【請求項1】
環状有機化合物を製造する方法であって、環状有機化合物の環化前駆体を少なくとも1基の連続槽型反応器(CSTR)において環化する環化反応工程を含む、前記方法。
【請求項2】
前記環状有機化合物が、天然アミノ酸及び/又はアミノ酸類縁体により構成される、環状部を有するペプチド化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環状部を有するペプチド化合物が、4~14個の天然アミノ酸及び/又はアミノ酸類縁体残基からなる環状部を含み、かつ、天然アミノ酸及びアミノ酸類縁体残基の総数が7~20である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記環状有機化合物が、以下の(i)及び(ii)の特徴を有する、請求項3に記載の方法:
(i) N置換アミノ酸を少なくとも2つ含み、N置換されていないアミノ酸を少なくとも1つ含む、及び
(ii) ClogP値が6以上である。
【請求項5】
前記環化反応が、以下(i)~(vii)からなる群より選択される1以上の結合による分子内環化反応である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
(i) アミド結合
(ii) ジスルフィド結合
(iii) エーテル結合
(iv) チオエーテル結合
(v) エステル結合
(vi) チオエステル結合
(vii) 炭素-炭素結合
【請求項6】
前記環状有機化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
【化1】
〔式中、XはCH又はNを表し; R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルチオ基を表し;R2は水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基又はC2-6アルキニル基を表すか、或いはR2及びR3が一緒になって環を形成し; R3は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基又はC1-6アルコキシ基を表すか、或いはR2及びR3が一緒になって環を形成し;R4は水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基又はC2-6アルキニル基を表し; R5、R6、R7は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいC1-6アルキレン基、 C2-6アルケニレン基、C2-6アルキニレン基、C3-10シクロアルキレン基、C3-10シクロアルケニレン基、C6-12アリーレン基、-3~12員単環複素環-を表し; L1、L2、L3は、それぞれ独立に、単結合、-CONR8-、 -NR8CO-、-NR8-、-O-、-SO
2NR8-、-NR8SO
2-、-COO-、-NR8CONR8'-、-NR8COO-、又は-OCONR8-、を表し; R8、R8'は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよいC1-6アルキル基を表す〕。
【請求項7】
環化反応が、該環化反応についての予備試験の結果に基づき取得される条件を用いて、工業化スケールで行われる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記条件が以下(i)~(v)を含む工程によって取得される、請求項7に記載の方法:
(i)予備試験において、前記環化前駆体、前記環状有機化合物、1または複数の中間体、および1または複数の副生成物からなる群より選択される少なくとも1つについて、複数の温度における経時的な濃度変化のデータを取得する工程、
(ii)工程(i)において取得された濃度変化のデータおよび環化反応に関する反応速度式を使用して、反応速度定数k
nを求める工程、
(iii)工程(i)において使用された温度、工程(ii)において求められた反応速度定数k
nおよび下記式(II)を使用して、頻度因子A
nおよび活性化エネルギーE
nを求める工程、
【数1】
(iv)工程(iii)で求めた前記頻度因子A
n、及び前記活性化エネルギーE
n、前記式(II)、並びに前記反応速度式を使用して、CSTRにおいて環化するための温度における反応速度定数k
nを求める工程、および
(v)工程(iv)で求めた反応速度定数k
n、前記反応速度式及び下記CSTRの物質収支式(III)を使用して、前記条件を取得する工程
【数2】
(式中、r
n:反応速度、τ:滞留時間(空間時間)、C
0:供給濃度、C:濃度を表す。)。
【請求項9】
前記環化反応の素反応が下記式(IV)で表され、
【数3】
反応速度定数k
1、k
2、k
3が下記式(V)~(IX)のいずれかを使用して求められる、請求項8に記載の方法:
【数4】
(式中、TM: 環状有機化合物、SM:環化前駆体、ACT:活性化剤、IM:中間体、Dimer:ダイマー、C:濃度(M)を表す。)。
【請求項10】
前記環化反応の素反応が下記式(X)で表され、
【数5】
反応速度定数k
1、k
2が下記式(XI)~(XIII)のいずれかを使用して求められる、請求項8に記載の方法:
【数6】
(式中、r:反応速度、TM:目的物、SM:環化前駆体(=中間体)、ACT:活性化剤、Dimer:ダイマー、C:濃度(M)を表す。)。
【請求項11】
前記条件が、連続槽型反応器の流量、環化前駆体の濃度、及び環状有機化合物の濃度からなる群より選択される、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
環状有機化合物の環化前駆体を少なくとも1基の連続槽型反応器(CSTR)にて環化する工程を含む、前記環化前駆体の分子内環化を促進する方法。
【請求項13】
以下(i)~(v)の工程を含む、環状有機化合物の環化前駆体を少なくとも1基の連続槽型反応器(CSTR)において工業化スケールで環化するための条件を取得する方法:
(i)予備試験において、前記環化前駆体、前記環状有機化合物、1または複数の中間体、および1または複数の副生成物からなる群より選択される少なくとも1つについて、複数の温度における経時的な濃度変化のデータを取得する工程、
(ii)工程(i)において取得された濃度変化のデータおよび環化反応に関する反応速度式を使用して、反応速度定数k
nを求める工程、
(iii)工程(i)において使用された温度、工程(ii)において求められた反応速度定数k
nおよび下記式(II)を使用して、頻度因子A
nおよび活性化エネルギーE
nを求める工程、
【数7】
(iv)工程(iii)で求めた前記頻度因子A
n、及び前記活性化エネルギーE
n、前記式(II)、並びに前記反応速度式を使用して、CSTRにおいて環化するための温度における反応速度定数k
nを求める工程、および
(v)工程(iv)で求めた反応速度定数k
n、前記反応速度式及び下記CSTRの物質収支式(III)を使用して、前記条件を取得する工程
【数8】
(式中、r
n:反応速度、τ:滞留時間(空間時間)、C
0:供給濃度、C:濃度を表す。)。
【請求項14】
環状有機化合物の環化前駆体を少なくとも1基の連続槽型反応器(CSTR)において工業化スケールで環化するための条件を取得するために、コンピュータに:
(i)予備試験において取得された、前記環化前駆体、前記環状有機化合物、1または複数の中間体、および1または複数の副生成物からなる群より選択される少なくとも1つに関する、複数の温度における経時的な濃度変化のデータ、および環化反応に関する反応速度式を使用して、反応速度定数k
nを求める工程、
(ii)工程(i)において使用された温度、工程(i)において求められた反応速度定数k
nおよび下記式(II)を使用して、頻度因子A
nおよび活性化エネルギーE
nを求める工程、
【数9】
(iii)工程(ii)で求めた前記頻度因子A
n、及び前記活性化エネルギーE
n、前記(II)式、並びに前記反応速度式を使用して、CSTRにおいて環化するための温度における反応速度定数k
nを求める工程、および
(iv)工程(iii)で求めた反応速度定数k
n、前記反応速度式及び下記CSTRの物質収支式(III)を使用して、前記条件を取得する工程
【数10】
(式中、r
n:反応速度、τ:滞留時間(空間時間)、C
0:供給濃度、C:濃度を表す。)。
を実行させるためのプログラム。
【請求項15】
環状有機化合物の環化前駆体を少なくとも1基の連続槽型反応器(CSTR)において工業化スケールで環化するための条件を取得するためのシステムであって、以下(i)~(iv)の手段を備えるシステム:
(i)予備試験において取得された、前記環化前駆体、前記環状有機化合物、1または複数の中間体、および1または複数の副生成物からなる群より選択される少なくとも1つに関する、複数の温度における経時的な濃度変化のデータ、および環化反応に関する反応速度式を使用して、反応速度定数k
nを求める手段、
(ii)工程(i)において使用された温度、工程(i)において求められた反応速度定数k
nおよび下記式(II)を使用して、頻度因子A
nおよび活性化エネルギーE
nを求める手段、
【数11】
(iii)工程(ii)で求めた前記頻度因子A
n、及び前記活性化エネルギーE
n、前記(II)式、並びに前記反応速度式を使用して、CSTRにおいて環化するための温度における反応速度定数k
nを求める手段、および
(iv)工程(iii)で求めた反応速度定数k
n、前記反応速度式及び下記CSTRの物質収支式(III)を使用して、前記条件を取得する手段
【数12】
(式中、r
n:反応速度、τ:滞留時間(空間時間)、C
0:供給濃度、C:濃度を表す。)。