【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留によって分離することが困難な天然または化学製品の分離の分野に関するものである。そして、擬似向流または擬似並流のいずれかを用いた擬似移動床分離方法または装置として知られる一連の方法および関連装置の利用がなされる(以下、「SMB」と称する)。
【0002】
関係する分野は、特に、パラキシレンと他のC8芳香族異性体との分離である。他の関係する分野は、特に限定されないが、一方では通常のパラフィンを他方では分岐パラフィン、ナフテンおよび芳香族から分離すること、オレフィン/パラフィン分離、メタキシレンを他のC8芳香族異性体から分離すること、およびエチルベンゼンを他のC8芳香族異性体から分離すること、である。
【0003】
具体的には、本発明は、吸着剤床または粒状媒体と呼ばれる固体粒子の媒体中に流体の流れを実施するカラム内で流体を分配および収集する装置を含むSMB装置および方法に関する。
【0004】
カラムは、カラム内で実施される1つ以上の流体の流れの方向に直列に配置された複数の吸着剤床を含むカラムを意味する。吸着剤床を連続して通過する流体は、主流体と呼ばれ、一般に2つの連続する床の間に位置するプレートとも呼ばれる分配収集装置を介して主流体に加えることができる他の副流体と区別される。
【0005】
プレートは、少なくとも1つの収集ゾーンと、主流体の収集および/または副流体の注入およびこれらの副流体と主流体との混合を可能にするバルブシステムから構成されている。また、プレートは、少なくとも1つの分配ゾーンを含み、分配ゾーンの目的は、主流体と副流体の混合から生じる流体を、主流体の流れの方向に、すぐ下流に位置する粒状床上に分配することである。以下の記載において、「下流」床という記載は、本発明による分配器のすぐ下流に位置する粒状床を示すものとする
本発明は、各粒状床、またはそれらの少なくとも一部に、収集ゾーンあるいは先行する粒状床、すなわちより具体的には「上流」床が装備されている主流体と副流体を混合するシステムから来る噴流の形態である流体を主流体の流れの方向に供給できるようにする分配ゾーン(以下において分配器と呼ばれる)に関するものである。
【背景技術】
【0006】
固体粒子を含むチャンバー、例えば特に多段カラムにおいて流体を分配、混合または収集するための数多くの装置が知られている。プレートは一般に、カラムの断面にわたって流体をできるだけ均質に分配する機能、カラムの様々な床を通過する主流体と各床に導入される1つまたは複数の副流体を効果的に混合する機能、任意に2つの床の間で流体の流れを収集する機能、最後に、固体粒子の次の床、すなわち該装置のすぐ下流に位置する床に入る前に床出口で濃度を最もよく均質化する機能を有している。
【0007】
さらに、プレートは、軸方向の分散をできるだけ小さくし、圧力損失を最小にし、該方法の性能に悪影響を及ぼす流体力学的な乱れを発生させないなど、いくつかの制約を満たす必要がある。
【0008】
プレートは、当業者にとって周知のいくつかの特徴を有する。
【0009】
本文を明確にするために、カラムは複数のプレートPiと吸着剤床Aiに分割され、プレートPiは、主流体の流れの方向において、吸着剤床Aiの直ぐ上流に配置される。さらに、吸着剤床Ai+1と言及して、吸着剤床Aiの下流に位置する次の吸着剤床を主流体の流体の流れ方向で示す。同様に、プレートPi+1は、プレートPiの、主流体の流れの方向における下流に位置する後続のプレートを示す。
【0010】
さらに、カラムの各プレートPiは、プレートがパネルと呼ばれる複数のセクタ又は領域に分割されうる方法に関連して、複数の収集/注入弁のシステムおよび複数の分配器を有することができる。一般に、プレートの各パネルは、1つの収集/注入弁のシステムおよび1つの分配器を有する。
【0011】
各パネルは様々な形状を有することができ、最も一般的なのは、実質的に同じ幅の、角度のある扇形あるいは経線パネル、すなわち(相互に)平行なパネルへの分割である。
【0012】
プレートPiの各パネルでは、以下のことが可能である。
- 吸着剤床Ai-1から、収集バッフルと呼ばれるシステムを介して主流体を収集し、
- 吸着剤床Ai-1から出る主流体を取り出し、あるいは、吸着剤床Ai-1を離れる主流体と、注入/取出タンクで終端する分配ネットワークを介して該パネルに任意に注入される副流体とを混合し、
- 分配器を介して、次の吸着剤床Aiにわたって、単独で、あるいは、副流体との混合体として収集された主流体を再分配する。
【0013】
欧州特許出願公開第0074815号明細書、米国特許出願公開第2006/0108274号明細書、仏国特許発明第270480号明細書は、SMB吸着の場合に使用されるプレートの例を提示している。
【0014】
場合によっては、粒子の床は分配器によって塞がれている、すなわち、分配器および吸着剤床Ai間に空いた空間がないことがある。
【0015】
米国特許出願公開第2006/0108274号明細書に記載されているように、分配器と床との間に空いた空間がある場合、該方法の性能に悪影響を及ぼし得る粒子の床の部分的流動化を生じさせないために、分配器は、床入口において局所的に過剰な流体速度を発生しないように設計することが可能である。具体的には、US2006/0108274A1には、下流の粒状床の入口におけるこの噴流の高い速度を制限するために、分配器の上方で、液体の噴流用の出口に対応する開放ゾーンの下方に配置された噴流破砕プレートが記載されている。対照的に、米国特許出願公開第2006/0108274号明細書に記載された分配器は、粒子の床の部分的な流動化を排除するのに十分でない場合があり、それゆえ、他の解決策に頼る必要がある。
【0016】
粒子の床の部分的な流動化をさらに低減するために、先行技術は、以下の複数種類の解決策を提案している。
- 粒子床の入口における乱流および高速度を制限することが可能となるように、分配器の下流に、スクリーンまたは多孔板タイプの要素を配置する、
- 流体が分配/混合装置を通過する速度を減少させるために、パネルの数と収集バッフルの開口部を増加させること。
【0017】
米国特許出願公開第2009/0321359号明細書は、流体の流れの方向において上から下へ配置された以下の3つの要素からなる分配器を提案している。
- パネルの収集バッフルの出口開口部の軸に実質的に沿って位置し、該収集バッフルの軸を中心とした固体噴流破砕器、
- 噴流破砕器を越えて横方向に延び、該噴流破砕器の幅、および、パネルの幅の半分に等しい高い値、の間の幅で、プラスマイナス5cm以内にあり、15%から30%の間の開度を持つ中間多孔板、および
- 前記パネルPの全区画に渡って延び、開口率が7%以上15%以下の分配板。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】
欧州特許出願公開第0074815号明細書
【特許文献2】
米国特許出願公開第2006/0108274号明細書
【特許文献3】
仏国特許発明第270480号明細書
【特許文献4】
米国特許出願公開第2009/0321359号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、吸着剤床内部の流体の流体力学は改善することができる。
【0020】
本発明が解決しようとする課題は、流体の流れの方向に直列に配置された複数の吸着剤床を有するカラム内部の流体の流れを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、上流側の吸着床から主流体(カラム内を循環する流体)を回収し、下流側の吸着床に主流体を供給することを可能とする分配収集装置(以下においてパネルともいう)に関するものである。有利なことに、分配収集装置は、主流体と1つ以上の副流体とを混合するためのシステムも有する。
【0022】
第1の態様によれば、本発明は、主流体を分配収集するための装置として定義することができ、この装置は、擬似移動床分離カラムの下流吸着剤床に供給するように設計されており、この装置は、少なくとも1つのパネルを含み、該パネルは、主流体の流れの方向において、以下のものを含む。
- 上流吸着剤床の固体粒子の床を支持しうるようになされた上部スクリーン、
- 上流吸着剤床を離れる主流体を収集しうるようにされた収集器(または収集ゾーン)、
- 収集器を分配器から分離し、主流体を収集器から分配器(または分配ゾーン)に向かって送るための少なくとも1つの出口開口を含む分離プレート、
- 下流吸着剤床にわたって主流体を分配しうるようになされた分配器、および、
- 下部スクリーン。
【0023】
前記パネルは、さらに、
- 分離プレートに隣接し、パネルの実質的に中央位置に配置された注入/取出タンクであって、分離プレートは、注入/取出タンクの両側に位置する2つの側部を含み、各側部は注入/取出タンクからパネルの側壁までの幅Lにわたって延在している注入/取出タンクと、
- 主流体の流れの方向に対して垂直に延びる噴流破砕要素とを含み、
該噴流破砕要素は、2つの固体噴流破砕プレートを含み、該噴流破砕要素プレートは、
- 注入/取出タンクの両側に延在し、
- 下部スクリーンと並置され、
- 少なくとも一つの出口開口部の下方に配置され、
- 分配器内の主流体を主流体の流れの方向と直交する方向に向けるようになされており、
該装置において、分離プレートの側部の幅Lに対する各固体噴流破砕プレートの幅lの比l/Lが、少なくとも0.1である。
【0024】
有利なことに、噴流破砕要素は、特に以下を可能にする。
- 下流側吸着剤床を通過する流体の軸方向分散を減少させることによって流れを改善すること(プラグフローに最も近づく)、
- 下流吸着剤床内の流体の流体力学を改善すること、および、
- 下流吸着剤床の上面における溝の形成を減少させること。
【0025】
1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素は、注入/取出タンクの下に配置され、2つの固体噴流破砕プレートを連結する中央ボディを含む。
【0026】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレートの側部の幅Lに対する固体噴流破砕プレートの幅lの比l/Lは、少なくとも0.2、好ましくは少なくとも0.25である。
【0027】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレートの側部の幅Lに対する固体噴流破砕プレートの幅lの比l/Lは、0.1~0.7、好ましくは0.2~0.4、より好ましくは0.25~0.30の間である。
【0028】
1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素と注入/取出タンクとが並置されている。
【0029】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレートの下端と噴流破砕要素の上端との間の距離が、パネルの幅の10%未満、好ましくは6%未満である。
【0030】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレートが、1%から10%の間、好ましくは4%から8%の間の開口度を有する。
【0031】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレートは、直径5mm~50mmおよび/または中心間距離30mm~90mmの穴で穿孔されている。
【0032】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様による複数の装置を含む、擬似移動床分離カラムの分配収集プレートとして定義することができる。
【0033】
第3の態様によれば、本発明は、第2の態様による複数のプレートを含む、擬似移動床分離カラムとして定義することができる。
【0034】
1つ以上の実施形態によれば、カラムは、n枚のプレートによって分離されたN個の吸着剤床に分けられ、吸着剤床の個数Nとプレートの枚数nは同一であり、4~24、好ましくは8~19、より好ましくは12~15である。
【0035】
第4の態様によれば、本発明は、第3の態様によるカラムを少なくとも1つ含む擬似移動床分離ユニットとして定義することができる。
【0036】
第5の態様によれば、本発明は、以下のステップを含む、擬似移動床分離方法として定義することができる。そのステップとは、少なくとも1つのカラムに少なくとも1つの原料および脱着剤を供給するステップと、少なくとも1つの抽出物および少なくとも1つのラフィネートをカラムから抜き出すステップであり、該カラムは、閉回路で相互接続され、第1の態様による複数の装置からなるプレートによって分離される吸着剤固体の床を1つ以上含み、カラムのプレートにおける供給点および抜出点が、切り替え時間を有する1つの吸着剤床に対応する値によって経時的にシフトされ、カラムの複数の動作ゾーン、特に番号によって定義されて示される以下の主要ゾーン:
- 脱着剤の注入および抽出液の抜出間にある、分離されるべき生成物の脱着のためのゾーンI、
- 抽出液の抜出および原料の注入間にある、分離されるべき生成物の異性体の脱着のためのゾーンII
- 原料の注入およびラフィネートの抜出間にある、分離されるべき生成物の吸着のためのゾーンIII、ならびに
- ラフィネートの抜出および脱着剤の注入間にある、ゾーンIV
を決定し、
この方法において、吸着剤床は、a/b/c/d型構成とされる構成に従ってゾーンI~IVに分配される、すなわち、床の分配は以下のように、
- ゾーンIの床の数a、
- ゾーンIIの床の数b、
- ゾーンIIIの床の数c、および、
- ゾーンIVの床の数d、
とされ、
この方法において、
- a=(t*0.2)*(1±0.2)、
- b=(t*0.4)*(1±0.2)、
- c=(t*0.27)*(1±0.2)、および、
- d=(t*0.13)*(1±0.2)、
あるいは、
- a=(t*0.17)*(1±0.2)、
- b=(t*0.42)*(1±0.2)、
- c=(t*0.25)*(1±0.2)、および、
- d=(t*0.17)*(1±0.2)
とされ、
この方法において、tは、6と24との間、好ましくは8と19との間、より好ましくは12と15との間の自然な整数である。
【0037】
1つ以上の実施形態によれば、
- 原料は、8個の炭素原子を含む芳香族の混合物を含み、および/あるいは、
- 脱着剤は、ジエチルベンゼンの1つ以上の異性体とトルエンからなる群から選ばれ、好ましくは脱着剤はパラジエチルベンゼンまたはトルエンであり、より好ましくは脱着剤はトルエンであり、および/あるいは、
- 使用される吸着剤は、BaX、BaKXおよびBaLSXからなる群から選ばれるフォージャサイトを含むか、あるいは、それらからなる。
【0038】
1つ以上の実施形態によれば、
- 吸着剤床内の温度は、140℃と189℃との間、好ましくは155℃と185℃との間、より好ましくは170℃と180℃との間であり、および/あるいは、
- 吸着剤床内の圧力は、1MPaと10MPaとの間、好ましくは2MPAと4MPaとの間、より好ましくは2MPaと3MPaの間であり、および/あるいは、
- 切り替え時間は、30秒と100秒との間、好ましくは40秒と80秒との間であり、および/あるいは
- 床間の表面速度は、0.2cm/sと2.5cm/sとの間、好ましくは0.5cm/sと2cm/sとの間である。
【0039】
前述の態様による本発明の他の特徴および利点は、以下に説明する添付の図を参照しながら、以下の説明および非限定的な例示的実施形態を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、3つの連続するプレートを有する多段式カラムの部分断面図であり、各プレートは、収集システム、主流体の取り出しあるいは副流体の注入システム、および、標準分配器を有する複数のパネルを備えるものを示す。
【図2】図2は、3つの連続するプレートを有する多段カラムの部分断面図であり、各プレートは、本発明による収集システム、主流体の取り出しあるいは副流体の注入システム、および、分配器を備えた複数のパネルを有している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
次に、前述の態様による装置および方法の実施形態について詳細に説明する。以下の詳細な説明では、装置および方法のより深い理解を提供するために、多数の具体的な詳細が開示される。しかしながら、当業者には、本装置および本方法は、これらの具体的な詳細がなくても実施できることが明らかであり、他の場合、周知の特徴は、不必要に説明を複雑にすることを避けるために、詳細には説明されていない。
【0042】
本願において、用語「備える」は、「含む」および「含有する」と同義(同じ意味)であり、包括的又は開放的であり、記載されていない他の要素を除外するものではない。また、「備える」という用語は、排他的で閉鎖的な用語である「成る」を含むと理解される。さらに、本明細書において、「本質的に」または「実質的に」という用語は、±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±2%の近似値に相当する。例えば、パネルのある位置に実質的に配置された要素は、パネルの幅または高さに関して、±10%、好ましくは±5%の近似値でパネルに配置されうる。
【0043】
第1の態様によれば、本発明は、SMB分離ユニットのための分配収集装置(以下、パネルともいう)として定義することができ、分配収集装置は、上流吸着床から来る流体を収集し、流体を下流吸着床の方向に分配するようになされている。
【0044】
SMB分離ユニットは、n枚のプレート(床間ゾーンを定義する)によって分離されたN個の吸着剤床に分けられた少なくとも1つの分離カラムからなり、各プレート自体が複数のパネルに分割されることが可能である。好ましくは、吸着剤床の数Nとプレートの数nは同一であり、4と24との間、好ましくは8と19との間、非常に好ましくは12と15との間である。
【0045】
プレートPiをパネルに分割することは、先行技術から知られている。最も一般的な2つのタイプの分割は、経線パネルへの分割と、角度のある扇形に対応するパネルへの分割である。経線パネルは、プレートの水平断面の完全な被覆を保証するように、相互に平行かつ連続する要素へのプレートPiの分割に対応する。経線パネルは、該プレートの直径に従って配向され、好ましくは、実質的に同じ幅を有する。1つ以上の実施形態によれば、各プレートは、4~24個のパネル、好ましくは12~16個のパネルに分割される。パネルは、好ましくは経線パネルである。
[本装置について]
一般に、分配収集装置は、主流体の流れの方向において、
- 上流側の吸着床から流出する主流体を収集するようになされた収集器、
- 収集された主流体を取り出し、あるいは、主流体に副流体を混合しうるように該副流体を注入するようになされた注入/取出タンク、および、
- 下流吸着床を横切って、単独で、あるいは、副流体との混合物として収集された主流体を分配するようになされた分配器。
【0046】
図1および図2を参照すると、カラム1は、カラム1内で実施される主流体の流れ方向Eにおいて直列に配置された複数の固体粒子床2を備えている。具体的には、カラム1は、主流体の流れ方向Eにおいて、プレートPi-1、吸着剤床Ai-1(上流側吸着剤床Ai-1とする)、プレートPi、吸着剤床Ai(下流側吸着剤床Aiとする)、プレートPi+1、を有している。
【0047】
図1および図2を参照すると、プレートPiは、複数のパネル3に分割され、各パネル3は、好ましくは2つの側壁10を含む垂直壁を備え、各パネル3はまた、主流体の流れEの方向において、
- 固体粒子2の床を支持することを可能にする上部スクリーン4、あるいは、他の同等の装置(例えば、穿孔プレート)と、
- 上流吸着剤床Ai-1を離れる主流体を収集するようになされた収集器5あるいは収集ゾーン(図面において収集チャネルCによって描かれている)と、
- 収集器5を分配器7から分離する分離プレート6と、
- 単独であるいは副流体との混合物として収集された主流体を下流吸着剤床Aiにわたって分配するようになされた分配器7又は分配ゾーン(図面において分配チャネルDによって描かれている)と、
- パネル3を支持することを可能にする下部スクリーン8、あるいは、他の同等の装置(例えば、多孔板)とを備え、
- 上部スクリーン4、収集器5、分離プレート6、分配器7および下部スクリーン8は、一方の側壁10から他方の側壁10まで延在している。
【0048】
図1および図2を参照すると、パネル3はまた、収集器5によって収集された主流体を取り出す、あるいは、該主流体と混合させるために副流体を注入するようになされた注入/取出タンク9を備えている。注入/取出タンク9は、分離プレート6に隣接し、パネル3の中心位置、すなわちパネル3の中心軸Z(図1および図2の断面図に示すように)に実質的に沿って位置するように配置される。パネル3の中心軸Zは、パネル3の横軸、すなわち、流れEの方向に平行であり、かつ、分離プレート6によって形成される平面に直交する軸である。
【0049】
有利には、上部スクリーン4および分離プレート6が一緒になって、主流体を注入/取出タンク9の方に向かわせるようになされた収集器5(収集ゾーン)を形成している。
【0050】
有利には、分離プレート6は、注入/取出タンク9の両側に位置する2つの側部を備え、すなわち注入/取出タンク9は、分離プレート6を2つの側部に分離し、各側部はそれぞれ注入/取出タンク9からパネル9の側壁10までの幅Lにわたって延在している。パネルの幅は、2つの側壁10の間の距離に等しく、すなわち、パネルの幅は、注入/取出タンク9の幅と、注入/取出タンク9の両側に位置する2つの側部の幅Lの合計に等しいことがわかる。
【0051】
詳細な説明では、説明を不必要に複雑にしないために、注入/取出タンク9の周知の特徴については詳細に説明していない。例えば、図1および図2を参照すると、注入/取出タンク9は、実質的に上部スクリーン4から下部スクリーン8まで延在しているが、注入/取出タンク9が実質的に上部スクリーン4から分離プレート6まで、あるいは分離プレート6から下部スクリーン8まで延在しうることは当業者にとって明らかであるだろう。
【0052】
また、注入/取出タンク9は、収集器5および分離プレート6間、あるいは、分離プレート6および分配器7間、あるいは収集器5および分配器7間に配置できることも理解される。
【0053】
有利には、分離プレート6は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの出口開口部11を備え、好ましくは注入/取出タンク9近傍に配置され、収集器5から分配器7に向かって主流体を送るようになされている。好ましくは、少なくとも1つの出口開口部11は、注入/取出タンク9の両側に配置される。パネル3の動作モードに応じて、主流体は、注入/取出タンク9に集められるか、または注入/取出しタンク9から出る副流体と混合される。こうして混合された主流体および副流体は、分配器7を通過することによって下流吸着剤床Aiに向かって再分配される。1つ以上の実施形態によれば、近傍という用語は、分離プレート6の側部の幅Lの10%未満、好ましくは5%未満の距離に相当する。
【0054】
有利には、下部スクリーン8および分離プレート6は、単独の主流体、あるいは副流体との混合物として収集された主流体を下流吸着剤床Aiの方に導くための分配器7(分配ゾーン)を一緒に形成する。
【0055】
図1および図2を参照すると、パネル3はまた、主流体の流れEの方向に対して垂直に延び、少なくとも1つの出口開口部11の下方に配置された噴流破砕要素12を備える。有利には、噴流破砕要素12は、主流体を単独で、あるいは、副流体との混合物として、分配器7内で主流体の流れEの方向と直交する方向、すなわちパネル3の側壁10に向かって導くようになされている。
【0056】
有利には、噴流破砕要素12および下部スクリーン8は、互いに並置されているという意味において、互いに隣接している(例えば、互いにネジ止め、溶接、リベット止め、接着剤で接着等)。
【0057】
有利には、噴流破砕要素12は、分離プレート6の下方、および注入/取出タンク9の下方に配置され、パネル3の実質的に中央の位置に、すなわちパネル3の中心軸Zに実質的に沿って位置するように配置される。
【0058】
図1および図2を参照すると、噴流破砕要素12は、幅lの2つの固体噴流破砕プレート13を備え、パネル3の側壁10に向かって注入/取出タンク9の両側に(および、そこから)延在している。1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素12はまた、注入/取出タンク9の下方に配置され、2つの固体噴流破砕プレート13を接続する任意の中央ボディ14を備える。
【0059】
図1を参照すると、分離プレート6の側部の幅Lに対する各標準固体噴流破砕プレート13の幅lの比率l/Lは、0.05未満である。
【0060】
図2を参照すると、分離プレート6の側部の幅Lに対する本発明による各固体噴流破砕プレート13の幅lの比率l/Lは、少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.2、非常に好ましくは少なくとも0.25である。1つ以上の実施形態によれば、比l/Lは、0.1~0.7、好ましくは0.2~0.4、非常に好ましくは0.25~0.30である。
【0061】
1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素12は、パネル3の幅の少なくとも10%、好ましくはパネル3の幅の少なくとも20%、より好ましくはパネル3の幅の少なくとも25%の全幅にわたって延在している。1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素12は、パネル3の幅の10%から70%の間、好ましくは20%から40%の間、より好ましくは25%から30%の間の幅にわたって延在している。
【0062】
1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素12と注入/取出タンク9は、互いに並置されているという意味において、互いに隣接している。1つ以上の実施形態によれば、噴流破砕要素12、下部スクリーン、および、注入/取出タンク9は、互いに並置されているという意味において隣接している。
【0063】
1つ以上の実施形態によれば、下部スクリーンは、例えば、「ジョンソン(登録商標)」タイプ(スロットがパネルの中心軸に実質的に垂直である)のスクリーンである。1つ以上の実施形態によれば、下部スクリーン8は、穿孔プレートである。
【0064】
1つ以上の実施形態によれば、分配器7を収集器5から分離する分離プレート6の下端と噴流破砕要素12の上端との間の距離は、パネル3の幅の10%未満、好ましくは6%未満である。
【0065】
1つ以上の実施形態によれば、分配器7を収集器5から分離する分離プレート6の下端と噴流破砕要素12の上端との間の距離は、1mm以上50mm以下、好ましくは5mm以上30mm以下である。
【0066】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレート6は、1%と10%との間、優先的には4%と8%との間の開口度を有する。
【0067】
1つ以上の実施形態によれば、分離プレート6は、直径5mm~50mmおよび/あるいは中心間距離30mm~90mmの穴で穿孔されている。
【0068】
本発明は、また、本発明による複数のパネル3からなるプレートPiに関する。
【0069】
また、本発明は、本発明による複数のパネル3からなるn枚のプレートPiによって分離されたN個の吸着剤床Aiに分割された分離カラム1に関するものである。
【0070】
また、本発明は、本発明による複数のパネル3からなるn枚のプレートPiによって分離されたN個の吸着剤床Aiに分割された少なくとも1つの分離カラム1を含むSMB分離装置に関するものである。
[本方法について]
本発明はまた、本発明によるSMB分離装置を含むSMB方法として定義することも可能であり、分離されるべき原料は、7~9個の炭素原子を有する芳香族、ノルマルパラフィンとアイソパラフィンの混合物、あるいはノルマルオレフィンとアイソオレフィンの混合物といった混合物とされる。
【0071】
したがって、本発明はまた、本発明による複数のパネル3からなるn枚のプレートPiによって分離されたN個の吸着剤床Aiに分けられた少なくとも1つの分離カラム1を用いるSMB分離方法に関するものである。
【0072】
本文の残りの部分では、方法のある時点で所定の流れに対して実施される操作または同様の操作のグループを示すために、ステップを参照する。本方法は、流体あるいは生成物の流れの順序に沿った様々なステップにおいて説明される。
【0073】
SMB分離方法は、次のステップを含む。カラム1に少なくとも1つの原料および脱着剤を供給するステップ、および、少なくとも1つの抽出物および少なくとも1つのラフィネートをカラム1から抜き出すステップである。該カラム1は、閉回路で相互接続され、1以上の吸着剤固体の床Ai(すなわち、最後の吸着器の最後の床は、循環流体を最初の吸着器の最初の床に送るようになされている)を備え、本発明によるプレートPiによって分離されており、カラム1のプレートPiにおける供給点および取出点は、切り替え時間(STと表記する)を有する一つの吸着剤床に対応する値によって経時的にシフトされ、SMB装置の複数の動作ゾーン、特に番号によって定義されて示される以下の主要ゾーン:
- 脱着剤の注入および抽出液の抜出間にある、分離されるべき生成物の脱着のためのゾーンI、
- 抽出液の抜出および原料の注入間にある、分離されるべき生成物の異性体の脱着のためのゾーンII
- 原料の注入およびラフィネートの抜出間にある、分離されるべき生成物の吸着のためのゾーンIII、ならびに
- ラフィネートの抜出および脱着剤の注入間にある、ゾーンIV
を決定する。
【0074】
1つ以上の実施形態によれば、吸着剤床は、a/b/c/d型構成とされる構成に従ってゾーンI~IVに分配される、すなわち、床の分配は以下のように、
- ゾーンIの床の数a、
- ゾーンIIの床の数b、
- ゾーンIIIの床の数c、および、
- ゾーンIVの床の数dとされる。
【0075】
1つ以上の実施形態によれば、
- a=(t*0.2)*(1±0.2)、
- b=(t*0.4)*(1±0.2)、
- c=(t*0.27)*(1±0.2)、および、
- d=(t*0.13)*(1±0.2)、であり、
tは、6と24の間、好ましくは8と19の間(例えば12と15の間)の自然な整数である。
【0076】
1つ以上の実施形態によれば
- a=(t*0.17)*(1±0.2)、
- b=(t*0.42)*(1±0.2)、
- c=(t*0.25)*(1±0.2)、および、
- d=(t*0.17)*(1±0.2)、であり、
tは、6と24との間、好ましくは8と19との間、より好ましくは12と15との間(例えば12あるいは15)の自然な整数である。
【0077】
1つ以上の実施形態によれば、脱着剤は、ジエチルベンゼンの1つ以上の異性体とトルエンからなる群から選ばれる。1つ以上の実施形態によれば、脱着剤は、パラジエチルベンゼンあるいはトルエンである。1つ以上の実施形態によれば、脱着剤は、トルエンである。
【0078】
1つ以上の実施形態によれば、使用される吸着剤は、BaX、BaKXおよびBaLSXからなる群から選ばれるフォージャサイトを含むか、あるいは、それらから構成される。
【0079】
1つ以上の実施形態によれば、原料は、本質的にC8芳香族化合物(例えば、キシレンおよびエチルベンゼン)の混合物である。1つ以上の実施形態によれば、混合物は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%(例えば少なくとも99%)の本質的にC8芳香族化合物からなる。1つ以上の実施形態によれば、原料は、原料の総重量に対して少なくとも15wt%のパラキシレンおよび/あるいは30wt%のメタキシレンを含んでなる。
【0080】
工業的に非常に重要なSMB分離方法の一例は、工業的純度、典型的には少なくとも99.7wt%の純度のパラキシレン、ならびに、エチルベンゼン、オルソキシレンおよびメタキシレンに富むラフィネートを製造するためのC8芳香族留分の分離である。
【0081】
生成された抽出物は、脱着剤、パラキシレン、および、任意で微量の異性体(パラキシレン純度は95%以上、好ましくは98%以上)を含む。この抽出物は、脱着剤を分離するために処理され(例えば、蒸留によって)、次いで、パラキシレンの純度を高めるために結晶化またはSMB吸着のいずれかによって精製される。
【0082】
1つ以上の実施形態によれば、吸着剤床における温度は、140℃と189℃との間、好ましくは155℃と185℃との間、より好ましくは170℃と180℃との間である。
【0083】
圧力は、本発明による方法のすべてのポイントにおいて液相が維持されるように調整される。1つ以上の実施形態によれば、吸着剤床における圧力は、1MPaと10MPaとの間、好ましくは2MPaと4MPaとの間、より好ましくは2MPaと3MPaとの間である。
【0084】
1つ以上の実施形態によれば、使用される切替時間ST(供給物/抽出物の2つの連続した切り替え間の時間)は、30秒と100秒との間である。好ましくは、使用される切替時間STは、40秒と80秒との間(例えば、60±10秒)である。
【0085】
1つ以上の実施形態によれば、床間の表面速度は、0.2cm/sと2.5cm/sとの間であり、好ましくは0.5cm/sと2cm/sとの間である。
[実施例]
本発明による装置の有効性は、シミュレーションによって試験された。
【0086】
実施例1と示される第1のシミュレーションは、図1に示されるような、吸着剤床Aiに供給する標準プレートPiを再現するものである。
【0087】
実施例2と示される第2のシミュレーションは、図2に示されるような、吸着剤床Aiに供給する本発明によるプレートPiを再現するものである。
【0088】
2つの実施例において、プレートPiの要素および吸着剤床Aiの要素の構造的特徴は、以下の通りである:
- プレートPiの直径は9.7mであり、
- プレートは経線パネルに分割されており、
- 経線パネルの幅は1.15m、床の高さは1.25mであり、
- 分離プレート6は穿孔されており、
- 噴流破砕要素12および下部スクリーン8は互いに溶接されており、
- 下部スクリーン8は穿孔されており、
- すべての要素が注入/取出タンク9に対して中心をなしており、
- 吸着剤床Aiは、約550μmを中心とする粒径のゼオライト篩で満たされており、
- 吸着剤床は、分配器7の下方30mmの高さまで充填され、
- 吸着剤床Aiには、表面速度1.0cm/sで液体が供給される。
【0089】
参考例1では、標準固体噴流破砕プレート13の幅lは3cmである。
【0090】
本発明による実施例2では、本発明による固体噴流破砕プレート13の幅lは、15cmである。
【0091】
この結果を、流体の対流と軸方向拡散による分散との比を表すペクレ数Peで示す。なお、ペクレ数が大きいほど、軸方向拡散が小さいことを意味する。
【0092】
参考例1:Pe=120
本発明による実施例2:Pe=170
軸方向分散を最小にすることは、特に吸着法を含む固体粒子の固定床を実施する方法にとって有益である。
【符号の説明】
【0093】
1:擬似移動床分離カラム
2:固体粒子床
3:パネル
4:上部スクリーン
5:収集器
6:分離プレート
7:分配器
8:下部スクリーン
9:注入/取出タンク
10:側壁
11:出口開口部
12:噴流破砕要素
13:固体噴流破砕プレート
Ai:下流吸着剤床
Ai-1:上流吸着剤床
E:主流体の流れ
Pi:分配収集プレート