (測定方法) -見かけ密度- 見掛け密度は、次の方法により測定した。 まず、測定対象(概寸:縦180mm×横140mm×厚さ10mm)のサンプルを23±3℃の環境に用意した。次に、精密天秤にて、サンプルの重量を1/100g精度で測定した。次に、デジタルゲージを使用し、直径Φ10mmの測定子を用い荷重約0.6Nにて、サンプルの厚さ寸法を1/100mm精度で9個所測定し、平均値を求た。サンプルの縦寸法及び横寸法は、デジタルノギスを用いて、それぞれ3箇所測定し、平均を求めた。得られた各寸法から、サンプルの体積を算出した。そして、式:見かけ密度=重量/体積にて、見かけ密度を求めた。 【0095】 -反発弾性率- 反発弾性率は、JIS K 6400(1997/A法)に準拠して測定した。測定は、測定対象(概寸:縦180mm×横140mm×厚さ10mm)のサンプルを23±3℃の環境に1日以上保管する。23±3℃の環境にて、高分子計器(株)製「FR-1型」を用いて行った。尚、サンプル表面にタルク粉(日本タルク製、ミクロエース C-3)を振り掛けた後、布で軽く拭き取ったのち測定試験を行った。 【0096】 -引張り強度·伸び- 引張り強度·伸びは、JIS K 6400-5に準拠して測定した。測定は、測定対象をダンベル2号形に打ち抜き、サンプルを得て、得られたサンプルに対して、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」にて,速度200mm/minで行った。そして、サンプル破断時の強度及び伸びを測定した。 【0097】 -独立気泡率- 独立気泡率は、ベックマン法(空気比較式比重測定法:ASTM D 2856-70)に準拠して測定した。具体的には、測定対象からサイズ:20mm×20mm×厚さmmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの容積(cm3)を、BECKMAN-TOSHIBA,LTD.製「空気比較式比重計930型」にて測定した(加圧法)。この測定したサンプルの容積を測定値とした。一方で、サンプルを「空気比較式比重計930型」に入れない状態で容積を測定し、バックグラウンド測定値(ブランク値)を得た。そして、下記式により独立気泡率(空間容積当たりの独立気泡率)Vc(%)を算出した。 式:Vc(%)=[(ΔV-E)/(V-E)]×100 ΔV:{(測定値)-(ブランク値)}(cm3) V:水没法によるサンプルの見掛けの容積(cm3) E:樹脂(ポリウレタン)の容積(cm3)={(サンプルの重量)/(サンプルの真比重)} 【0098】 -30%圧縮硬さ- 23℃及び0℃における30%圧縮硬さは、JIS K 6400-2(2012年)に準拠して測定した。具体的には、測定対象からサイズ20mm×20mmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの厚さを測定した。次に、サンプルに対して、(株)オリオンテック製「テンシロン万能材料試験機UCT-500」を用いて、速度10mm/minで圧縮を行なった。そして、サンプル厚みに対して30%圧縮時の応力を測定し、測定値を30%圧縮硬さとした。 【0099】 -30%圧縮永久歪- 30%圧縮永久歪は、JIS K 6400-4 A法(2004年)に準拠して測定した。具体的には、測定対象からサイズ20mm×20mmのサンプルを切り出し、得られたサンプルの厚さを測定した。次に、サンプル厚さの70%に相当する厚さのスペーサーを介して、サンプルを2枚のステンレス板で挟み込み、30%圧縮状態で固定した。その状態にて、70℃のオーブン内に、22時間保持した。次に、オーブンから出して、ステンレス板からサンプルを外した。その後、23℃の室温で30分間放置したサンプルの厚さを測定した。そして、下記式に基づいて、30%圧縮永久歪を算出した。 式: CS=(t0-t)/t0×100 t0: 圧縮前のサンプルの厚さ t : 圧縮後のサンプルの厚さ 【0100】 -脱型時状況- 枠型から発泡ポリウレタンフォームを取り出した後。得られた発泡ポリウレタンフォームの脱型時状況を評価した。 脱型時状況は、発泡ウレタンフォームの膨張(又は収縮)およびスキン破れの状況を確認した。その他、臭気(イソシアネートの臭気)等も確認した。なお、表中、発泡ウレタンフォームが過度に膨張(又は収縮)している状況を「膨張(又は収縮)」と表記し、多少膨張(又は収縮)している状況を「膨れ(又は縮み)」と表記し、僅かに膨張(又は収縮)している状況を「やや膨れ(又はやや縮み)」と表記した。また、サンプル表面が本体から剥がれた状況、又は剥離した状況を「スキンルーズ」と表記した。また、脱型時に、特に問題がなかった場合は「良好」と表記した。 【0101】 -脱型時間- 発泡ポリウレタン素材を作製する際、上述のようにして、万力で固定したアルミ製容器(枠型と上蓋とからなる容器)を50℃のオーブンに10分間保持した後、オーブンから取り出し10分間室温冷却した。10分間室温冷却後で、発泡体に膨張が見られる例、及び発泡体がベタベタして型から取り出せない例については、型に留めたまま更に10分保持後、脱型可能か確認する。以降、10分毎に確認し、脱型までに60分以上要するものを脱型性が不良であると判定した。 【0102】 以下、各例の物理特性の測定結果、各種試験の結果について、表1~表13に一覧にして示す。また、上記結果を総合評価して、以下の基準で素材サンプルを「◎」、「○」、及び「X」の3つの区分に分類した。表1~表13において、全ジイソシアネートのモノマー質量比率を「全ジイソシアネート質量比率」、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率を「第1ジイソシアネート(MDI)質量比率」と示す。 【0103】 (1)区分「〇」 全ジイソシアネートのモノマー質量比率、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率、見掛け密度、独立気泡率、及び反発弾性率が本願で規定する範囲を満足し、かつ、経済的な生産(50分以下の脱型性及び外観が良好)が可能であり、更に、下記A~Cのいずれか1つ以上を満足するサンプルである。 A:30%圧縮永久歪が20%以下であり、23℃における30%圧縮硬さが0.2MPa~0.6MPaである。 B:0℃における30%圧縮硬さが0.2MPa~1.0MPaである。 C:23℃における30%圧縮硬さに対する0℃における30%圧縮硬さの比率が、200%以下である。 【0104】 (2)区分「◎」 区分「〇」を満足するものの中でも、更に、A~Cの全てを満足するサンプルである。 【0105】 (3)区分「×」 区分「〇」を満足しないサンプルである。すなわち、全ジイソシアネートのモノマー質量比率、第1ジイソシアネートのモノマー質量比率、見掛け密度、独立気泡率、及び反発弾性率の少なくとも1つが本願で規定する範囲を満足しない、または、経済的な生産(50分以下の脱型性及び外観が良好)が不可能なサンプルである。 【0106】 【表1】 【0107】 【表2】 【0108】 【表3】 【0109】 【表4】 【0110】 【表5】 【0111】 【表6】 【0112】 【表7】 【0113】 【表8】 【0114】 【表9】 【0115】 【表10】 【0116】 【表11】 【0117】 【表12】 【0118】 【表13】 【0119】 上記結果から、実施例の発泡ポリウレタン素材は、軽量であり、反発弾性率が高く、独立気泡率が低いため、例えば、打球バット用の発泡ポリウレタン素材として適していることがわかる。これらの実施例の中でも、23℃における30%圧縮硬さ、0℃における30%圧縮硬さ、30%圧縮永久歪、及び0℃/23℃圧縮硬さ比の少なくとも1つが、本開示に規定する条件を満たすものは、打球バット用の発泡ポリウレタン素材としてより好適に用いることができる。 また、実施例の発泡ポリウレタン素材は、脱型時に、膨張(又は収縮)、スキン破れ等が発生せず、脱型性が良好であり、加工性が高く製造容易であることもわかる。 【0120】 なお、表中の略称等の詳細については、以下の通りである。 【0121】 -ポリオール- ·PTMG4000: ポリテトラメチレングリコール「PTMG4000(三菱化学(株)製、官能基数f=2、Mn=3728、OHv=30.1)」 ·PTMG3000: ポリテトラメチレングリコール「PTMG3000(三菱化学(株)製、官能基数f=2、Mn=2877、OHv=39.0)」 ·PTMG2000: ポリテトラメチレンエーテルグリコール「PTMG2000)三菱化学(株)製、官能基数f=2、Mn=1951、OHv=57.5)」 ·PTMG1500: ポリテトラメチレンエーテルグリコール「PTMG1500)三菱化学(株)製、官能基数f=2、Mn=1500、OHv=74.8)」 【0122】 -セルオープナー- ·PL910: ポリエーテルグリコール「サンニックス PL910(三洋化成工業(株)製、PO/EO(モル比)=84/16、官能基数f=2、Mn=898、OHv=125) 【0123】 -整泡剤- ·整泡剤: 非反応性シリコーン整泡剤「DOW CORNING TORAY SZ‐1642(東レ·ダウコーニング(株)製)」 【0124】 -触媒- ·33-LV: アミン触媒「DABCO 33-LV(エアー·プロダクツジャパン(株)製)」 ·カオーライザーNo.120: イミダゾール系触媒「カオーライザーNo.120(花王(株)製)」 【0125】 -ジイソシアネート- ·ミリオネートMT: モノメリックMDI「ミリオネートMT(東ソー(株)製)」、NCO%=33.58質量% ·TDI(T-65): トルエンジイソシアネート「コロネートT-65(東ソー(株)製)」、NCO%=48.3質量% ·TDI(T-100) 2,6―トルエンジイソシアネート(東京化成工業(株)製)」、NCO%=48.3質量% ·HDI: ヘキサメチレンジイソシアネート「東京化成工業(株)製)」、NCO%=50.0質量% ·IPDI: イソホロンジイソシアネート「東京化成工業(株)製)」、NCO%=37.8質量% ·XDI: キシリレンジイソシアネート「東京化成工業(株)製)」、NCO%=44.5質量% ·H6XDI: 水添XDI「タケネート600(三井化学(株)製)」、NCO%=43.3質量% ·H12MDI: ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート「東京化成工業(株)製」、NCO%=31.8質量% ·MDIプレポリマー PTMG3000(三菱化学)/MDI(ミリオネートMT(東ソー(株)製)=100/28.72 NCO%=5.32 ·TDIプレポリマー PTMG2000(三菱化学)/TDI(T-100、東京化成工業(株)製)=100/19.31 NCO%=4.3 ·PDIプレポリマー PTMG3000(三菱化学)/PDI(富士フイルム和光純薬(株)製)=100/14.25 NCO%=4.09
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